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天尊降臨 ~神々の子は諸天万界を旅する~  作者: ポンタ
第二章 丐幇の乞食・乞凡
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覇雲派の掌門人・万来安

 その後、中央通りにつながるひっそりとした路地裏の一角に、凡吉は座っていた。『諸天万界』の貯蔵塔には先ほどの男達の遺体が、聚(しゅう)魂(こん)塔には魂が保管されている。


(まさかこんなところで出番が来るとは……)


 凡吉はそう思いながら、保管していた銀貨で瑞宝塔で販売されている『帰魂香』を購入した。これは魂の記憶を読み取る機能があり、こういった情報収集では何かと役に立つ。

 早速二人の魂に向かって使うと、彼らの記憶が凡吉の脳裏に浮かぶ。

 生誕直後の頃はどうでもいいので、ここ最近の記憶まで、まるで動画を早送りするように進めていった。


(これだ……)


 凡吉はそこで早送りを止め、じっくりと記憶を覗き見る。

 どうやら、彼らは覇雲派の人間で間違いないようだ。しかも、弟子ではなく長老らしい。

 長老と聞けば髭を生やした老人を思い浮かべるが、この世界ではそのような先入観は意味を成さない。要は、組織のお偉いさんということだ。

 そんな二人を躊躇なく殺そうとし、また、あっけなく殺してしまった自分に、凡吉は少し寒気を感じた。


(それにしても……)


 凡吉は男達の記憶に映る老人に目を向ける。

 歳のころは六十代といったところか。長身痩躯で、顔つきは狐のようでどこか狡猾そうな印象を抱かせた。

 白髪交じりの黒い長髪を後ろで結んでおり、髪飾りのようなものを付けている。着ている長衣も黒く、縁の方に金の刺繍で雲が描かれていた。その両腕には緋色の布帯が巻かれている。

 男達との会話によると、彼――覇雲派の掌門人・万来安がここにやってきた目的は、やはり飄雲派の失踪事件の調査のようだ。


(ふむ……)


 そして、記憶はさらに進む。

 どうやら、この二人と万来安は師弟関係にあり、北山城に来たばかりのようだ。周りにも十数名の門弟が控えており、その中の一人が万来安に話しかける。


『掌門人、我々はこのまま飄雲派の支部に向かえばよいのですね?』


 万来安は静かに頷く。


『うむ……だが、いくらか人を遣(や)って北山城の周辺にある村々を調査せよ。飄雲派の連中の痕跡が、まだどこかに残っているかもしれん』


 門弟が承知すると、そのまま万来安と二人の男は北山城に入り、来安は二人に少し遊んでくるように言って、一人で北山城の中央通りを歩いていく。

 この後、二人の男の記憶はほぼ全て酒と女にまみれていた。


(万来安……)


 覇雲派の掌門人…そして、おそらくは天雲門門主の周青雲の関係者……そんな大物が、この城内にいる。それだけでも十分収穫はあったと言えよう。ただ、問題はこの後どうするかだ。


(まずは飄雲派……いや、覇雲派の支部に行ってみるか……)


 もし、万来安が支部にいてくれたならば、さらに情報を得られるだろう。

 しかし、同時に危険もある。来安の実力さえよく分かっていないのだ。今まではそれなりにうまくやってきたが、今回の相手はそうもいかないかもしれない。

 そう考える凡吉は、ふと思い立って『諸天万界』の画面を開いた。


行者:凡吉

境地:練体境円満(練体境26段)


……『隠道大化訣』を使用したのは、間違いだったのか……この画面を見るたびに、そう思ってしまう。

 しかし、だからといって諦めることは許されない。お嬢様の命や玉修門の将来がかかっているのだ。

 凡吉はそう思い直し、『奨励品』の項目を押す。


練体境修練パック×4

練体境円満境地達成パック

『初めて天耳通経を使用する』達成パック

『初めて練気境の人間を殺害する』達成パック

『初めて練体境円満境地の人間を殺害する』達成パック

『飄雲派の資産を全て奪う』達成パック

『飄雲派掌門人を殺害する』達成パック

『初めて【派】勢力を滅門させる』達成パック

隠された道『飄雲派を滅門させる』達成パック


……今のうちに、パックを開封して『諸天万界』の各塔をスッキリさせておくべきだろう。それに、これまでに手に入れてきたものの融合と精錬も済ませておきたい。

 凡吉はそう考えて画面に手を伸ばした。

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