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練気境

 自分の小屋に戻った凡吉は、その後も修練――もとい、『諸天万界』の権能を活用して自身を強化しようとしていた。

 だが……先延ばしにしていた件が今、彼を悩ませる。


行者:凡吉

境地:練体境円満(練体境30段)※これ以上、境地を上げることが出来ません。


 その画面と、手元の破霊丹を交互に見つめ、凡吉は畳から立ち上がって小屋を後にし、近くの井戸までやってきた。

 初めての大境地突破……母上を頼るべきだろうか?

 その視線の先には、玉霊山の頂上にある太上長老の家屋(かおく)だった。


(……いや)


 不安なのは事実だ。しかし、それで自身の母親の手を煩(わずら)わせるわけにはいかない。

 凡吉はその場に胡坐(あぐら)をかいて深呼吸し……破霊丹を飲んだ。


(っ⁉)


 途端に、体中が熱くなり、自分の中を『何か』が駆け巡っていくのを感じる。

『経絡』というものが存在するなら、これがそうなのだろう……血液の脈動よりもハッキリと、それを感じることが出来た。

 しばらくすると、体中から汗や垢が噴き出してくる。

 凡吉は服を脱ぎ、井戸で水を汲んで体にかける…その間も、次々と老廃物は体表から噴き出してきていた。

 やがてそれも収まり、頭がスッキリとした感覚になる。

 凡吉は『諸天万界』の画面を開いた。


行者:凡吉

境地:練気境1段


【告知】

雷法を使用したため、『称号:九天雷帝』が『神祇(じんぎ):九天雷帝』に進化しました。

『神祇:九天雷帝』獲得により、『功法:雷霆(らいてい)神功』を獲得しました。

『功法:雷霆(らいてい)神功』に、行者が獲得しているすべての雷系功法が融合されます。

『隠道大化訣』を使用し、練体境の限界まで修練して練気境に突破したため、『隠道大化訣』の効果発動。行者の実力が永久に上昇しました(極大)

『隠道大化訣』を使用し、練体境の限界まで修練して突破したため、『体質:天武之体』を獲得しました。


……凡吉は『奨励品』の項目に目を移した。


練気境到達記念パック

虚無僧基本パック


 色々とやりたいことや考えたいことはあるが、まずは体をちゃんと洗おう……先ほどから臭う。

――その後、凡吉は念入りに自分を洗浄し、ついでに服も洗って小屋に戻った。

 新しい着物に着替え、『諸天万界』の画面に目を向けながら考える。


(……これから凡吉として過ごす時は、天羽剣法と雷霆神功、神祇は九天雷帝を使っていこう)


 それは、決して『かっこいいから』という理由ではない。自身の出自に関係することだった。

 玉修門の人々曰く、自分はこの世界に天劫の雷と共にやってきたという。それならば、いつか雷に関する功法を得意にしても、不思議ではないだろう。

 下手に偽装工作するよりも、こちらの方が隠し立てなく、強くなれる。

 それは、ひいては母上やお嬢様、そして玉修門のためにもなるはずだ。


(それじゃ……)


 凡吉は『練気境到達記念パック』を開封した。


【体質】

呑天丹田(下丹田):源気を吸収し、濁気を生ずることなく、すべてを練成することが出来る。また、丹田に入り切らない源気を体内の経絡を用いて貯蔵することが可能。

四凶四罪丹田(中丹田):四凶・四罪の権能を駆使し、それに応じた効果を発揮する。また、中丹田に入った気を制御しやすくする。

五象丹田(上丹田):四象の権能を駆使し、それに応じた効果を発揮する。また、上丹田に入った気を制御しやすくする。


【功法】

九字秘法/兵字秘術:武器を自在に操ることが出来る。

回陽真火:気を凝縮させ、陽の力を宿らせることで発火させる。体内の寒症に対抗できる他、この気を触媒とする火種を生み出すことが可能。

周天返魂:自身の傷病、損壊した肉体を治療することが可能。しかし、魂魄への損傷には対応できない。

輪廻指(初級):指先に“時の痕”を宿し、五秒間だけ対象の時間を”巻き戻す”功法。

破魔経(初級):破邪顕正の経文が詰まった書経。これは”邪”と”魔”を浄化・分解する波動を放つことが可能。

空明訣(初級):心身を鍛錬し、霊識の力を向上させる功法。

無生真経(初級):生者と死者の区別がなくなる領域に踏み込み、死への恐怖を克服する功法。

滅魂経(初級):敵の魂魄を砕き、再生不可能にする功法。

天啓経(初級):万物の真理を理解する功法。


【眼術】

戦禍眼:戦闘時に、己の五感を研ぎ澄ます。


【物品】

魔天図:古今東西の妖魔、霊怪の名を刻む図。

玄珠(げんじゅ):あらゆる薬効を発揮し、病苦や怪我を治療する。

太素灯:天地万物の自然の精気を蓄え、主の意志に応じて放出することができる。

紫雲炉:宝貝や奇薬の製造に使える炉で、使用者の願望に応じた宝物を作成できる。

河伯筆(かはくふで):書いた文字が実体化したり、特異な能力を宿す筆。

玄君鏡(げんくんきょう):未来や過去を見通し、幻影や実体を映し出す鏡。

鬼谷鼓(きちくこ):音を聞く者の心を操り、恐怖や快楽を与える太鼓。

天地陰陽環:体内の気が無ければならない状態で、これを服用すれば陰陽の調和が得られ、一時的に体内に気を生じる。その際、副作用はない。

万象大丹炉:あらゆる薬材料やアイテム、遺骸などから素材を生成することが可能。

龍鱗丹:天龍の血肉を練り込んだ丹薬。これを使用すれば、数時間だけ『龍の力』を得ることが出来る。

隠仙丹:隠れた仙人からの贈り物。使用すれば、一日に一度、自身を不可視にすることができる。

仙獣契約札:仙獣との契約を助ける符紙。仙獣の心が傾いていれば、この符紙によってその仙獣と”契約”が可能。

封魔符:特定の対象の動きを封じる符。使い捨てだが、威力は絶大。

玄元玉符:三枚で一組の符で、装着している相手の位置を感知することが可能。ただし、使用者からは一方的に感知できる。


……いったい、この『チート』あるいは『ボーナス』は、いつまで続くのだろうか……願わくば、自分が死ぬ間際にも発動して欲しいが……得るものが多くなるほど、振る舞いもより慎重にならざるを得ない。

 凡吉は『虚無僧基本パック』を残し、残りの時間を融合や精錬、修練に費やした。

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