表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

新聞の二ネタ探し(草むしり)

感想などもよろしくお願いいたします

我が家と言うのは常に心落ち着く場所ではない。


時には、さらに疲れてしまう場所でもあるのだ。


我が家は、今時、首都辺りでは珍しい一軒家である。


2020年の東京オリンピック後首都の一軒家の数が半分以下となった。


外国人が多く、日本に入ったため、一軒家を取り壊しその土地でアパートでもつくって、人に貸した方が金が入ると考えた人が多かったかららしい。

実際それでもうかった人も多い。


しかしうちはその流れには乗らずに家を取り壊さなかった。

土地的には、そこそこよい場所なのでそれなりの額で売れたかもしれないが、祖父が、「私はこの土地を預かっているのだ」とか訳のわからんことを理由に売らなかった。

父親もまぁ無理に売らんでも金はあるからいいかなとそれについては忘れることにしたらしい。


俺的には売ってなくてよかったと思う。

なぜかと言えばそれは自分の部屋を持てるからだ。

自分の部屋という自分だけのお城。(度々荒らされてはいるものの)

思春期真っ盛りの高校生は、それだけで生まれてきてヨカッタ~!と思ってしまうものである。


閑話休題

さて、そんな我が家の自慢と言うとなんだろうと考える。一番最初に思い浮かんだのは建てられてからの年月だろう。

我が家はオリンピックの開幕以前から建っていた家らしく老朽化が進んでおり、廊下を歩くとギシギシと軋む。小さい頃はその今にも板が抜けんばかりの音が怖くてしょんべんいくのに姉についていかなくては行けぬぐらい怖かった。

今ではいい思い出である。

我が家の自慢は、もうひとつある。


「庭」である。

それなりの広さを持っていて夏にはバーベキュー等も....滅多にしないが、

ちょっとした野菜のような物を育てたりする。

我が家の庭にはこんな思い出がある。

小学生の頃、学校のミニトマトをもって帰ってきた時に、

置く場所を求めて、庭においてたら、

翌日葉に油虫がびっしり葉の裏までついていて母に、てんとう虫を買ってきてほしいと泣いて懇願したことがあった。

(てんとう虫は、油虫が好物である。肉食?)


つまり我が家の庭は、生き物の楽園で、毎年我が家の気には、カブトムシや蝉などの昆虫、紫陽花にはカタツムリ等がついて、四季折々の変化がみられる。


と聞こえは良いが、実際楽しい生き物の楽園を保つには多少の労働はつきものだその中でも一番シンプルな労働と言えば

雑草とりである。


かの昭和天皇は言った。

「雑草という名の葉っぱはない。」なんと素晴らしきお言葉。

心に響きますな。

しかし、そんなことが言えるのは、きっと余程の植物マニアか、雑草とりというのを余り経験していない人だろう。


雑草とりをするものにとって、所詮名のある雑草でもそれを知るよしもないのである

ただの邪魔な存在にしか過ぎないのである。


さて、何故突然そんなことを言い出したかというと


今、俺は、雑草を抜き抜き抜いているのだ。


母に命令されて。

「はぁーヨイショーヨイショ。」

意味のわからん、掛け声を発しながら、雑草をぶちぶちと抜く。

(掛け声でも発しないと抜きにくい雑草とりなんかやってられんから。)


あのあと茅野と別れ家に帰えったら、

玄関先で掃除をしていた母がこちらに気づいて「あ、ちょうど良かった」と言った思ったら、黒く汚れたもう替え時な軍手と錆が酷くなってきたシャベルを持たされ庭に放り込まれたのである。

本当は、自室に戻って

カルマ亘先生の新作小説、「ミノタウロスの迷宮」(推理小説)を片手に新聞作りに励もうと思った時にである。

....まぁこんな自然?豊かな庭なら新聞の題材である「季節外れな物」も見つかるかもしれないとうっすら期待していたのだが

ただいま何か見つかったものと言えばせいぜいこの黄色い菊の花位である。もう季節は、過ぎてしまっているような気がする。

しかし、そんな菊も容赦なくぶちぶちぬいてゆく。

根ごと花ごと。

季節外れの葉などいらぬのだ。

菊は食べれた気がするけど俺は少し苦手だ。

それに

疲れて小腹がすいたら、あれを食べるのだ。


そう。

「最高級フランスケーキを!」(商品名。)


嗚呼愛しきケーキ。

豆腐のように柔らかく、

フォークで、触れるだけで倒れかねない繊細さ。

上に乗るのは、王冠のごとき美しき苺。

食べた時の食感は、まるで、天にのぼるほどの幸福感!!(宣伝文句)

嗚呼それを食べながら、小説を読む最高の贅沢!

