↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファーストキス  作者: 梅子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/9

父と兄

 急に心が空っぽになって、もう全てどうでもいいような、それでいて、すごく寂しいような気持ちになることがある。芽生子は、そういう時、だいたい動けなくなる。動きたいけど、どうやっても、この気持ちからは抜け出せない、と、そう思う。

 芽生子は、兄のことを考える。会ったことのない、兄。私は、別に、複雑な家庭で育ったわけじゃない。父親が再婚で、前の奥さんとの間に兄が生まれていたらしい。そういう人がいるってことだけしか、芽生子は、知らない。

 芽生子は、一人っ子として育ったから、兄という存在に純粋な憧れがあった。会ってみたい、とも思った。でも、母親が嫌な顔をするんじゃないか…と、思って言えなかった。私と兄は血がつながっているし、母親と私も血がつながっているのに、兄と母は、血がつながっていないってことに、芽生子は、不思議を覚えた。

 母がいない時、父親に聞いたことがあった。

「ねえ、お兄ちゃんってどんな人?」

「どんな人って?」

「顔は?お父さんに似てるの?」

「似てないよ。」

「え?」

「前の奥さんの方に似てるんだ。」

「そうなんだ…じゃあ、背は?」

「お父さんより高いよ。」

「175、6?」

「そのくらいじゃないかな…」


 父が、定期的に兄に会いに行っているのも知っている。高校2年生になるらしい。父は、どこか外で、例えば、フードコートとか、ラーメン屋とか、そんなところで、兄と待ち合わせしているらしかった。私は気になりつつも、興味本位で、親子の再会を邪魔するのも、どうだろう…と思って、余計な詮索はしなかった。

 父はいつも、兄と会う時、「ちょっと行ってくる。」と言う。そして決まって、母に対して気まずそうな顔をしている。何も知らない時、芽生子は、「お父さん、どこ行くの?」と、聞いたことがあった。

「お兄ちゃんのところ…」

父は、何もごまかさず答えてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。