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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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027  既視感


霧登家の屋敷と、足若丸高校は目と鼻の先である。余程の寝坊をしない限り、遅刻する事自体が不可能と言っていいだろう。


霧登風華は、いつもの様に廊下に立ち、いつもの様に生徒会長の仕事をしていた。


足若丸高校の生徒会長の仕事とは、ずばり内容が濃い。全校集会の挨拶や校則違反者の取り締まり、生徒会の書類に判子を押すなど、やってる仕事は校長先生と大差無いのだ。


「仕事は楽しい物ではないぞ」と父親に言われた事が、今なら解る気がすると思った風華であった。


「あ!」


風華は声を上げた。階段から、昨日取り締まりした後輩達が姿を現したのた。


「そこの二人と猫一匹止まりなさい」


昨日と一言一句違わない言葉で喋りかけた。


「またアンタすか」


生意気な後輩が偉そうに言い返してきた。風華は朝から機嫌が悪いと知らないで。


「それはこちらの台詞だ」


「何だと?」


「性懲りも無く、使い魔を放し飼いしてる様だな」


風華は腕を組んだ。虫の居所が悪い証拠である。


「残念無念」


そう言った後輩は、とても腹の立つ顔をした。言葉では言い表せない酷い顔だ。強いて言うなら、誰が見ても殴りたくなる顔。


「先生の許可を貰っていますぜ」


「馬鹿な……私は聞いてないぞ!」


「そりゃそうですよ。さっき担任に報告したばかりですから」


ぐうの音も出ない。先生が関わっているとなると、風華には手が負えなくなる。


「……行ってよし」


風華は歯ぎしりをした。とても屈辱的であると感じているからだ。


「だってよ、行こうぜ神代」


「わ、わかった」


後輩の女が、風華を憐れんだ目で見つめていた。朝からプライドを折らんとする出来事ばかりで、熱が出そうになる風華であった。


「ポジティブになるのよ風華」


しかし、ここで持ち直すのが、霧登風華だ。


「あの腹立つ顔を見なくて済むのよー」


「独り言かね?」


「ひゃっ!」


デジャブと言うべきだろうか。ラファエルが風華を見下ろしている。


「ラファエル先生……」


「驚かしてすまない」


「いえ、こちらこそ申し訳ありません」


風華は素直に謝った。最近は謝る展開が続いていて、憂鬱になりそうな風華でもある。


「話は変わるが」


「はい」


「最近は何かと物騒だ。霧登君も気をつけなさい」


「心配ありません。どんな敵が襲ってこようとも、返り討ちにしてみせます」


「自信は成長の糧となる。その調子で鍛練を怠らぬ様にな」


ラファエルは階段を登っていった。 ふと、風華は昨日ラファエルが言っていた言葉を思い出す。


「生徒会長が遅刻なぞ目も当てられん」


そうだった。今日はいつもより遅く登校したのだ。「こうしてはいられない」と思った風華は、急いで自分のクラスに戻った。

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