それを食べるため、さっさと新聞作るために俺はシュタタタタとまるで、芝刈機で、(過剰表現)狩るように、雑草を刈る。


ショベルで根を掘り返しては抜き掘り返しては抜く作業である。


しかしさっさと終わらせてだらけたいという欲が彼のやる気を逆に上げていた。

「オラオラ」

という掛け声と共に次々と雑草が無惨な姿を露にしていた。

無惨と言えばこの庭もである。

彼が無茶苦茶に雑草を抜いているせいで、辺りが土だらけ雑草だらけになっていた。

ショベルで土ほっていてその土が、庭を汚しているのだ。


....適当で、センスがない。


さてところ変わって玄関にいま二人の男が立っていた

一人目は

大柄で、鍛え上げられた筋肉をもった男。肌は褐色で、チョコレートのように黒い。食べたら甘そうである。食べたら甘そうなのはさすがに冗談である。

実際は、全く甘くないような雰囲気を出している。

舐めたら殴られるだろう。(そりゃそうだ)


そして、もう一方の男は、まず金髪である。しかしこの金髪染め上げられたものらしく、日光でキラキラ光っている。何?スプレーで染めても日光でキラキラ光ることはない?光っているのは汗のせいだと。

まぁ確かに彼は青一色のハンケチで、首すじの汗を拭ってはいて、暑いということが分かるが

そこからスプレーで光るか光らないかというのは、あまり問題ではない。物語に支障をきたすこともない。それに彼がスプレーで金髪にしたのと耳にへんな形のピアスをつけているという情報だけで彼がいわゆる

「チャラ男」と言われる者であることを語りのには充分である。

一応、身なりだけは、きちんとしておりちゃんとスーツ姿である。


その金髪の男がインターホンを人差し指でかるく押しつけた。

ピィィンプォーン

少し長めに押していたようで、音が長めに押していたのと同じぐらい、流れる。ここまで長く押してしまうと指紋もべったりとついてしまうに違いあるまいと

思われたが金髪チャラ男には黒い軍手が嵌められていた。汚れていない新品のである。


「どちら?」

インターホン越しに声が聞こえた。

声のオクターブ的に女性であると金髪ちゃらーは、直感した。機械的な感情のこもっていない女性の声ではない。

ちゃんと疑問詞がつく肉声である。

金髪ちゃらーは、一呼吸おいてから口を開いた。




カツゥーン。

金属同士がぶつけ合う音がした。その衝撃が持ち手に伝わり腕が若干痺れた。


「あにゃにゃ」

思わずショベルを地面に落とした。ショベルが土で汚れる....いや元々土を掘るものなので本望か。

石橋は、「うっつつ」

と呻き声をあげて、腕をブンブンふった。

痛いというか痺れ。

気持ちが悪い感触が腕を走るのだ。


やれやれようやく痺れが無くなってきた所で、

俺は、先程のショベルで、ぶつけた謎の固い異物の正体を探るべくまたそこらへんをショベルでほる。

ザックザックザックジャパンと....ふるいな。

さて、ようやく先程の異物の角が見えてきた。

金色の....といっても金そのものではない、箱のような何かが見えてきた。

その周りの土をショベルで掘る。

掘れば掘るほど土が固くなっていき少し苦労をしたが、何とか異物の中腹まで掘り出すことができた。

さすがにこれ以上ショベルで掘るのは至難の技で、大きなスコップでも持ってこなければ出すことは難しいであろう。

なので引っ張って出す方が容易いと思った。

さて異物を一気に引っ張ろうと俺は軍手をしめなおし、腰をひいて缶の端を持って一気に引っ張りあげた。

「こっ!」

腰が!腰にくる!重い!

中になに入ってるの?これ?

腰を擦りながら缶を流し台に置いた。


やれやれまだじじいでもないのに。

こりゃ湿布が必要だなと

俺は、あの薄い白い長方形を思い浮かべながら、縁側から家に入った。

俺は、使い捨てのスポンジをとりに台所に向かう。

台所には一人の女性が冷蔵庫を漁っていた。

「えっと何してるの?」

冷蔵庫から取り出した物に視線を集めながら聞く。母親美流みるは、

「お客様に出すのよ」

と答えた。

彼女が持っていたのは、そう最高級フランスケーキである。

「えっそれたべようと....」「お客様優先。」

問答無用と言わんばかりに箱から出したケーキを小皿にのせて、こぶちゃの入ったお盆と一緒に客間へ運んでいった。


....はて、ケーキにこぶちゃなんてあうのだろうか?

「おっあったあった。」

棚にあった

未開封の使い捨てスポンジを袋ごともって

裏口に戻ろうとしたら階段をドッタバタ足音を立てながら降りてくる者がいた振り変えると玄関にて靴箱から履き心地がよく駆け回るのに最適な靴などと宣伝するシューズメーカー「迅速」の靴を持った女性がいた。


姉の麻津まつ

である。彼女の足元には、大きなリュックサックと何冊かの本がおいてあった。本が置いてあるということは、どうやら原稿待ちらしい。


姉はフリージャーナリストである。


様々な本の批評を書いたり雑誌のコラムなどで文章を書いたりしてる。

この前に一つ連載をもらったらしい。

そして俺に新聞部へ入ることを促した人物でもある。

驚かしてやろうと幼稚な考えで玄関までそろりそろりと忍び足で彼女の二三歩後ろまで進んだ所であることに気がついた。


彼女の持ってきた本の中に未開封なものがあったのである。

俺は、その未開封の本に張られたテープに見覚えがあった。


そうこれは、駅前の本屋「尺八」のテープ!

