044 モテる法則
美少年がモテるという法則はどの世界でも共通である。
それは、足若丸高校の521組でも同じだった。
校庭側の窓際で一人の少年が、頬ずえをついて景色を眺めていた。
彼は端正で目鼻立ち整った顔にスポーツ万能、成績優秀で、実家は四大祓魔師の名家である。モテない要素が一つも無いのだ。
「ねぇねぇ威吹君」
同級生の女の子達数人が威吹の周りを囲んだ。
「なんだい?」
威吹は気だるそうに返事した。
「霧登さんが行方不明だって。知ってた?」
「興味ないね」
素っ気なく答える威吹であった。自分が霧登風華を誘拐したのだと言うはずも無かった。言っても、女子達は冗談だと片付けるに決まってると思う威吹。
「キャーキャーキャー!」
威吹の周りには続々と女の子達が集まってきた。違うクラスからも威吹目当てでやって来る人も少なくない。
「ちょっと……押さないでよ」
押し寄せる女の子の波に、やがて威吹は完全に見えなくなった。
「ぐやじいい!」
ハンカチを噛み締めるのは獅子浪太。そんな獅子を隣で慰めているのは聖人だ。
「まぁまぁ」
「あんな……あんな女みたいな奴が何でモテるんや!」
世の中の不条理さを呪う獅子。
「ワイの方がイケてるやろ。なあ?」
濃い顔を聖人に近づける獅子。確かに獅子はイケメンかも知れないが、とても高校生にモテる顔では無い。はっきり言うと獅子は老けているのだった。
「はは……そうだな」
聖人は苦笑いを浮かべた。獅子浪太の勢いに圧倒されるしか無いのである。
「せやろ、せやろ。この世界はおかしいで!」
「でもお前って熟女専だろ? クラスの女からモテなくてもいいじゃん」
「あのな聖人。そういう問題じゃ無いんや」
「どういう問題だよ?」
「女の子にモテるという事実が大切なんやで」
聖人には意味が分からなかった。
「はい?」
「アンタには分からんでよろしい」
獅子は、神代と同棲生活している聖人を未だに恨んでいる様子だった。
「怒るなよ」
「怒ってない」
たわいもない世間話も友達の間では必要なのである。




