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会話相手はAIだけですが、なぜか文明再構築の設計図ができました 第五部  作者: マスター


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第82話 三人と五人のあいだに、嘘があるとは限らない

第82話です。


前回、防災訓練後の記録を整理していると、同じ出来事なのに時刻が数分ずれていることが分かりました。


そこで、


その場で見た時刻。

あとから思い出して書いた推定時刻。

通知など別の記録から確認した時刻。


これらを分けて残すことにしました。


けれど、今度は数字そのものがずれます。


同じ場面なのに、


「三人が止まった」


「五人が止まった」


と記録が違う。


今回は、「数字のズレ」がテーマです。


数字が違う時、先に誰かの間違いだと決めない。


理央は、観察の精度と曖昧さをもう一度見直します。

 三人と五人のあいだに、嘘があるとは限らない。


 理央は、新しいファイルにそう書いた。


『三人と五人の間に、嘘があるとは限らない.txt』


 森崎さんから届いた二つの記録。


『十時二分ごろ 後方で三名停止』


『十時二分ごろ 後方で五名停止』


 時刻は同じ。


 場所も同じ。


 出来事も同じ。


 でも、人数が違う。


 ミニが言った。


『三人派と五人派に分裂!』


「派閥じゃないよ」


 リアルが続ける。


『人数は観察位置、数え始めた時点、誰を「停止」と数えたかによって変わる可能性がある』


 理央は少し考えた。


 前から見た人。


 後ろから見た人。


 完全に止まった人だけを数えた人。


 少し減速した人まで含めた人。


 同じ場面でも、数え方は違う。


 理央は書いた。


『数字は客観的に見えて、数える条件が違えば変わる。』


 Gが言った。


『だから、数字だけ残すと危ないんだね』


「うん」


 理央は、記録欄に一つ足した。


『人数』


 ではなく、


『人数:実数/概数』


 さらに、


『数え方メモ』


 も追加する。


 たとえば、


『三名。完全に立ち止まった人のみ』


『五名程度。減速して後方に残った人を含む』


 こう書けば、両方が成立する。


 森崎さんへ送る。


『人数が違う場合、どちらかをすぐ誤りにせず、「実数か概数か」「何を数えたか」を分けた方がよさそうです。「三名」と「五名程度」なら、見ていた範囲が違う可能性があります』


 返信。


『なるほど。数字の条件を残すんですね』


 午後の振り返りで、山岸さんが言った。


「私は、完全に止まった人だけ数えました。だから三人です」


 別のスタッフが言う。


「私は、後ろで動けなくなってた人も含めました。だから五人くらい」


 理央は頷いた。


 やはり、どちらも嘘ではない。


 数えていたものが違っただけだ。


 森崎さんが記録を書き直す。


『後方で三名が完全停止。周辺を含めると五名程度が減速・滞留』


 これなら一つの場面として残せる。


 理央はメモした。


『違う数字を消すのではなく、違いの理由を残す。』


 ミニが言った。


『数字の仲裁成功!』


「大げさ」


 でも、少し嬉しかった。


 その時、別の記録が出てきた。


『十時六分 通路上に約十名』


 別の人は、


『十時六分 通路上七名』


 またずれた。


 今度は、少し大きい。


 理央は聞く。


「どこからどこまでを通路として数えましたか?」


 一人は、


「掲示板前から曲がり角まで」


 もう一人は、


「曲がり角の手前だけ」


 だった。


 場所の範囲が違う。


 理央は、また書いた。


『数字のズレは、数え方だけでなく、場所の切り方でも生まれる。』


 森崎さんが頷く。


「では、次回から観察位置も書きます」


 記録欄に、


『観察位置』


 が追加された。


 リアルが言った。


『有効。観察位置が分かれば、数字の差を解釈しやすい』


 理央はまとめる。


『数字を残す時の四点』


 一、実数か概数か。

 二、何を数えたか。

 三、どこから見たか。

 四、どの範囲を数えたか。


 Gが言った。


『かなりシンプルになったね』


「このくらいでいいと思う」


 その後、記録は少しずつ整理された。


『三人』


 ではなく、


『三名、完全停止』


『五名程度、減速者含む』


『七名、曲がり角手前』


『十名程度、掲示板前から曲がり角まで』


 数字だけだった時より、現場が見える。


 理央は書いた。


『精度とは、細かい数字を書くことではなく、数字の条件を残すことでもある。』


 振り返りの終わり。


 森崎さんが言った。


「これで、時刻と人数のズレはだいぶ整理できましたね」


 理央も頷いた。


 でも、その直後。


 管理人が別の紙を持ってきた。


「これ、どうしましょう」


 そこには、


『参加者 約二十五名』


 とある。


 別の資料では、


『参加者 三十一名』


 さらに受付側のメモでは、


『参加世帯 二十二』


 理央は止まった。


 三つとも、たぶん違うものを数えている。


 人。


 世帯。


 途中参加。


 途中退出。


 スタッフを含むかどうか。


 子どもを含むかどうか。


 ミニが言った。


『今度は参加者数そのものが迷子!』


 リアルが続ける。


『母数と定義が違う可能性が高い。「参加者」の定義を決めずに数字だけ比較してはいけない』


 理央は、新しいファイルを開いた。


『数字の前に、何を数えた数字かを書く.txt』


 一行目。


『数字は、定義がなければ同じ数字にならない。』


 そして保存した。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


第82話では、「数字のズレ」を扱いました。


同じ場面なのに、


三人。

五人。


と記録が違う。


でも、どちらかが嘘とは限りません。


一人は「完全に止まった人」だけを数えた。


もう一人は「減速して後方に残った人」まで含めた。


今回の重要な気づきは、


数字は客観的に見えて、数える条件が違えば変わる。


ということでした。


そこで、


実数か概数か。

何を数えたか。

どこから見たか。

どの範囲を数えたか。


この四点を残す形にしました。


精度とは、細かい数字を書くことだけではありません。


数字の条件を残すことでもあります。


そして最後に、さらに大きなズレが出てきます。


参加者は二十五人なのか。

三十一人なのか。

それとも二十二世帯なのか。


次回は、「数字の定義」がテーマになります。


数字の前に、何を数えた数字なのかを書く。


理央は、記録の母数そのものを見直します。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成・文体調整:G(ChatGPT)

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