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翌朝月曜日は曇っていたが、天気予報では降水確率予報が低かったので、あち子は自転車で学校に行った。
もちろん急な雨に備えてカッパも用意してある。まだ使ったことはないが。
学校の玄関で靴を履き替えていくと、後ろから挨拶された。
あち子も挨拶をすると、坂村が立っていた。
「昨日はありがとう。」
そういうと坂村は、いつものクールな表情をしていて、先に教室にいってしまった。
「あっちゃん、おはよう!なにっ?昨日のありがとうって!」
そうあち子に話しかけてきたのは、紗枝だった。横にはなぜか岡田もいる。
「鈴井さん、いつの間にか敦也と仲良くなったんだね。」
岡田君はそうでもないが、紗枝はどう見てもにやにやしている。
昨日のこと!を聞きたくてうずうずしているようだ。
じゃあといって、岡田はいってしまった。
「なにっなにっ、ありがとうって。」
紗枝は好奇心が抑えられないようだ。それもそうであろう、坂村は有名人なのだから。
「昨日図書館に行ったら、坂村君がいて本を探していて。
ちょうどそこを通ったから、教えてあげたんだよ。」
あち子は、もしかしたら昨日坂村と歩いているところを誰かに見られていて、一緒にいた理由を聞かれた時のために用意しておいたのだ。たぶん坂村は何とも思っていないだろうが、あんな有名人だし、あち子との接点もなにもないのだから。
まさか今日、あいさつされて紗枝に聞かれるとは思っていなかった。
まさか坂村が、あいさつしてくるとは思わなかったのだ。ぽちの事も解決したし、あの坂村の性格からしたら話しかけてくるとは思わなかったのだ。
紗枝は、図書館好きのあち子を知っているので、その話を信じたらしく、
「坂村君も本好きなのね~。」で終わった。
まさか坂村の家に行ったとは思っていないだろう。紗枝に本当のことが言えなくて、なんとなく後ろめたかった。しかしぽちのことを言っても、紗枝には見えないのだから仕方ない。
あち子も気になったことを聞いてみた。
「いつ岡田君と仲良くなったの?~」
「ああ~、岡田君もバスケ部に入ったみたいで、時々しゃべるようになったのよ。」
紗枝は何ともないことのように言った。
*****
その日のお昼では、みんなでお弁当を食べながら、今週末から来るゴールデンウィークの話で盛り上がった。
今年は5日間連休が続く並びになっている。だからだろう。最近のニュースでももう連休中の渋滞予想をやっているところもある。
最近では、お昼には紗枝以外に、仲良くなった子たちも含めて5人で食べている。
その中の一人、水谷琴子が言った。
「うちはおじいちゃんちにいくの。だけど道路渋滞で大~変。ながいよね~車の中。」
他の子たちも、家族で旅行に行ったりといろいろお出かけするようだ。
ちなみに紗枝は、部活の練習試合が二日間ぐらいあるらしい。
あち子も弟健太の練習試合が二日間ぐらいあるからと、母美佐子が父牧夫に車だしを頼んでいた。
たぶん一日ぐらいは、母美佐子とデパートに買い物に行くだろうが、そのほかは予定がない。
あち子の実家は、父親母親とも同じ市内にいるので、いつでも行けるのだ。
わざわざゴールデンウィークに出かける必要がないし、健太の練習試合を見に行くだろう。
あち子の時にも来てくれたぐらいだから。
普通ならきっとどこへも行けないのを寂しがるだろうが、あち子は違う。
どこへも行けないときには、両親も悪いと思うのかおこずかいをくれるから、漫画が買える。
いつもなら少ないおこずかいから、吟味に吟味を重ねて漫画を買っているのだが、
臨時収入だから好きな漫画を何冊か買えるだろう。
それに大好きな図書館で、存分に本を借りてきてのんびり読める。
それに今、あち子の机の端でまったりしているぽちもいる。
一日は公園でもゆっくりと散歩でもしよう。
そう考えて、あち子は今から休みが楽しみになった。
お昼ご飯を食べた後、トイレに行こうと席を立ったあち子のもとに紗枝が来た。
「あっちゃん!ゴールデンウィークに映画見に行かない?」
紗枝がうれしい提案をしてくれたので、よけい休みが待ち遠しくなったあち子だった。