そして最近そこで買ったものと言えば一つしかない!


そう俺の読書ではベスト10に入るほどよくよむ作者、そうカルマ亘先生の最新作「ミノタウロスの迷宮」

である。


彼女は、後ろにいた俺に気づいたらしく、薄い透明のカバーで包装されている本の表紙を振りながら、

「これ。借りるわ」

と。       

俺は何も言わなかった。

唖然としすぎて言葉が出せなかったのだ。

彼女は、なにも言わないつまり良いのねと解釈したらしく、リュックのチャックを開けて、本をその中に仕舞おうとしたので俺は、それを「まっまって。」と言葉で制止させた。    姉は「なによ」と申しながら俺を見上げた。

「何も言ってないのに何で、しまうの!」

「だってあんた何も言わないじゃない。何も言わないつまり否定しないってことでしょ?だから私は、本をリュックにしまったの。

それをあんたが止めたから私は、何よと首を捻ったの。「あなた」が、「肯定した」はずなのにまた「否定」しだしたから。私は、首を捻ったのよ?」


と言いながらチャックを閉めるのを中断した。

つまり交渉の余地があると言いたいらしい。

この交渉は、勝たなければならない。フランスケーキは、とられた。だからせめてミノタウロスだけは死守しなければと俺は、おもいながら言った。

「だいたい何で、俺の部屋にある物をすぐ、持っていちゃうのさ!」 

と申し立てた。

すると彼女は、

「えっ?」

とポカーンとした表情をした。

....なぜ、そのような顔をするのか疑問に思った。

彼女は、今度は考え込んだ顔をしてその後口を開いた「いや、悪いけどあの本

リビングに置いたままだったけど....」

はて。「そうだっけ?

置いたままだったかな」 彼女は無言で頷いた。

不味い。本当に自分の部屋においてあったかどうか

心配になってきた。


うちの家にはルールというものがある。


それは自分の物の管理権である。

一声で言えば、一階にあるのはみんなのもの自分の部屋においてあんのが自分の物。というルールである。

自慢じゃないが

うちの家は広い。

....あれもうしたか?

まぁいい。

うちの家は、だだっ広いのである。自分達の部屋と空き部屋がいくつか開く位には。祖父が死んでからますます空き部屋が増えてしまった。

だからといって物を置きすぎるのはよくないし独占するのも家族のゆとりがへる。そこで父親が強いたのが上記の「一階にあるのは家族の物!自分の部屋にあるのが自分の物!」政策である。某ガキ大将口調なこの政策は、一階にある物は家族が自由に使って良いもの。しかし自分の部屋にある物はその部屋の主に許可を得ないとならない。


そしてこれを破ったものは、何らかの処罰をくだすというものである。

だから俺は、フランスケーキを諦めたのだ。

一階にあった物は、家族の自由だから。

しかし、このミノタウロス論争は、俺は、二階にあったのだというのと姉の一階あったものだということになっている。


彼女は、言った。「規定通りなら、たしか一階にあるのは自由に使ってもいいはずだよね?」「う、う~ん」これは少し厄介なことになってきたぞ。

俺の記憶では確かに二階に置いた気がするがもしかしたら一階に置いたままだったかもしれない。


というか昨日は新聞作りに追われていたせいか

昨日の出来事について記憶がおぼろげである。

俺は、そこで、沈黙した。

彼女は、そこをついた。

「よく覚えてないようね。まぁ昨日頑張って作ってたもんね。その季節外れのなんちゃらってやつ。」

一呼吸置いたあと彼女はぱんと手を叩いた。「じゃこうしましょう

今回の所は、これでおしまいにする。私は、この本を持っていく。でもその代わりあたしが帰ってくるぐらいまでぐらいはあたしの部屋に自由に出入りしてもよい。これでいい?」

....

「うん。まぁいいか。」

俺は、どうも腑に落ちない部分があったが彼女の出してきた条約に賛成した。

彼女はぱぁと顔をにっこりしながら手を出してきた。俺はその手を握る。

「交渉成立ね。

さて私はこれから仕事だから行ってくるわ。じゃ」

彼女は、リュックのチャックをしめてそれをしょい

自転車の鍵をもってからドアを開ける。


外の光が家の中に入ってきた。彼女は、

「行ってきます。」

と言って外に行った。

ドアが閉まるのと同じぐらいに家の門を開ける音がした。


「....何だろう。この感じは。」

何かがおかしい気がする。

......そういえば。

「そういえばなんで姉貴、俺が季節外れの原稿書いてんの知っているんだ?」

それに彼女、行ってきますと言った時にこちらへ向いたがその時の表情が、なんだか変だった

まるで、してやったりという表情で。

言ったのだ。

「まぁいいか。」

思い過ごしかも知れないし季節外れの件も茅野辺りから聞いたのかもしれない。


俺は再び縁側の方へ向いて庭先へ戻ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