お願いクーリ
今気がついたんですけど、僕のもう1つ書いてる作品でもクロハって名前使ってましたね。どれだけクロハって名前が好きなのやら……
投稿遅れて申し訳ないです。
今回はかなり長めに書いたので、ご堪能ください!
コンコン
俺は先程学園長のクロハ先生に言われた通り、入学式が終わった後学園長室を訪ねた。
「入りたまえ。」
「はい。失礼します。」
俺は挨拶をしてから扉を開けた。
「失礼しました!!」
〈この声は……!〉
そこには、しばらく見なかった俺の妹、紫織がそこにいた。
「?彼女に何かあるのかい?」
「……いえ。なんでもありません。」
《よかったのですか?あれはあなたの妹の紫織さんですよ?》
〈いや、いいんだ。あいつ、どうやら記憶がないみたいだしな。1度目の転生で俺、というかクーリの顔を見てるはずなのになんの反応もしてないのがその証拠だ。〉
「?特に用がなければ失礼しますよ?」
そう言うと怪訝そうな顔を浮かべながら俺の妹の紫織は学園長室を出て行った。
「君、今嘘ついたね?」
「嘘?一体なんのことですか?」
「フフン♪君がたとえどんなにうまく嘘ついても私には通用しないよ?私に嘘をつこうなんて100年早いよ。」
「……なぜ彼女が、妹が学園長室にいたのですか?」
「やっぱり、君の知り合いなんだね?それも身内なのか。」
「はい。隠す必要もありませんので。先生には、ですけど。」
「ふーん。その顔は、君はどうやら彼女がここにいた理由も見当がついているみたいだね?」
「予想に過ぎませんが、なんとなくは。」
「うん。それはいい♪説明が簡単に済むからね♪そう、君が考えている通りだよ。彼女が今回攻めて来た魔術師達が追い求めていた生徒なんだよ。」
「やはり、ですか。初手で学園長室にあれだけの人数の魔術師が攻めて来たのはおかしいと思っていました。」
「そう、ご明察の通り。彼らはどこからその情報を得たか知らないが、私たちの学校に彼女が入ってくることを知っていたようだったよ。」
「一体何で?」
「うーん、そこまではまだ入って来たばかりだからわかっていないんだ。君は何か知らないのかい?お兄ちゃんなんだろ?」
「……」
「思い当たる節はないって感じだね?」
「はい。」
「今、嘘を言ったね?」
「!!」
〈また俺の嘘を看破したのか!?どんだけ鋭い観察眼持ってるんだよ!〉
《いえ、あれは、観察眼などではありません。どうやら彼女は魔眼持ちかと推測します。》
〈そうなのか?〉
《はい、かなりの魔眼かと。"星読みの魔眼"、彼女の魔眼の名称です。相手の心を読め、運気さえも見通す魔眼です。》
「星読みの魔眼……」
「!?君、一体その言葉をどこで知ったんだい?」
「さて、どこでしょうね?僕のガードは固いもんでね。」
「くっ、ハハハハ!いやはや、これは一本取られたね!うん!いいね!面白いよ!」
「そりゃどうも。」
「うん!なら少し頼みごとをしていいかな?」
「まぁ、先生からの頼みごとを聞くのが生徒の役目ですからね。で、頼みごととは一体なんでしょう?」
「うん。そうだねぇ、まずは各学園対抗魔術大会に出てくれないかい?」
「はい?」
「補足しよう。実は今最高学年の者たちが遠征してその大会に出てくれてるんだけど、その出場者の中の一人で、ニース君という子がいたのだが、どうやら怪我が何やらで出れないみたいなんだ。」
「その人の代わりに僕が出ろと?」
「いや、その人として出てくれ。」
「つまり変装して、そのニース先輩の代わりを務めなきゃならないのですね?」
〈なぁ、クーリ?変装の権能とかあるか?〉
《可能ですよ。ただ、その人物を見なければ分かりません。》
〈まぁそりゃそうだよな。〉
《はい、千里眼で見たからもう分かりましたよ。》
〈はっや!つか千里眼なんてあったのか!〉
《ええ、私ぐらいの神になると現在全てを把握することぐらい朝飯前です。》
〈ハハハ……。でも今すぐ変身するのはやめてくれよ?怪しまれるから……〉
《……かしこまりました。》
なんだかクーリががっかりしたように感じたのは俺の気のせいだろうか?
「えーっと、ならなんか写真とかないですか?」
「ん?あー、そうか!そうだったね!はい、これが写真だよ。」
〈じゃあ変身よろしくな、クーリ。〉
《了解しました。》
クーリの了承と同時に自分の姿形が変わるのを感じた。
「おぉ!写真そっくりだ!これならバレないよ!」
「はぁ、ありがとうございます。」
あれ?なんだか声質が変わったような?
