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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 三章 入学編
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プロローグ

東京都、横浜市にある一つの廃ビル。その中には異空間が存在しており、そこには数多くの力者がいる。

ビルの最上階に位置する部屋には、大きな執務机があり、そこに座っている一人のスーツを着た男と、執務机の前に立っている少年が向かい合っている。


「今回お前にはターゲットの力を奪う任務があるが、分かってるな?」

「はい。抵抗するようなら始末する。ですね?」

「そうだ。くれぐれも油断するなよ?」


男の指示に少年は一礼してから部屋を出る。

少年は着ている制服のネクタイを緩めながらビルの出口へと向かった。

少年が通る部屋からは不気味な光を光らせ、叫び声や笑い声が聞こえてくる。


(相変わらずここは物騒だな……。まあそういうところだけど)


少年は声などに対してなんの感情も抱いていなかった。

出口へたどり着き、ドアを開くと、そこはビルの中から切り離された世界、一般人が住む世界へと変わる。


「天地龍助とその妹……。どんな力なのか楽しみだな」


少年は生まれつきの紫色の髪をかきあげながら、ニヤリと不気味に笑った。

その笑みは新たなターゲット達との戦闘が楽しみで仕方ないという感情の現れだった。

彼が与えられた任務はただ一つ、天地兄妹の力を奪うことだった。

奪うことに関しては、かなりの手練(てだれ)な少年には簡単に思えるものだった。

現に今、誰にも気づかれずに、魔法あるいは術で今どき珍しい八百屋さんに置いてあったリンゴを盗みとって食べている。

食べきったりんごをその辺にポイ捨てした少年は自分の家へと向かって歩いて行ったのだった。



◇◆◇




西暦二千五十年五月一日。龍助達の高校、月桜(つきざくら)高等学校の始業式が行われていた。

先程、久々に友人達の顔を見て、本当に学校へ戻ってきたんだなと実感する龍助。

始業式では校長先生の長ったらしい挨拶などを耳から耳へと聴き流していた龍助は後ろにいた友人の一人、田奈加響也(たなかきょうや)に背中を軽く叩かれた。


「龍助、転校生が何人か来たようだぞ」

「転校生?」

「話聞いてなかったのかよ……」


きちんと話を聞いていた響也とは違い、龍助は聞き流していたので、転校生のての字も聞いていなかった。

その様子を呆れ果てたように見つめてきた響也。

しばらく始業式は続き、終わったのが丁度十一時だった。

それぞれの教室に戻って行く生徒が多くて、なかなか窮屈に感じた龍助はやっとの思いで教室へと到着する。


「龍助。遅かったな」

「人混みに呑まれてた……」


クラスごとに順番で戻っていっててもやはり混むものは混んでしまう。

おかげで、龍助は軽く人酔いしていた。

先に教室にいた響也ともう一人の友人、乾(いぬい)智彦(ともひこ)が心配そうに龍助を見つめていた。


「それにしても転校生か。どんな奴が来るんだろうな!」

「さあ? 先生曰く三人来るらしいよ」


響也と智彦の会話を聞きながら自席に座った龍助。

三人も来るのは驚きだったが、龍助は特に興味を持っていなかった。


「おおい、みんな着席しろ。ホームルーム始めるぞ」


生徒たちの話し声の中から一人だけ野太い声が響く。

龍助達の担任の先生が入ってきたのだ。

先生が入って来たのと同時に生徒達は皆自席に戻った。


「校長先生からもあったが、今日からこのクラスに入る転校生を紹介するぞ。入ってくれ」


先生に入るように促され、ドアを開けた転校生が入ってきた。

龍助もそちらの方へ向くと、驚く光景が目に飛び込んできた。

転校生は先生の隣に立ち、スラスラと黒板に自分の名前を書いていく。


「初めまして、今日からこのクラスに転校してきた光金叶夜です」


明るい笑顔で自己紹介をした金髪の少女。

龍助は彼女を見て、こう思った。


(どこぞのアニメだよ……)


そんな龍助の気持ちとは裏腹に叶夜は龍助の方を向いてにこやかに笑っていた。

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