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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 二章 七不思議編
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二十九話 謎の医者

七不思議の一つだった少年に最後の挨拶を終えた龍助は叶夜と共に病院の受付ロビーにいた。

実は、帰り際に穂春の主治医の先生と偶然出会い、入院していたこともあったので、念の為に様子を聞きたいと頼まれたからだ。


「天地様、お次どうぞ」


看護師に呼ばれて診察室へ入って行く龍助達。

叶夜は待っていても良かったのだが、一応龍助の付き添いということで一緒に同行することになった。


「失礼します」

「どうぞ。こちらに座ってください」


診察室に入って見ると、そこには一人の男性が座っており、メガネが特徴的で物腰が柔らかそうな雰囲気をまとっている。

しかし、龍助達は一目見て目の前の医師が只者ではなく、力者だということに気がついた。


「まあまあ、そう身構えないで。僕はTPB所属の力者だ」


医師は龍助達を落ち着かせると再び椅子に座るように促し、龍助達はそれに従った。

目の前の医師の言っていることが本当かどうかは分からないが、彼から悪意などは感じられなかったので、とりあえず話をしようと龍助は思った。


「この度は妹がお世話になりました」

「いやいや、僕は彼女の傷を治しただけで本当に完治させたのは千聖さんだよ」


傷を治しただけでもかなりすごいことなのではないかと思う龍助は少し叶夜の方へ振り返る。

叶夜はまだ医師を警戒しているのか、じっと彼を見つめていた。


「そういえばまだ名乗ってなかったね。僕は北原翔平(きたはらしょうへい)。よろしくね」

「ああ、あなたが翔平さんですか」


医師が名乗り上げると、叶夜はなにか思い出したかのように手を打った。

どうやら面識はないが、名前は知っていたようだ。


「実は、君の施設の先生とも仲が良いんだよ?」

「え、そうなんですか?」


龍助の施設の先生は何人かいるが、その誰かと知り合いなんだと予想した。


「君が入院している時、千世(ちよ)さんに相談を受けてたんだよ」


千世とは高原先生の下の名前だ。

つまり翔平は高原先生と知り合いだということが分かった。それも、かなり仲の良い関係に思える。

もしかしなくても、龍助が入院中の際に高原先生が言っていた相談相手は翔平のことだったのだろう。


「千世さんがTBBの奴らに連絡したと聞いた時は焦ったよ」


(先生、この人に相談せずに連絡したんだ……)


翔平によると、高原先生が前々から龍助のことを相談していたらしく、そこで京に伝えたとのこと。

ただ、TBBに連絡したことは後から聞かされたらしく、大変慌てていたらしい。


「ご心配をおかけしました」

「良いんだよ。京さんがなんとかしてくれたし、君も頑張ったね」


初対面だからか、改めて褒められて龍助は少しこそばゆい感覚になった。

その後は、しばらく穂春の話が続いたが、そろそろ時間が来たので診察室から出ようとした。


「龍助くん。これからよろしくね」

「あ、はい。よろしくお願いします」


なんの挨拶か龍助にはさっぱり分からなかったが、これから力者同士、よろしくという風に受け取っていた。


「あの人、結構人当たり良いね」

「そうだな。悪い人では無い気がするよ」


初めの印象とは変わらず、とても柔らかい人だと思った龍助達はそのまま外へと出ていった。

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