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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 二章 七不思議編
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一話 通り魔再び

西暦二千五十年、四月十四日。

東京都内に小さな町に人通りのない場所に立っている一つのビル。そこは力者集団、TPBの本部となっている建物だ。

表向きは病院となっているが、ここでは魔法や術、能力などの研究や解析が行われている。

あとは敵の組織TBBに対抗するため、力者の訓練なども取り入れられていた。

ビル最奥部(さいおうぶ)にある異空間の広場では、いつものように沢山の力者が訓練をしていた。

その中に人一倍努力している少年がいた。


「龍助、結構使えるようになってるじゃん」

「でも、あの時の強い力が全然出せない……」

「だから、それは今は気にしなくていいよ。今は使えるものを使えるようにしないといけないからね」


龍助の成長はとても早く、能力の発動と抑えることが十分に出来るようになっていた。

ただ、以前の任務先で、化身と戦った際に使えた謎の力があれ以来、全く使うことが出来ない。

そのことを嘆いていた龍助だが、京に今は忘れるように言われ、一旦置いておくことにした。


「でも本当に龍助は成長が早いわ! 驚いちゃった」

「それくらい出来てもらわないと困る」

「またそんなことを言って……」


龍助の成長に驚き感心している叶夜と出来て当然と言う颯斗は本当に真逆な性格だ。

叶夜は颯斗のこの性格をもう少しマシにしたいと思っているのだろうけど、今のままでも良いのではないかと龍助は思う。そのことを叶夜に言ったことはあるが、彼女曰く、


「それだと颯斗が苦労するの!」


ということらしい。まるで弟を心配するお姉ちゃんだなと思う龍助だった。


「まあ、ここらで一休みするか」


京が三人にそう告げながらタオルやスポーツドリンクを渡してくれた。


「能力のおかげでもあるけど、龍助自身すごい努力家よね」

「そんなことないよ。勉強苦手だし……」


叶夜が小腹が空くだろうと作って来てくれたサンドイッチを頬張りながら話をしていた龍助達。そんな中誰かのスマホの着信音が鳴り響いた。


「はい、もしもし」


どうやら京のスマホだったらしく、彼がポケットから取り出し、いつもの軽い口調で応答する。


「えっ?! 分かりました」


京が何やら慌てた様子で電話を切る。


「京さん? どうしたの?」

「龍助。一緒に春永さんの所へ行くぞ」

「え? 何で?」

「……行けばわかる」


春永とはTPBのトップの人だ。

突然そんな人の所へ行くことに龍助は戸惑いを隠せなかったが、なぜだか、早く行った方が良い気がしたのでそれに従った。

京が意味深な表情を浮かべていることに龍助は嫌な予感が痛いほどした。


「じゃあ、俺に捕まって」

「分かった」


了承した龍助が京の服を掴むと、一瞬で目の前の景色が変わった。

先程まで訓練していた広場だったのに、いつの間にか大きな扉が現れていた。


「入るよ」


驚いている龍助に確認をとった京がドアにノックをした。


「入れ」


野太い男性の声で入るように促された。

京がゆっくりとドアを開けると、かなり広い部屋に沢山の棚があり、その中には沢山の本などが入っていた。

あとは周りにあるガラスケースの中には古そうな道具などが飾られていた。


「やあ、君が天地龍助君だね?」

「は、はい! そうです!」


奥にある大きな机に乗せられた書類に目を通しながら確認してきたのは、黒髪短髪でガタイのいい男だった。


「私は、四季狭間(しきはざま)春永。ここの責任者だ」

「よ、よろしくお願いします」


椅子から立ち上がった男は龍助や京より遥かに高身長で、黒い服が良く似合う。それを見た龍助は驚いた。

少なくとも身長百八十八センチはあった。


「いきなり呼び出して申し訳ない。実は大変なことが……」

「え、何ですか?」


春永が気まずそうに龍助の様子を伺っている。

一体何事なのかと龍助は緊張した。

そして、意を決したように春永が龍助を見据えて内容を口にする。


「君の妹さんが、通り魔に遭った……」

「…………は?」


一瞬何を言われたのか分からなかったが、時間差で頭の中で理解し、何度も再生された。


「う、嘘ですよね?」

「いや、残念ながら本当だ」


その言葉に龍助は強い目眩がした。その場に立っているのも辛いくらいだ。

自分の大事な妹、穂春が友達と遊びに行った帰り道に襲われたらしい。

酷く頭痛が起きて、頭を抱えている龍助に京が背中を叩いた。


「死んではいないんでしょ?」

「ああ、一命を取り留めたが、今は病院で入院していて、まだ目覚めてはないらしい」


京の質問が希望となったが、それでもショックが大きかった。どうすればいいのか分からず、混乱してしまう。


「龍助、今は穂春ちゃんの所へ行こう」

「ああ、行ってきなさい。施設の先生にも伝えてある」

「はい!」


京と春永のおかげで、病院へ行くことになった龍助は京に掴まって先程の瞬間移動で自室の前まで送ってもらった。

急いで必要なものだけを持つ龍助を京は部屋の外で待っていた。


「準備出来ました!」

「よし、じゃあ行こうか」


準備を終えた龍助がまた京に掴まり、瞬間移動で病院の近くにまで飛んでもらった。

病院の名は福島病院。どこにでもある大きな病院というのが一番印象的だ。


「龍助、先に中へ入っとけ。俺達も後で行く」

「分かった! ありがとう!」


京が消えるのも見ずに、返事だけ残して龍助は病院の中へと走り去っていった。

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