《はい。声質も変えておきましたよ。》
〈バカ!お前そんなことしたら……〉
「おや?声質までニース君そのものじゃないか。いったいどこで知ったんだい?」
クロハ先生がニヤニヤしながら尋ねてきた。この人、もしかしてわかっている上で聞いているのではないだろうか?
「まぁ、それは置いて、じゃあ私を抱きしめてくれ。」
「は?抱きしめる?何でですか?」
「普通は転移門から移動するのが普通だけど、私も見に行くのでな。今なら一緒にここから転移してやろうと思って。」
「それで?」
「それでとは?」
「なぜ僕が抱きしめなければならないのでしょうか?」
「なぜって、転移するときに人の体に触れていなければならないのが普通だろ?」
「その理論なら抱きしめなくてもいいじゃないですか。」
「いちいち気にする男だなぁ、君は。ならいい、私が抱きしめるから。」
そう言うと学園長は俺に駆け寄ってきて抱きしめた。
しばらくして俺は学園長に揺り起こされた。どうやら転移するときに意識を失っていたらしい。
「すみません。」
「いや、いいんだよ。そこまで長い間気を失っていたわけではないからね。」
「もう着いたのですか?」
「そうだよ。じゃあ私は特別席の方から見てるから存分に力を振るってきてくれたまえ♪」
俺は学園長と別れてから自分の学園の待合室に向かった。もちろん変身した状態で、だ。あくまで俺がユーリということはバレたくない。
「お、遅れて申し訳ありません。」
俺(ニース先輩)は寝坊で遅れたという設定らしい。
「あら、遅かったわね。ニース君。」
しまった。この女の先輩とニース先輩とやらの関係がわからない。
「は、はい、申し訳ないです。」
「です?何で敬語なのかしら?まぁ今回は捨て駒よろしくね?」
「捨て駒?」
「あら?聞いてないの?まぁいいわ。私たちの学園は弱いことで有名なのは知ってるわね?」
「ええ。」
「だからこそ負けると分かっている試合なんかに戦力を割り振る余裕はないの。あなたの出る試合は2種目ともどの学校も化け物揃い。そういうことだからあなた程度の人にはやられ役がピッタリってわけ。」
「……」
そうか。このニース先輩って人は本当に体調が悪いんじゃない。こうやって捨て駒として使われることがわかってたから出たくなかったんだ……
「あら?不満そうね?もしかしてあなた、実力で選ばれたとでも思ったの?プッ、アハハハハ!そんなわけないじゃない!別にあんたの枠の代役なんていくらでもいるのよ。別に休むなら休めば?」
チッ!これだから人は嫌いだ。自分も含めてな。どいつもこいつも誰かを下に見ないと生きてけないのか?まぁ、それが人間か……
「……では、お聞きしますが、あなたなら勝てると?」
「あったりまえでしょ?」
「なら、なぜ出ないのでしょうか?」
「フン!出たくないからだけよ。」
「プッ!」
「なに笑ってんのよ!?」
「いやいや、なんでもないですよ。ただ後からなんとでも言い訳できる貴方達自称エリートはいいなぁと思いましてね?」
「貴方、私や他の生徒をバカにしてるわけ?」
「いえ、ただエリートならこの学園入ってないでしょ?ここって1番偏差値低いところですよ?そこでエリート気取るとかお山の大将気取りですか?」
おっと、言いすぎたな。今はニース先輩なんだった。
「フンッ!これからすぐにある貴方の種目が楽しみね。さぞ面白い芸を披露してくれることを期待してるわ。」
クスクス
周りからも嘲笑が聞こえてくる。
まぁ、はっきり言ってしまえばこんな奴らの意見など聞き流せばいい、そのはず、そのはずなのだが、俺は聞き流さずにいた。妹の時は俺に力がなかったあまりに何もできなかった。けれど今は違う。今なら目の前の奴らを瞬時に肉塊にできるだろう。やるか?ヤルか?殺るか?そうすれば、妹みたいな思いをする人が減る。
「あ、あのよろしくね?ニース君。」
俺があれこれ自問自答していると、後ろから話しかけられた。そのおかげで俺は現実に戻った。
そうだ、こんな奴らを1人2人殺したからってこの世界からこういう奴が減るわけじゃない。俺だって人間、だった。だから一歩間違えたらこうやって弱いものをいじめる側に回っていたかもしれない。
「ん?貴方は?」
振り返ると、気の弱そうな感じの女子が立っていた
「ごめんなさい、名乗りもしないで。私は貴方と同じ生贄、カナデと申します。」
「よろしくな。まぁ同じ生贄同士、気楽にいこうぜ。」
「は、はい。足手まといにならないよう頑張ります。」
