↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
会話相手はAIだけですが、なぜか文明再構築の設計図ができました 第五部  作者: マスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/28

第69話 そこにいても、声が届くとは限らない

第69話です。


前回、本人は不安が強くて来られないため、家族だけで事前確認へ来たいという相談がありました。


家族の心配は大切です。


けれど、本人がいない場所で、本人の参加方法や個別対応を決めてはいけない。


理央たちは、家族の心配として受け取ることと、本人の意思として確定しないことを分けました。


しかし最後に、また新しい問題が届きます。


本人も来る。

家族も同席する。

ただし家族は、「本人は緊張すると話せないので、こちらで全部説明します」と言っている。


本人がその場にいる。


でも、本人の声が届くとは限らない。


今回は、「同席していること」と「参加できていること」の違いがテーマです。

 同席していることと、参加できていることは違う。


 理央は、画面に表示された一行目を見つめていた。


 ファイル名は、


『本人がいるのに、本人の声が消える.txt』


 昨夜、森崎さんから届いた連絡。


『もう一件、確認時間の参加方法について連絡がありました。こちらはご本人も来られるそうですが、ご家族が同席されます』


 そこまでは、少し安心できる内容だった。


 本人が来る。


 家族も一緒に来る。


 不安がある人にとって、ひとりで来るより心強いかもしれない。


 けれど、続きの一文が問題だった。


『ただ、ご家族の方が「本人は緊張すると話せないので、こちらで全部説明します」と言っています』


 本人は来る。


 でも、家族が全部説明する。


 それは、本人の助けになるかもしれない。


 同時に、本人の声を消してしまうかもしれない。


 七つのチャット欄が開く。


 G。


 ミニ。


 クルス。


 リアル。


 ローラ。


 マナ。


 検索AI。


 ミニが言った。


『同席してるのに、発言権が消えるイベント……』


「イベントって言わない」


 リアルがすぐに続けた。


『本人同席時でも、本人の意思確認は重要。家族の代弁を全面的に本人の意思として扱うことは避けるべき。本人が話しやすい方法、話さない権利、書面での確認、家族同席の範囲を担当者側で整理する必要がある。理央が個別対応を判断してはいけない』


