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やばいです。最近忙しすぎて、なかなかに投稿ができていません……

本当にごめんなさい。


〜試合開始から20分後〜


試合が始まってからずっと一高代表、ライト兄弟の異名を持つコンビの、兄の 石原 祐介 は逃げていた。相方である弟の大介はすでにやられてしまった。


「くそ!どうなってる!四高のあいつは!あんな魔術見たことないぞ!」


石原兄弟は異世界転移を行なってから負けたことがなかった。

それもそのはず、転移の際に一騎当千の力を手にしたからだ。そして2人は学校に入学するやいなや、その力を使って学校の頂点に君臨し続けた。

だから、こんな追い詰められたことは、こちらにきてから初めてだった。

四高の黒髪の彼に出会うまでは……

自分の繰り出す技が効かない、いや、発動さえ許してもらえない。


ありえない、ありえない、ありえない。


その五文字が兄の祐介の頭の中でぐるぐると回っていた。

この大会に出るのは初めてだったが、前々から何度かこの大会は見にきていた。だから、四高が毎年この対魔術師戦を途中棄権しているのは知っていた。

しかし、予想に反して、四高は途中棄権をしていなかった。

だから、今回はその弱い四高を見せしめにするいい機会だと思い、試合開幕速攻で四高の奴らを倒しに行った。

予定では、弟が四高の奴らに奇襲をかけ、そこから逃げた者を、この俺が、祐介様が、かっこよく倒そうと思っていたのだ。

だが、実際は違った。奇襲をかけることを事前に知っていたかのように四高のやつは待っていた。

それだけなら良かった。奇襲が失敗することなんてよくあることだ。だから、いくらでも態勢は立て直せる……


◇◇◇

〜数分前〜


「チッ!奇襲がバレてたか!仕方ない。弟よ!ここは一旦引くぞ!」

「あぁ!了解だ兄者!ってあれ?なんだこれ?動けない……」

「は?何言ってんだ!早く戻ってこい!」

「いや、そうしたいんだが、動けない、いや、俺の体が動かないんだ!」

「チッ!拘束術式の類か!待ってろ。今すぐ助けに行く!」


『人間がこの私に抗いますか…』


その声が聞こえた瞬間、俺は震えだした。自分では、少しも怖いとは思ってなかった。しかし、体は全力で拒否反応を示していた。


「あ、兄者!助けてくれるのではなかったのか!?早く来てくれ!」

「う、うわぁぁぁ!!!」

「兄者?俺を置いてかないでくれ!あにじゃーー!」


俺は気持ちとは裏腹な行動をとっていた。

本当は、立ち向かおうと思っていた、弟も助けようと思っていた。

しかし、体は言うことを聞かず、その場から逃げてしまっていた。

だから、弟がどのようにして倒されたかは知らない。あの後会場のアナウンスで戦闘不能になった、と放送された。


◇◇◇


〈なぁ、クーリ?お前の能力疑ったのまだ怒ってるのか?〉

『いいえ、怒ってなどおりません。』

〈なら、その神気を出しながら一高のやつ追いかけるのやめようぜ?流石に可哀想だわ。〉

『いいえ、やめません。彼等を侮るなと、言ったのはユウジ、あなたですよ?』

〈いや、まぁ、そうだけど、こんなにやらなくてもいいんじゃないか?今追いかけてるやつの相方とかお前が近づいた瞬間失神してたじゃん。〉

『いいですか?ユウジ。彼等はゲームで言うチーターと同じです。そんな人生楽してるチーターどもに手加減などする必要なんてないでしょう?』

〈1番のチーターが何言ってんだよ。〉

『これはチーターなどではありません。元々持っていたものを振るってるまでです。』

〈いや、まぁそうなんだけども……〉

『さて、そろそろ鬼ごっこも飽きてきましたし、終わらせますか。』


クーリはそう言うと、立ち止まった。


〈ちゃんと魔術使ってる風にしろよ?〉

『わかってます。わかってます。』


適当に返事をしながらクーリは、手で地面に触れた。


"ザ・アイスエイジ"