「ちなみに俺たちが出る種目ってどんな競技なんだ?」
「えっと、男女一組のペアになって最後まで残っていれば勝ちよ。」
まぁ要は勝って勝って勝ちまくれってことか。それならなんとかなりそうだな。
「へぇ。」
「に、ニースさんは怖くないのですか?相手は各校のバケモノ揃いですよ?そんな競技に出なきゃいけないなんて……私怖くて怖くて。」
「まぁ、たしかに怖いけど、僕がなんとかできないかやってみるよ。カナデさんは怖かったら後ろに隠れてるだけでも構わないからね。」
「は、はい。私も出来るだけ善処はします!」
◇◇◇
「続いての競技は、対魔術師戦だ。では第1〜第4の魔術学校の代表の生徒は入って。」
どうやら次が俺が出る種目のようだ。
今までの競技の総合点は、俺たち第4以外は皆接戦のようだ。
まぁたしかに、第1から第3までの魔術学校は、入試の難易度もほぼ同じだった。なので、この競技祭において、落ちこぼれの第4魔術学校がビリなのは当然だと言える。
「が、頑張りましょうね!ニースさん!」
「はい、頑張りましょう!」
《珍しいこともあるのですね。》
突然クーリが話しかけてきた。
〈何が珍しいんだ?〉
《そうやって人に優しくするところです。てっきりあなたは人間をゴミぐらいにしか思ってないのだと思っていましたよ。》
〈おいおい、心外だな。人間なんてクズさ、自分を含めて。けれど、優しくするしないの話とはまた別だ。しかも今はニース先輩として活動してんだ。この人の評判落とすわけにはいかないだろ。っていうか、俺そんな非人道的なことやった覚えないんだけど?〉
《何を仰いますか。やってはなくても思ってれば同じです。お忘れですか?私とあなたは一心同体、同じ体であればあなたの心を見通すくらい簡単なことです。》
〈へいへい、わかってますよ。〉
戦闘開始まで残り10秒
そのアナウンスと共に会場の雰囲気が緊張感に包まれる。
5秒前
〈クーリ、戦闘は任せたぞ。〉
《ええ、お任せください。秒殺して見せますよ。》
〈おいおい、そんなことやったら流石に怪しまれるだろ。それに、そう簡単にいくかわからんぞ。〉
《私の実力を疑っているのですか?》
〈違う違う。けど、さっきの話曰く化け物揃いって言ってたろ?ってことは、きっと転生者、転移者の類だろ。こっちの世界に来た時にどんなトンデモ能力もらったか、わかんないからな。負けることはないと思うけど、まぁ気をつけろってこった。〉
《はい。心に留めておきます。》
それでは対魔術師戦、始め!!
試合の合図と同時に転移魔術で先程いた場所とは違う場所にカナデさんと共に飛ばされた。
飛ばされた先でまず目に飛び込んできたのは、荒廃した街?のような場所だった。
「ど、どうしますか?ニースさん。」
「んー、まぁ俺たちから行く必要ないよ。例年どうり俺たちが弱いと思われてるなら向こうから自然とやってくるさ。」
「たしかに、私たち弱いですもんね……」
「まぁとりあえずは、ここで待機かな。戦闘になったら後ろに隠れてていいよ。」
「は、はい!援護できそうなら援護します!」
〈さて、クーリ?起きてるか?〉
《はい、ここに。》
〈近くに敵性反応はあるか?〉
《たしか、私たちを含めて計8人ですよね?》
〈そうそう。一高、二高、三高、四高がそれぞれ2人ずつだからね。〉
《ですが、私のサーチに引っかからないものがいるようです。私で感知できるのは私たちを含めて6名です。》
〈流石に上級生、それも化け物と言われるだけあるな。見つからないやつが何高のやつかわかるか?〉
《いえ、見つけます。》
〈いやだって、見つけられないって……〉
《いえ、神に不可能などありません。今のは調べ方が悪かっただけです。》
〈いや、無理しな……〉
《できます!!》
〈わ、わかったわかった。じゃあ任せるよ。〉
◇◇◇
〜四高の選手待合室にて〜
「リーダー、先程のニースの発言で気分を害されたのでは?」
「いえ、大丈夫よ。ただ、たしかに彼の言う通りね。私は怖くて逃げた……」
「!?何を仰いますか!リーダーが出れば優勝も目じゃないですよ!」
「いいえ、そんなことない。彼の言った通り私たちは一高や二高、三高に入れなかったただの落ちこぼれよ。けれど、彼に言ったことも事実。今回の対魔術師戦闘は過去を遡って見ても本当にバケモノばかりよ。だから、私は逃げた。」
「リーダーの言うバケモノとはそこまでにバケモノなのですか?」
