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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 二章 七不思議編
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エピローグ

西暦二千五十年四月三十日。龍助はTPBから施設へ帰る準備をしていた。

星の力はまだそこまでだが、肉体の力と鮮血の魔眼は自分の意思で使用できるようになるまで成長出来た。

その大半は能力のおかげかもしれないが、彼自身もこの短い期間で十分努力していた。

施設へ帰ると言っても、学校が休みの日にはTPBへ訓練しに来ることには変わりない。

準備をしている龍助の部屋に呼び鈴の音が鳴り響いた。


「はい、どうぞ」


龍助の声を合図にドアのロックが解除された。

そして、ドアが開くとそこに立っていたのは穂春だった。


「兄さん、準備は整いましたか?」

「ああ、もう大丈夫だよ。穂春は?」

「私の方も終わりました」


穂春も一緒に帰ることになっているが、龍助同様学校が休みの日にTPBへ訪れることになっている。

学校は明日からなので、今日中には帰らないといけない。

高原先生にももうすでに連絡済みだ。


「そろそろ時間だし、行くか」

「そうですね!」


約束の時間よりは少し早いが、待たせるより待っている方が良いだろうと考えた龍助達は荷物を持って出入口付近の広場へと向かった。

二人が広場に到着すると、もうすでに京達が待機していた。


「すみません。遅れました」

「大丈夫だよ。約束の時間より早いよ」


京と叶夜と颯斗が龍助達を見送りにやって来てくれていた。


「それじゃ俺たちは行きますね」

「じゃあね! また次会う時までね」

「それでは失礼します。皆さん体調にはお気をつけて」

「穂春ちゃんも、体には気をつけて」


龍助、叶夜、穂春、颯斗と順番に挨拶していく中、京は暖かく見守っていた。


「くれぐれも気をつけるんだよ?」

「分かってるよ。京さん」


京の忠告に龍助は感謝しながら、荷物を持ってTPBを出た。

施設へは千聖が送ってくれることになっており、彼が車を出して龍助達を待っていた。


「それじゃあ千聖さん、よろしくお願いします」

「任せてください」


返事をした千聖がエンジンをかける。

そして龍助達を乗せた千聖の車はそのままTPBを離れていった。




◇◆◇




TPBから施設への時間は前と同じく三十分もかからなかった。


「ありがとうございました」

「いえいえ。あと龍助くん、これを」


千聖にお礼を言った龍助に千聖がある封筒を渡した。

それを見て龍助はこの間お願いしていた調査の結果だと察した。

調査内容は施設の高原先生の婚約者である北原翔平が本当に危険ではないかというものだ。


「すみません。ありがとうございました」

「また困ったことがあれば言ってくださいね」


そう言われた龍助は一礼だけすると施設の敷地内へと入って行った。


「龍助くんに穂春ちゃん、おかえりなさい」

「ただいま」

「ただいまです」


施設の中へ入ると、高原先生をはじめ、施設の関係者と子供たちが全員で天地兄妹を出迎えてくれた。

この光景に本当に帰ってきたんだなと実感する龍助達。

しかし、そんな中に一つだけ違うことがあった。


「おかえり。二人とも」

「……どうも」

「あら、こんにちは翔平さん」


高原先生の婚約者である翔平が出迎えていたのだ。

穂春は明るく挨拶したが、龍助はまだ警戒が緩められていなかった。


「二人とも荷物を置いてきなさい。ご馳走を用意したからみんなで食べましょ!」


高原先生に言われた二人は頷いてそれぞれ自分の部屋へと荷物を持って行く。

部屋に到着したはいいが、この後の片付けが面倒くさく感じる龍助。

時間つぶしに千聖が渡してくれた調査結果を見てみることにし、封筒を開けて中身を確認した。すると、


「危険性はなし、か……」


様々な調査結果と根拠が書かれた書類を見ていくが、特に危険性はないようだった。


「まあ、今はそうでも、いつどうなるか分からないし」


そう思った龍助は書類を見つからない場所に隠して、食堂へと向かった。



◇◆◇



食堂に到着するとみんなが準備をして待っていてくれていた。

穂春ももう到着してテーブルの一番奥の二つある誕生日席の片方に座らされていた。

二つあるということは、もしかしなくてももう一つは龍助が座るところだ。


「龍助兄ちゃんもこっちだよ!」


予想通り、みんなに促されて誕生日席に座ると、全員満足そうにしていた。


「それでは龍助くんと穂春ちゃんが帰ってきたことを祝していただきます!」

「「「いただきます!」」」


高原先生の掛け声を合図にその場の全員が声を出した。

翔平も一緒になって言っていたことに対して、違和感を感じつつもそんな様子を見て、今は良いと思ってしまう。

ただ、この環境が潰されないように引き続き力者の訓練を、そして、明日から始まる学校も頑張ろうと思う龍助だった。

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