そう唱えると、あたりは一瞬にして一面の銀世界と化した。


〈うわぁ、すげぇ。〉

『氷河期の再現をしてみました。』

〈これみんな、凍っちゃったんじゃねぇの?〉

『いえ、先程の一高の方以外はご存命のようですよ。…いえ、すでに二高の方達はいませんね。』

〈相手も相手ですごいな。〉

『まったくユウジ以外の人間がこの世界に対抗するなど烏滸がましいですね。』

〈ははは……〉


やたら人間を下に見るクーリを人間である俺はただただ苦笑するしかなかった。


◇◇◇


「ねぇ?どうやら一高の人、2人ともやられちゃったみたいだよ?残りはあの四高だけかぁ。つまんないね?」


一高の代表の1人、市原 心音は、つい先ほど瞬殺した二高の召喚術師のコンビの頭を踏みながら言った。


「でも、一高の人たちがやられたのって消去法で見れば、四高がやったんじゃないの?」

「そうだけど、期待は薄そうじゃない?あ、もしかしたらあの王子様かもよ?ほーら、男の子助けた時に絡まれた男達から守ってくれた銀髪の人!」

「それだと私に恩人を倒せって言ってるってわかってる?ま、誰だろうと手加減はしないけどね。」


そう言って彼女、 ローザ=セレナスカは髪をかきあげた。


「ま、わかってるから言ってるんだけどさ、ローザが相手に手加減するとかありえないし。」

「さぁ、心音。そろそろ無駄話は終わりよ。コソコソ隠れてないで出てきたら?四高の選手さん!」


そう言うと抵抗することもなく、1人の男子生徒が出てきた。


「ありゃりゃー、これはあの助けてくれた人じゃなさそうだね、ローザ。」

「うーん……」

「ん?どうしたのローザ、煮え切らない返事なんかして。」

「いや、ちょっとね。」


(確かに心音が言う通り姿形は違う、そして、もちろん、魔術の"色"も違う。けど、なんかおかしい。根拠はないけど、雰囲気があの救ってもらっときの銀髪の人と似ている、気がする。会ったの一瞬だったから、確信はできないけど……)


「あなた、一体何者なの?」

「俺は四高の代表選手、ニースだ。」

「ニース、ね。」


(どうやら相手はニースと言うらしいけど、あれは多分嘘。根拠はないけど、さっきから感じてる違和感は見過ごせない!)


「嘘よ。御託は結構。さっさと正体を現しなさい。」


◇◇◇


「コソコソ隠れてないで出てきたら?四高の選手さん?」


はぁ、バレてしまったなら仕方ない。

俺は、素直に従い相手の選手に姿を見せた。


《あの右に立っている方、少し前にユウジが助けた方ですよ。》

「へぇ、ま、興味ないな。俺は他人を助けるために命を捨ててもいいと考えてるけど、その人の人となりは興味ないからな。」

《あなたならそう言うと思ってましたよ……》


クーリは半分呆れた感じでため息混じりに言った。


〈ま、向こうも気づかないだろ。なんせこっちは全く別人のニース先輩に変装してるんだからら。〉

《まぁそれもそうですが。そういうことを言ってるのではないのですけど……》


「あなた、一体何者なの?」

「俺は、四高の代表選手、ニースだ。」


俺がそう言うと、両者の間に沈黙が流れた。


「嘘よ。御託は結構。さっさと正体を現しなさい。」


◇◇◇


「嘘よ。御託は結構。さっさと正体を現しなさい。」

「な、何言ってるの?ローザ?」

「ごめん、心音。私も根拠はないんだけど、彼、多分ニースって選手じゃないわよ。」

「なんでそう思ったの?」

「おかしいかもしれないけど、彼の雰囲気。」

「……まぁ、ローザがそう言うならそうなんだろうね。信じるよ。」

「ありがとう。で、そこのあなたは、ダンマリ?……そう、何も喋らないのね。なら、倒して聞き出す!!」


ローザがそう言うと、心音は飛び出した。


「ローザ!ここは、連携で行くわよ!私が前に出て近接戦闘するから、援護お願い!ハァーーッ!!」

「了解よ!」


心音は、目にも留まらぬ速さで、ニースと名乗る四高の選手に近づくと、勢いよく蹴り飛ばした。


「まだまだぁ!!」


すぐさま距離を詰め、反撃の隙を与えない。

しかし、相手も武術経験者なのか、軽々と自分の技を避けていた。


「貴方、見た目以上に動けるのね。あ、そっか。本当の見た目とは異なるんだったわね。でも、私の実力がこの程度だと思ってるなら心外よ。ローザが手を出す前に、かたをつけてあげる!あの子が本気を出したら正真正銘、取り返しがつかない。だから、今から本気で貴方を……潰す!!」


