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spirit and witch  作者: ところてん
三章・墓場の迷宮
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閑話

「……ひょっとして、王子様?」

「へぁっ?」



「妖精の加護って知ってる?」



「ここが……妖精郷……」



「あなたは本当に、あの子にそっくりね」



「じゃあ、あなたはあたしのおばあちゃんなの!?」



「泣かないで、ごめんね。私の可愛い果実(りんご)」



「もう黒い服なんて着ないー!!!」



「もう!ジューちゃんたら!」

「まあまあそう怒るでない、姉上」



「黙れ愚弟共」



「叔父はお前などと違って良い奴だ!」



「そうよ。あの子は少し気が弱いけど、あんな事をする子ではなかったわ」



僕は光に焦がれた。



「あなたのその赤い瞳が、優しく辺りを照らしてくれる」



「恋は良いぞ、恋は。兄上もしてみたらどうだ?」

「……私にはそんな暇などない」



「記憶がないの?」

「う、うん……名前も覚えてないんだ……」

「じゃああなたの名前、私が付けてもいいかしら?」



太陽が眩しい、緑が綺麗だ、水が美味しい。ーー全てが新鮮だった。



「ずっと、ここにいたい」



「……き、君が……その……す、好きなんだ!」

「ええ、私もよ」



「ずっと一緒にいましょうね」



古びたテーブルが、木目の床が、真新しいカーテンが、両手が、Dがーー全てが、赤く染まっていた。



「お前が、姉さんを殺したのか」




「お前、本当に最低な奴だな!」

「あなたなんて、だいっきらい!」

「……うん、ごめんね」



「私は君の……名付け親だから」



ーーどうかこの子が幸せでありますように。



「……お前、それ……」

「…………こっちが本当の色なんだって」




痛み、悲しみ、苦み、寂しさ、遣る瀬無さ。そういったものを、Dは味わい、噛み締め、咀嚼し、飲み込んでーーそうして彼女は一つ歳を取った。

彼女は一つ、大人になった。



親愛なるあなたへ。



「お母さん、外に誰かいるよ」


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