51 再会
「ほう、客人か」
「やっぱり覚えてないよな…………」
俺は再び摩多羅の前へと立っていた。
あのときと同じように。
「その刀、見せてみよ」
またあの時と同じだ。
俺は素直に刀を手渡す。
「この刀、何故私の名が刻まれている?」
あの時と言い方は違うが、全く同じ意味だ。
「うっ!?」
突如、摩多羅が苦しみ出した。
俺の刀が手から滑り落ちて空に浮かぶ。
「……………辰、か?」
「覚えて、いるのか?」
「何かが繋がったような感覚だ」
「私はお前との全てを思い出したぞ」
思い出した………………
俺はその言葉を聞いて懐中時計の蓋を見た。
やっぱりな。
針が一つ進んでいる。
思い出させた記憶、1。
「そうだ、今は? 今の時間は?」
俺はすぐさま摩多羅に聞いていた。
「私が異変を起こす二日前。前と同じだ」
「ここも同じか……………」
俺がこの事から分かったのは、記憶は取り戻せると言うことだ。
何らかのトリガーによって記憶は取り戻せる。
そうすれば、未来を知っている者が増えると言うことだ。
そうなれば、より簡単に敵を対処できる。
相手の行動を知っていれば、より進んだ未来へと辿り着ける。
「辰」
「何だ?」
「お前の事についてだ。確かお前は、記憶喪失だったな」
「殆ど関係なかったからな、記憶喪失。今は名前もあるし」
「お前の一家は、もしかすると私と深く関わっているかもしれん」
俺はその言葉を聞いて驚愕した。
「その刀の出所からしても、疑問に思っていた。もしやお前は、"地球の方゛の私を奉る一家なのではないかとな」
「恐らく、その刀も儀式の為の物だろう」
「そうか……………」
これで頭のもやが少し取れた。
少しでも俺の本質に近付ける情報だ。
大切に扱わなくてはならない。
「その刀は、私は見たことがない」
「ああ、そうか。俺が変質させたからな」
「では、お前を神社に返そう。恐らく、歴史を大きくは変えてはいけない」
「変えるなら、この時計が指す時間だな」
俺は静かに答え、扉の中に入っていった。
再び会えるのは5時間後だ。




