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( 休みだーーーーーーーーー! )


待ちに待った、ゴールデンウィークが、やってきた。

お休みに入って、数日たった。


今日は、紗枝と映画に行く約束を、している。


近くに、ショッピングセンターがあり、その中に、映画館もある。

自転車でも行けるので、とっても便利なのだ。


ピンポーン


チャイムが、鳴る。

紗枝が、お迎えにきてくれたのだ。

急いで、外に出る。


「 あっちゃんかわいい! そのワンピ。 」


すかさず紗枝が、ほめてくれる。


今着ている、あち子のワンピースは、昨日母の美佐子と、一緒にデパートに行って、買ったばかりのものだ。

ちょっとお値段は、お高かったけれど、あち子も母の美佐子も、気に入って、買ってもらった。

ちょっと小柄な、花模様がついていて、膝下まであり、ふわりとしている。

だが、ウエストはしっかりシェイプされていて、なんだかウエストが、細くなったような気がする、すぐれものだ。

薄い若草色の、カーディガンまでついていて、単品でもつかえるということが、買う大きな要因となった。


紗枝といえば、やはりスレンダーな体形に合ったパンツに、おしゃれなセーターを着ていて、靴のスニーカーもあいまって、まるでモデルのようだと、あち子は思った。


「 紗枝ちゃんもかっこいい! 素敵! 」


2人でほめあい、気持ちよくなって、自転車で出かけた。


*****


映画館は大きく、スクリーンもいくつもあり、いろいろな映画をやっている。


今日は、二人で決めていた、ファンタジー映画を、見ることになっていた。


映画館に着くと、やはりゴールデンウィークのため、混んでいた。

券を買おうと、並んでいる列に、つこうとしたとき、後ろから声がした。


「 吉田さ~ん! 」


2人で,そちらを振り返れば、同じクラスの岡田と坂村が,来るところだった。


紗枝を呼んだのは,岡田君だ。


「 吉田さんに鈴井さんこんにちは! 二人とも映画だよね。何見るの? 」


さわやかに,岡田が言う。


「 ファンタジー映画だよ。岡田君たちは? 」


紗枝が、答える。


「 僕たちもだよな。 」


岡田が、坂村をちらっと見て、言う。


「 じゃあ、いっしょに見ようよ。 」


岡田は、あたりまえのことのように、さらっというと、紗枝とあち子と、一緒に、列にならんだ。


もちろん坂村も、ならぶ。


岡田と坂村は、やはり目立っっていた。


ふたりとも、ごく普通のジーパンに、シャツを着ているだけだというのに、まわりの女の子たちの、視線を釘づけにしている。

まあよく見れば、シャツはちょっとおしゃれで、デパートに売っているような、高級品に見えるが。

あち子以外の3人は、周りの視線を、気にも留めていないようだったが、あち子には、初めての経験でちょっと緊張してしまった。

ただ今日は、ちょっとほっとしていた。

なぜなら、今日は、ちょっとかわいいワンピースを、きていたからだ。

いつもの洋服だったら、みんなの視線に、居心地が悪かっただろう。


*****


映画は、面白かった。


しかしである。


一方の横には、紗枝が、もう一方の横には、坂村がすわったのだ。


岡田が、どうせなら女の子の横に、座ろうと言い出し、紗枝の横に、座ってしまった。

あち子は、紗枝の隣にいたので、坂村が、あち子の隣になった。

おかげで、今まで男の子と、映画を見に行ったことなんてない、あち子は、はじめ緊張してしまい、映画どころでは、なかったのである。


しかもぽちまで、やらかしてしまった。


そのせいであち子は、よけい映画に集中できなかった。


というのも、ぽちは、はじめあち子の肩に、のっていた。


しかし、映画が始まるとすぐ、大きい音にびっくりしたのか、あち子の膝に移ってきた。


その状態も、五分ほど続いただけで、急にもぞもぞと、動き出した。


コロコロコロコロ________


あっという間に、転がるように、隣の坂村の膝の上に、のってしまったのである。


これには、あち子もびっくりしたのだが、当の本人坂村も、びっくりしたのだろう。

隣で見ていても、わかるぐらい、一瞬びくっとなっていた。


しかしぽちは、坂村の膝の上が、心地よかったのだろう。

動こうとしない。


仕方なくあち子は、ぽちを連れ戻そうと、坂村に手を伸ばした。


「 いいよ。このままで 。」


坂村が、小さな声でいってくれたので、手を引っ込めたのだが、気が気ではなかった。

はじめは、びっくりしていた坂村も、慣れてきたのか、いつの間にか、ぽちをなでながら、映画を見ていたので、ほっとしたあち子だった。

ただ隣の紗枝に、変に思われないか、ちらっと見たが、紗枝は、映画に夢中のようで、こちらを気にしていなかった。


その隣の岡田に、ばっちりみられていることに、気づいていなかったあち子だった。





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