「ええ、一高は珍しい光系統の魔術を操る、異名はライト兄弟と呼ばれてるわ。二高は召喚術師。噂だとSS級の魔獣やら聖獣やらを何匹も飼い慣らしているそうよ。」
「SS級とは?」
「魔獣や聖獣の等級のことよ。E〜Aまでで普通は分けられているのだけど、それに当てはまらない、それ以上に危険な怪物をS〜SSS級までにされてるわ。」
「そんなバケモノを飼いならすなんて……」
「少なくとも、その召喚術師とやらはSS級を懐柔させられるだけの実力があるってことね。」
「三高は?」
「そう、最後、三高は異常も異常。パーソナルデータが一切明らかになってないわ。使う魔術はみんなから"星術"と名付けられてるわ。他にも相手の魔術を使えなくさせるなんて噂もあるわ。なんでも、相手の脳を書き換えて魔術を使えなくさせるって聞いたことがある。まぁ、これに関してはあくまで噂だけどね。どう?どれだけあの戦場が危険か分かった?」
「は、はい。」
「ほんと、世の中不平等よね……。努力しても本物のバケモノには太刀打ちできない。ほんと、転生者とか転移者なんていなければいいのに……」
◇◇◇
〜全学園長のいる部屋において〜
ガチャ
「よっ!光陰の魔女クロハ。待ってたぜ。相変わらずお守り付きみたいだな。」
薄い水色の髪に真っ白な服を着た女性がソファに座りながら、入ってきたクロハを歓迎した。
「久しぶり、一高の学園長、鏡の魔女メル。それに、二高の学園長、時の魔女ラミリー。」
「おーっす。クロ。おひさー」
金髪の眼鏡をかけた女の子がベッドに寝転がりながら手を振った。
「あらあら、ひどいわ。私のことは無視?クロハちゃん。」
紫の髪にまるで夜空のような色の黒の服を着た女性がテーブルに腰をかけつつ、クロハに話しかけた。
「……三高学園長、禁忌の魔女エルファ。あんたもいたとはね。」
「あらやだ、禁忌の魔女は別名でしょ?私の本当の本当の名前、知ってるくせに〜」
「もちろん知ってるさ、星の魔女。」
「はーい、よくできました。えらいえらい。ご褒美に私が撫でてあげる♪」
「結構よ。」
「んもう、つれないわね。もう残り少ない魔女仲間なんだから仲良くしましょうよ。」
クロハは昔からこの魔女が好きではなかった。
何を考えてるかわからない不気味さ、常に自分の奥底を見透かしているような目。
特に相手は自分のことを嫌ってるようではなかったのだが、仲良くするのは気が引けたのだ。
「お熱いところ悪いが、どうやらもうすぐ対魔術師戦始まるみたいだぜ?」
そう言ってメルが画面を指差す。
「今年もまた四高は途中棄権するのか?」
「それが今年はちがうんだよね〜」
クロハがそう言うと、いままで寝転がって眠そうに聞いていたラミリーがその言葉に興味を示したかのように、起き上がった。
「えっ?今なんて言った?クロ。」
いつもはおっとりしているラミリーだが、今は打って変わったかのように、食い気味にクロハに尋ねていた。
「だから、今年はちがうって……」
「まさか、今回は途中棄権しないつもりで、強い選手を派遣したの?」
「まぁね〜」
それを聞いて驚いたのか、ラミリーは慌ててメルやエルファのほうに振り向いた。
「聞いた?メル、エルファ!あのクロハがまじめに対魔術師戦に生徒割り振ったって!これは、雨でも降るんじゃないの?」
「ラミリー、それを言うなら槍でも降る、だぜ。それはさておき、それは俺も驚きだぜ。でも、勝算あるのか?悪いが、うちのところは結構強いやつ出したぜ?多分二高と三高もだろ?」
メルが同意を求めるようにラミリーとエルファに尋ねた。
ラミリーは少し悩んでから、
「うーん、そのことはよくわかんない。私はあんまり生徒のこと気にかけてないからねぇ。けど、例年通りならまぁ強いんじゃないかな。」
「お前ほんと生徒に興味ないよな。」
「まぁ勝手にやってて〜ってスタンスだからね。それよりも、ずっとさっきから黙ってるエルファに聞きたいんだけどさ、さっき耳にしたけどなんかすごい子連れてきてるんでしょ?」
そう、ラミリーはエルファに話を振った。
「フフ、そうね、まぁ確かに強い子かもね。けどその子がどんな子かは見てのお楽しみよ。」
「まぁ確かにそうだな。お、始まったみたいだぜ?」
メルがそう言うと、クロハはじっと画面を見つめた。
〈見せてもらうわよ、ニース、いえ、クーリ!正直言って、どこまで強いのか見当付いてないけど、あなたは何か私でもわからない何かを隠してる……。それを見極めるいいチャンスね。〉
次回は、バトル多めになります!
どうぞご期待ください!