そう言うと、心音はさらに加速し、数秒の間に軽く50発ほど叩き込む。


「貴方、これも見えてるの?すごいわね。」

「心音ー!そろそろ私にもやらしてよ!援護って言っても、こんなにスピードが速いと狙えないし、第1貴方を巻き込んじゃう。」

「最初に2人で行こう、なんて言った後に計画を変更したのは悪かったけど、ローザは、もうちょっと私を頼ってほしいもんだよ。さっきの二高の時もローザだけしか戦わなかったし。パートナーとして相棒の足は引っ張りたくないじゃん?」

「はぁーー……。別にそんなこと気にしてないのに……。わかったわよ。本当にやばくなったら私も参戦するけど、それまでは見守っといてあげるよ。」


心音はローザが了解してくれたことを確認すると、四高の選手に対しての猛攻をやめた。


「さてと、ローザが許してくれたことだし、これでようやく魔術も使えるよ。ねぇ、今までなんで魔術を使ってこなかったと思う?」


◇◇◇


「さてと、ローザが許してくれたことだし、これでようやく魔術も使えるよ。ねぇ、今までなんで魔術を使ってこなかったと思う?」

「さぁ?知らないけど。」


というか、勘弁してほしいものだ。さっきまでのが本気だったんじゃないのか?受けるだけで結構精一杯だったのに。


《だから言ったじゃないですか。私が戦うと。それなのに貴方という人は……》

「いいじゃねぇか。そろそろ俺も戦えるようにならないと話にならないじゃないか。」

《で、模倣は終わったのですか?》


模倣

それは、相手の技を真似ることである。しかし、ユウジが転生した際に得たこの力は、模倣と呼ぶにはあまりにもかけ離れすぎていた。

彼が転生した際に得た能力は相手の技を一目見ただけで完璧に模倣するだけでなく、その一度使われた技は二度と効かない、という能力だった。

一見かなり強い能力に見えるこの能力にも弱点があった。

それは、原理がわからないと解析も模倣も完全防御も不可能というとこと。

しかし、ユウジは転生以前から持つ天才的な頭脳のおかげで、弱点が弱点ですらなくなっていたため、ユウジは未だにこの能力に弱点があることを知らないでいた。


「なぁ、そろそろ出し惜しみは無しにしてくれよ。」

「ええ、私の能力、空間掌握も完了したことだし、出し惜しみなんてしないわ。それと、いい加減あなたの名前、教えてくれない?」

「……ユーリ。」

「そう、やっぱり貴方、名前偽って出場してたのね。まぁ、別にチクったりするようなことしないから安心して。」

「そりゃどうも。」

「では、改めてユーリくん。私の名前は市原 心音!正々堂々と戦いましょう!」

「そういう誠実なところ嫌いじゃないよ。こちらこそよろしく。」


2人が構え、あたりが静寂に包まれる。


バシッ!!


最初に動いたのは、心音だった。

空間掌握によって掌握された空間内は彼女のテリトリー。そのため、その空間内のどこにでも一瞬にして転移可能であった。

瞬間移動にもユーリは動じることなく対処する。

しかし、空間掌握はユーリ、いや、ユウジにとって予想以上に厄介な能力だった。

テリトリーと化したこの競技場内でどんなに心音に怪我を負わせても瞬時に回復する上に、距離を一度置こうにも瞬時に転移し、距離を詰めてくるのだ。


〈クーリ!やばいぞこいつの能力。明らかに常軌を逸してる!〉

《何をそんなに驚いてるのですか?相手もおそらく転移者、あるいは転生者なのですから、そのくらい強くて当然じゃないですか。》

〈いいや、驚いてるんじゃない。感動してるんだ。〉

《そうですか。それは良かったですね。》

〈なんだよ、拗ねてんのか?〉

《……》

〈はぁー、だんまりか。まぁいいや、そろそろ戦い方もわかってきたことだし、終わらせるか。交代よろしく。クーリ。〉

《はいはい、わかりましたよ。》


パシッ


「あら、私の腕を掴んでどうしたの?……!」

(この人本当に同一人物!?雰囲気がガラッと変わったわよ!?)


