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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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055  裂き躯の雨


血の雨を浴びたラストラッシュ。彼は思い出していた。遠い日の記憶を。


次第に記憶の海に溺れたラストラッシュ。舞台は時計の針を幾分か戻した魔法界へ。



モードゥ街。

そこは魔法界の裏社会に生きる者達で溢れている。非合法の街と知られ、スリ・殺人・麻薬取引などが頻繁に行われていた。


この街で生きていくためには『自分の身は自分で護る』事だ。それ故、弱者達は自然に街から離れて行くのであった。


強者だけが生き残るシンプルな街の構造。


モードゥ街は至る組織の中で宝の山と呼ばれているのだ。


そして、モードゥ街に強者を求めて足を踏み込んだ者が二人いた。当時、魔法学校の校長を勤めていた・ラファエル=ランドクイスト。その教頭・ウォルター=アルムホルトである。


「校長」


「何かね?」


「私は納得出来ません。モードゥ街の子供をスカウトするなんて」


「嫌なら帰れば良い」


「いいえ、校長にもしもの事があれば困ります」


ウォルターは心配性だったのだ。いざとなれば、自分が盾になって校長を護るつもりなのである。


「大人として、未来ある子供をこんな土地で終わらせる訳にはいかんだろう」


「確かにそうですが」


「それに、ここから魔法界を支える者が誕生すれば、モードゥ街の治安も良くなるかも知れん」


「殺人者であってもですか?」


「過去はトイレの水に流せばいい。重要なのは未来だけだけだ」


二人は死臭が鼻につくエリアに踏み入れた。

探している人物はモードゥ地方で最も危険な場所で生活していると情報があったのだ。


「あれは……」


死体を積み重ねていた上で、高級時計や財布を抜き取っている少年がいた。見た目は金髪にモヒカン、奴で間違いないと二人は目を合わせて合図した。


裂き躯の雨。それが少年の二つ名だった。

その名の通り、死骸の血を雨の様に浴びているから裂き躯の雨と呼ばれていた。


「ん?」


少年が二人の存在に気づくと、鉤爪を構えた。


「待て待て、儂らは君と話をしに来ただけだ」


「僕と話を?」


「そうだ」


「フフフ」


少年は笑っていた。


「何が可笑しい!」


「真の天才とは剣を交える事で、お互いの真理、情念、理念を読み合うのです。そして僕には分かる……あなた達が知の快楽者である事を」


「何度でも言うが、儂の懐に戦う気など持ち合わせていないぞ」


次の瞬間、少年は理解不能の速さでラファエルの胸に傷をつけた。


「ふぐっ」


「校長!」


ウォルターは驚愕した。ラファエルが避けられないSPEEDで少年が動いたからだ。


「逸材か」


胸を斬りつけられたラファエルは、あくまでもポジティブに物事を進めるのであった。


「これで僕と剣を交えていただけますね?」


ラファエルの前にウォルターが仁王立ちした。


「校長がお前程度のチンピラに武器を手に取ると思ったか? 校長、ここは私にお任せを」


「いいや。儂がやろう」


「校長……」


「このエリア一帯に最上級魔法障壁を張れ」


「くっ。かしこまりました」


校長の命令は絶対のウォルターであった。


「決闘の前にあなたの二つ名を教えて下さい」


「その歳で戦いの心得を分かっているとは、感心だよ」


「伊達に死地を潜り抜けていませんから」


ラファエルは再び口を開いた。そして、次の様に言い放ったのだ。


「儂はラファエル=ランドクイスト。二つ名は……灰塵の振り子時計だ」


「僕はDDD・ラストラッシュ。二つ名は……裂き躯の雨です」


二人は同時に斬りかかった。








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