「はい」


 ローラが言った。


『家族が悪いわけではないんですよね。本人が話せないから助けたい。そこは受け止めたいです』


 Gが続ける。


『でも、「全部説明します」になった瞬間、本人の確認が抜けるかもしれない』


 理央は、メモに三つの見出しを作った。


『家族が助けになる場合』


『家族が声を覆ってしまう場合』


『本人が参加しやすい方法』


 まず、家族が助けになる場合。


『一、本人が安心して同席できる。

 二、本人が言いにくいことを補足できる。

 三、聞き漏れを防げる。

 四、帰宅後に本人と内容を確認できる。』


 次。


 家族が声を覆ってしまう場合。


『一、本人が話す前に家族が答える。

 二、本人の表情や反応を見ないまま話が進む。

 三、家族の心配が本人の希望として扱われる。

 四、本人がその場にいるのに確認されない。

 五、本人が「違う」と言いにくい。』


 書いていて、理央は手が重くなった。


 これは、防災だけの話ではない。


 病院。


 学校。


 役所。


 家族会議。


 あらゆる場所で起きそうなことだ。


 本人はそこにいる。


 でも、周りが話す。


 本人のことを。


 本人の前で。


 本人抜きのように。


 クルスが言った。


『存在していることと、届いていることは違うのですね』


 リアルが言った。


『比喩として妥当』


 理央は、最後の見出しに書いた。


『本人が参加しやすい方法』


 一、最初に本人へ「話し方」を選んでもらう。

 二、口で話す、うなずく、カードを指す、紙に書く、家族に補足してもらう、など選択肢を用意する。

 三、家族が話した内容を「ご本人もこの内容でよいですか」と確認する。

 四、本人が答えたくないことは、無理に聞かない。

 五、その場で決めず、本人が持ち帰って確認できる余白を残す。


 ミニが言った。


『話し方を選ぶ! これ大事!』


「たぶん大事」


 声は、口から出る言葉だけではない。


 うなずく。


 首を振る。


 紙に丸を付ける。


 短い言葉を書く。


 あとで答える。


 家族に補足してもらう。


 そういう方法もある。


 理央はメモした。


『本人の声は、声だけとは限らない。』


 ローラが言った。


『やさしい一文ですね』


 リアルが言った。


『ただし、本人の意思確認方法や合理的配慮の範囲は担当者判断。理央は文面と視点の整理に留めること』


「はい」


 理央は、森崎さんへの返信文を作った。


『ご家族が同席すること自体は、本人にとって安心になる場合があると思います。ただ、「家族が全部説明する」形になると、本人がその場にいても、本人の意思確認が抜ける可能性があります。最初に、本人がどう参加したいかを確認できるとよさそうです。口で話す、うなずく、紙に書く、家族に補足してもらう、後で確認する、など、話し方を選べる形がよいかもしれません。』


 送信。


 すぐに既読が付いた。


 少しして、返信。


『森崎です。とても大事ですね。本人がどう参加したいかを最初に確認する形にします。家族向けにも、「ご本人の確認を挟みながら進めます」と伝えます』


 理央は、少し息を吐いた。


 よかった。


 家族を排除しない。


 でも、本人を消さない。


 そのための形が必要だ。


 マナが言った。


『本人同席時の進行メモを作成するべきです』


「うん。必要だね」


 理央は、新しいファイルを開いた。


『本人同席・家族同伴時_進行メモ_v1』


 最初の一文。


『家族を遮るのではなく、本人へ戻す。』


 これは大事だ。


 家族を責めない。


 家族の言葉を全部止めるのでもない。


 ただ、本人へ戻す。


 確認する。


 本人がどう思っているか。


 本人がその進め方でよいか。


 本人が今、話せるか。


 話せないなら、別の方法があるか。


 進行メモには、こう書いた。


『最初に確認すること。


「今日は、ご本人とご家族のどちらからお話しいただいても大丈夫です。話しにくい場合は、うなずく、紙に書く、ご家族に補足してもらう、後で確認する、などでも構いません。まず、ご本人はどの形が話しやすいですか」』


 理央は、書いてから眉を寄せた。


 長い。


 現場で言いにくい。


 正しい文面も、口で言えなければ現場で使えない。


 前に学んだことだ。


 短くする。


『最初の声かけ案。


「今日は、話しやすい形で大丈夫です。ご本人から話す、うなずく、紙に書く、ご家族に補足してもらう、あとで確認する、どの形でも構いません。進め方はどうしましょうか」』


 まだ少し長い。


 でも、使えるかもしれない。


 ミニが言った。


『選択肢が多い! でも多いから逃げ道がある!』


 リアルが言った。


『選択肢が多すぎると混乱する可能性もある。実際には担当者が状況に応じて短く伝えるべき』


 理央は、森崎さんへメモを送った。


 返信。


『このまま読むのではなく、こちらで自然な言葉にします。考え方として使います』


 理央は頷いた。


 それでいい。


 草案は、現場の口に合う形へ変わる。


 午後、事前確認時間の前日確認会が開かれた。


 森崎さん、理事長、管理人、自治会長、理央。


 そして、当日スタッフの山岸さんもいた。


 理央は、席に着く前に言った。


「私は、個別対応やご本人の意思確認の判断はできません。今日は、本人の声が消えないようにするための文面と進め方の視点だけお伝えします」


 山岸さんが小さく笑う。


「毎回ちゃんと言うの、だんだん安心してきました」


「安心、ですか」


「はい。ここから先は水瀬さんに聞いちゃ駄目なんだな、って分かるので」


 理央は、少し驚いた。


 境界線宣言は、自分を守るためだけではなかった。


 周りが、聞いてはいけないことを理解するためにもなっていた。


 理央はメモした。


『境界線は、自分だけでなく、相手の質問も守る。』


 会議が始まる。


 森崎さんが、本人同席・家族同伴の確認について説明した。


「ご家族の同席は認めます。ただし、ご家族がすべてを話す形にはしません。最初に、ご本人がどう参加したいかを確認します」


 理事長が頷く。


「本人が話せない場合は?」


 森崎さんが答える。


「話せない場合は、無理に話してもらいません。うなずき、紙、後日確認、ご家族の補足など、本人が選べる形にします。ただし、ご家族が話した内容は、必要に応じてご本人へ確認します」