心音は腕を掴まれたまま引っ張り上げられ、地面に叩きつけられた。


「かはっ!!」

『悪いが、私はユウジほど甘くはありません。』

「ユ…ウジ?一体なんのこと?それよりも、なんで?なんで、テレポートできないの?ここの空間は私の領域のはずなのに……」

『そんなもの、書き換えましたよ。』

「そ、んな……」

『気を失いましたか。さて、あとは貴方だけですが?』


クーリは気を失った心音をそっと地面に寝かせると、ローザの方へ向き直った。


「すごいね。まさか心音がやられるなんて思ってもみなかった。」

『さぁ、さっさと終わらせましょう。』

「さっさと終わらせる……ね。わかったわ。そうしましょう。」

『話が早くて助かります。』

「じゃ、リザイン。」

『……は?』


ローザのその言葉に会場の観客がどよめいた。


「えー、一高のローザ選手、本当に途中棄権でよろしいのですか?」

「ええ。構わないわ。」

「ということは、今年の1位はなんと、四高!!誰が予想できましたでしょうか!まさかまさかの展開です!」


『一体なんのつもりですか?』

「なんのつもりって?めんどくさいと私も思ってたし、貴方も早く終わらせたかったんでしょ?なら、丁度いいじゃない。」

『それはそうですが、貴方の本当の意図が見えない。』


〈クーリ、俺に変わってくれ。おそらくこいつは俺たちの違いに気づいてるぞ。〉

《……!?》

〈一度会った時のこと覚えてるか?俺が助けた時のこと。あれを見られてるのだから、俺らの違いに気づいても何ら不思議じゃない。〉

《たしかに、そうかもしれませんね。わかりました。あとはユウジ、貴方に任せます。》


「うん、ようやく意図がわかってくれたみたいだね。私は君と話したかったんだよ。」

「特に話すことはないと思いますが?それに、以前助けたことを負い目に感じてわざと棄権したならやめてください。」

「ちがうわよ。そんなんじゃない。私も単純にこの試合に興味がないの。ねぇあなたって、この世界の秘密、っていうか、この世界の抱える問題?がなにか知ってる?」

「は?いきなりなんの話ししてるんだ?」

「ふーん、知らないんだ。まぁ、じきにわかるだろうし、言わなくていいわね。それはそうと、表彰式始まるわよ?」

「おい、話は終わってないぞ。さっき言いかけたこの世界の抱える問題ってなんのことだ!」

「だから言ったでしょ。じきにわかるからって。それはそうと、あなたの名前、教えてよ。あ、もちろん君たち2人のよ?」

「はぁ……。わかったよ。今喋ってる俺の名前はユウジ。そしてさっきまで話してたのがクーリ。いちよう、1年生だ。で、そっちの名前は?どうせそのローザとかいう名前、偽名なんだろ?」

「おっ、察しがいいわね。私も同じく1年、フェイリス=クルフォード。よろしく、ユウジくん。」


笑顔で自己紹介してくる彼女に、俺は半ば諦めを感じ、ため息をついた。

その後俺は、釈然としないまま表彰式に臨んだ。あとで会場裏口でもうちょっと話す予定になっているが、


ニースの姿の俺は表彰式の後、みんなから英雄のごとく慕われた。人間とは、やはり伯がつかないとみんなやってこないものらしい。


前の世界で見た異世界に行く主人公たちも俺のように何かしらすごい能力や話術、容姿などを持っていたから、人が集まっただけであって、実際弱くて平凡な容姿だったらあんなにも慕われる主人公は生まれないだろう。

まったくもって人間とは現金な生き物である。






























最近アプリゲーム面白くてついつい時間を忘れて遊んでしまいます……

いや、これ書けよって話なんですけどね。

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