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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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072  時間は有限


現実世界に戻って来た聖人とアッシュ。時計を確認すると朝の七時だった。


「時間は経過するんだな」


「左様。精神と時間は切っても切れない関係性がある」


「時間は無限じゃないと?」


「そういう事であるな」


ふと、聖人は疑問に思った。神代の寝室の襖が開いているのだ。


「どうしたんだろ」


寝室を覗いた聖人。ピンク一色の寝室で目が痛くなり、聖人は片目だけでチラ見した。


「あれ……いないぞ」


見事に、もぬけの殻だ。


「ベッドの上に置き手紙があるぞよ」


確かにベッドの上に置き手紙があった。聖人はその手紙を拾って、中身を読んだ。


「なになに、零界堂家に侵入して証拠を取ってくるわ。朝飯は適当に食べてねby月波。だってよ」


見ると、アッシュの顔が臭い物をかいだ様な顔になっている。


「小童(こわっぱ)め。先走りおって」


「もし、威吹が犯人だとしたら?」


「風華嬢と同じく監禁されるであろうな」


「マジかよ! 助けに行かないと」


「待てい。何も威吹が犯人だと決まった訳では無いぞ」


「だけどよ、何かあったら遅いだろうが」


その時だ。玄関の扉が開いた。アッシュと聖人は何事かと思い、同時に振り返る。


「やったわ!」


玄関には神代と、もう一人。威吹の妹である香久弥の姿があった。


「…………どうも」


香久弥は申し訳無さそうにペコリと頭を下げる。


「神代、お前どうしたんだこれ?」


「香久弥(かぐや)ちゃんが全部教えてくれたわ。やっぱり生徒会長を誘拐したの威吹で間違いないって」


「本当か!」


「そうです。御兄様が風華さんを誘拐しました」


香久弥の顔は何処か浮かない表情をしていた。


「よく言ってくれた」


「御兄様が犯罪者になるのが怖くて……御兄様を止めて欲しいのです」


聖人側に寝返る動機としては充分だった。


「それで俺達に打ち明けたと」


「御兄様から話を聞いておりました。二人は優秀なエクソシストだって」


「威吹が……俺達を誉めていたのか?」


「はい。将来有望なエクソシストだと」


「あの野郎、どんだけ上から目線なんだ」


「御兄様が迷惑を掛けまして、申し訳ありません」


再び、香久弥は頭を下げた。


「大丈夫よ。私達が止めてみせるから」


気分が落ち込んでいる香久弥に神代が優しく声を掛けた。


「兄が駄目なら妹がしっかりするって本当だったんだな」


「…………………………」


香久弥は気まずそうに顔を下げてしまった。


「ちょっと、アンタ何言ってるの! 香久弥ちゃんに謝りなさい」


「あわわわわ。すまん!」


「大丈夫です。兄が不甲斐なくて、すみません」


また謝ってしまう香久弥。部屋の中の全員が少しだけ空気を重く感じていた。


「そうだ。香久弥ちゃんは朝御飯食べたの?」


「いいえ、まだですけど」


自然と上目使いになる香久弥。


「だったら此処で食べなよ。朝御飯はあたし達が作るからさ」


「でも……迷惑では?」


「大丈夫、大丈夫。問題無いわよ!」


そう言った神代は聖人に近づいてきた。


「アンタも手伝いなさいよ」


「俺もかよ!」


「当たり前でしょう。アンタが内緒でコンビニ弁当食べてた事知ってるんだからね」


「何!?」


そう、神代にはバレていたのだ。


「さあ、台所に行くわよ」


神代に右手を握られた聖人は、そのまま台所まで引っ張られてしまう。


「嗚呼……無情」


自らの不幸に嘆く聖人だった。

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