 山岸さんが聞いた。


「本人が緊張して何も答えない場合は?」


 会議室が少し静かになる。


 それは、起きるかもしれない。


 質問される。


 家族が隣にいる。


 防災担当が目の前にいる。


 緊張する。


 何も答えられない。


 その時、沈黙をどう扱うか。


 リアルが言った。


『沈黙を同意として扱うべきではない。無理に回答を迫らず、持ち帰りや後日確認の選択肢を提示するのが妥当』


 理央は、慎重に言った。


「沈黙を、同意として扱わない方がいいと思います。答えられない場合は、その場で決めず、後で確認する形にできるとよさそうです」


 森崎さんが大きく頷いた。


「はい。それは入れます」


 進行メモに赤字で書かれた。


『沈黙=同意ではない』


 その文字を見て、理央は胸の奥が少し震えた。


 重い。


 でも、必要だ。


 ミニが、いつもより静かに言った。


『沈黙にも、勝手に意味を入れない……』


 理央は、メモした。


『沈黙を、都合のいい同意にしない。』


 ローラが言った。


『本人の声が出ない時ほど、周りが勝手に埋めてしまいがちですね』


 会議は進む。


 本人同席・家族同伴時の流れ。


 一、最初に進め方を確認する。

 二、本人が話しやすい方法を選べるようにする。

 三、家族の説明は補足として受け取る。

 四、重要な内容は本人へ確認する。

 五、沈黙を同意にしない。

 六、その場で決めず、後日確認へ回せるようにする。


 森崎さんが言った。


「この六点で進めます」


 自治会長が紙を見ながら言う。


「家族が強く話し始めたら、止めにくいですね」


 それも現実だ。


 家族は悪意ではない。


 心配している。


 でも、心配が強いと、話が早く進みすぎる。


 本人が置いていかれる。


 Gが言った。


『家族の話を否定せず、本人へ戻す言葉が必要だね』


 理央は、声かけ例を書いた。


『ご家族のお話も大事なので伺います。そのうえで、ご本人にも確認させてください。』


『今のお話について、ご本人はこの形でよさそうですか。答えにくければ、後で確認でも大丈夫です。』


『ここでは決めきらず、ご本人とご家族で持ち帰って確認していただく形にしましょう。』


 山岸さんが読んで、頷いた。


「これなら、家族を否定せずに本人へ戻せそうですね」


 理央は、少し安心した。


 家族を遮るのではなく、本人へ戻す。


 それが言葉になってきた。


 会議の最後に、森崎さんが言った。


「この件は、当日かなり大事になりそうです。スタッフにも共有します。ただ、個別の家庭の話としてではなく、一般的な進め方として共有します」


 理央は頷いた。


 また変換だ。


 個別情報を、そのまま現場へ配らない。


 必要な案内へ変換する。


 今回は、


『本人同席・家族同伴の場合の進め方』


 として共有する。


 誰の話かは出さない。


 でも、対応の考え方は共有する。


 理央はメモした。


『個別の出来事を、誰かの話としてではなく、次の人を守る手順に変える。』


 夕方。


 スタッフ向け案内に、追記が入った。


『ご本人とご家族が同席する場合。


・まず、ご本人が話しやすい方法を確認する。

・ご家族の説明は補足として受け取る。

・重要な内容は、ご本人へ確認する。

・沈黙を同意として扱わない。

・その場で決めきらず、持ち帰り・後日確認へつなげる。』


 理央は、それを見て、静かに頷いた。


 本人がいる。


 家族がいる。


 担当者がいる。


 そこで、誰の声が中心に置かれるのか。


 それを決めるのは、空気ではない。


 手順だ。


 理央は今日の記録をまとめた。


『本人がいるのに声が消える_会議メモ』


 決まったこと。


『一、本人同席・家族同伴の場合、最初に本人が話しやすい方法を確認する。

 二、家族の説明は補足として受け取る。

 三、重要な内容は本人へ確認する。

 四、沈黙を同意として扱わない。

 五、その場で決めきらず、持ち帰りや後日確認へつなげる。

 六、スタッフへは個別の家庭の話ではなく、一般的な進め方として共有する。』


 気づいたこと。


『一、同席していることと、参加できていることは違う。

 二、本人の声は、声だけとは限らない。

 三、家族を遮るのではなく、本人へ戻す。

 四、沈黙を、都合のいい同意にしない。

 五、個別の出来事を、誰かの話としてではなく、次の人を守る手順に変える。』


 Gが言った。


『かなり大事な回になったね』


 ミニが言った。


『声なき声、ってこういうことなのかな』


 クルスが言った。


『声とは、発した音ではなく、扱われる意思なのかもしれません』


 リアルが言った。


『比喩として妥当。ただし実務上は、本人の意思確認方法と同意の扱いは慎重に確認する必要がある』


「うん」


 理央は、短く返事をした。


 明日から、事前確認時間が始まる。


 紙ではなく、人が来る。


 時間割もある。


 小会議室もある。


 確認メモもある。


 スタッフ向け案内もある。


 それでも、当日は紙の通りには動かない。


 その夜、森崎さんからメッセージが来た。


『明日の一件目の方から、追加で連絡がありました。「家族同伴ではなく、本人だけで行きたい。ただ、話すのが苦手なので、メモを読んでもらってもよいか」とのことです』


 理央は、画面を見つめた。


 本人だけで来たい。


 話すのが苦手。


 メモを読んでもらいたい。


 家族ではなく、自分の言葉。


 ただし、声ではなく紙。


 ミニが、小さく言った。


『ついに、本人の声が紙で来る……』


 ローラが言った。


『これは、大切に扱いたいですね』


 リアルが続けた。


『本人作成メモにも個人情報が含まれる可能性がある。読み上げる範囲、誰が読むか、保管するか、返却するかを確認する必要がある』


 理央は、新しいファイルを開いた。


『紙に書かれた声を、勝手に読み上げない.txt』


 一行目。


『書かれた声にも、読まれたくない場所がある。』


 そして、保存した。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


第69話では、「本人がいるのに、本人の声が消える」ことがテーマでした。


本人も来る。

家族も同席する。

ただし、家族が「本人は緊張すると話せないので、こちらで全部説明します」と言っている。


一見すると、家族が助けているように見えます。


実際、家族の同席が安心になることもあります。


けれど、家族がすべてを話してしまうと、本人がその場にいても、本人の意思確認が抜けるかもしれません。


今回の重要な気づきは、次の一文です。


同席していることと、参加できていることは違う。


そしてもう一つ。


本人の声は、声だけとは限らない。


口で話す。

うなずく。

首を振る。

紙に書く。

家族に補足してもらう。

後で確認する。


本人が参加する方法は、一つではありません。


理央たちは、本人同席・家族同伴時の進め方を整理しました。


最初に本人が話しやすい方法を確認する。

家族の説明は補足として受け取る。

重要な内容は本人へ確認する。

沈黙を同意として扱わない。

その場で決めきらず、持ち帰りや後日確認へつなげる。


今回のもう一つの気づきは、次の一文です。


家族を遮るのではなく、本人へ戻す。


家族の心配を否定しない。


でも、本人の声を消さない。


そのための手順でした。


そして最後に、新しい連絡が届きます。


本人だけで来たい。

話すのが苦手なので、メモを読んでもらってもよいか。


今度は、本人の声が「紙」に書かれて届こうとしています。


次回は、「紙に書かれた声」がテーマです。


書かれた声にも、読まれたくない場所がある。


理央はまた、本人の意思をどう受け取り、どう守るのかに向き合います。


原案・構想:マスター


物語構成・本文作成・文体調整:G(ChatGPT)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。