52話 閑話 ほのぼのガールズトーク
精神的に追い詰められた彼女達がほのぼの会話するだけのお話です。
夜は怖い。
まるで全てを闇で覆い隠して私という存在を消失させるようで。
肉体を失い亡霊になってなおこの世に留まり続けていると自分という存在が分からなくなって少しずつわたくしという人格が失われていくような錯覚。
まるで『肉体』という鎧を失った『魂』が負の感情や魔力に染めあげられるような。
日が落ちて闇が支配するこの時間帯は特にそれを意識してしまってあああああ!
振動魔法を生み出したおかげで五感の内、視覚以外に聴覚を取り戻したもののそれ以外は何も感じません。
それなのに何故か寒く感じます。
温もりを!触覚を!生前では当たり前だと思っていた感覚!
欲しい!生者が持つ温もりに!温めて!私を!誰か抱き締めて!私という存在を!
生者が憎い!私だってまだ生きたかった!まだ死にたくなかった!
やりたいことたくさんあったのに!もう私を慕ってくれた方々の顔すら記憶から薄れて…
お父様やお母様も顔すら朧気になってしまって自分が人外になっていく感覚を実感してしまいます。
「お姉さま!エルティアナお姉さま!!」
気付けば錯乱して心から信頼できる方の名を叫んでいました。
何故かゴブタロウさんとエルティアナお姉さまの居場所が感知できるのですぐに彼女の元にたどり着けました。
「お姉さま!お姉さまああああ!」
「どうしたのエミリー?」
「怖いんです!自分がどんな存在なのかを!誰かが自分を操作している感覚!まるで自分の人生が誰かに操られていて存在が!私がああああ!」
声にもならない!
まるで自分が小説出てくる登場人物のようで。
それを意識するとどんどん胸が一杯になってきてー。
肉体が存在しないのに動悸がどんどん激しくなって呼吸が荒くなる感覚。
身体はどんどん冷え込んできて視界が暗くなってきて私という存在が曖昧になってきています。
「私という存在は何なのですか!?死んでもなお存在する意識!浮遊しているのに空中から落下する感覚!体温など無いのに身体が冷えて痺れて!自分が誰かに創られた存在みたいで!操られているみたいで!」
「エミリーはエミリーでしょ。グリザイユ伯爵家のお嬢様で私の可愛い友人でー」
「違うんです!もうそれは過ぎた事なんです!!私は私は誰かに!!」
泣きたいのに泣けない。
温もりを求めても感じられない身体。
決して理解されることが無い感覚。
理から拒絶された存在、それが私。
「ねえエミリー?」
「あああああ!助けてください!助けて!私は!自分を!」
「エミリー!」
「自分が何なのか!私は一体何ですか!?私は私はあああ!」
「エミリー!」
「はい何でしょうか!?」
パニックなっている私の声さえも打ち消すほど大声で自分の名を呼びかけられて思わず返事をしてしまいました。
「エミリー?どうしてそんなにフードを深く被っているの?」
「え?」
お姉さまがどうしてそんな事を言い出したのか理解できません。
だって私は魂のみの存在なのですから。
「どうしてそんなことを尋ねるんですか?」
「今のエミリーは、緑色のローブを被っている姿に見えるってゴブタロウや私が言ってたよね」
「はい、下半身が無くてまるで現世を彷徨う亡霊みたいって、いえ実際にそうなんですけど」
「ちょっとローブのフードを外して金髪を晒してみて」
「いえ、無理ですよ!」
「無理じゃないよ!だってその姿になったのはエミリーの想いでそうなったのだから」
エルティアナお姉さまの発言で困惑していると私に近づいてなにやら頭を触れようとしています。
何でそんな事をなされているのか分かりませんがなにやら心が落ち着いてきました。
「私達と再会した時、私に言ってくれたよね?ゴブタロウにどうしても自分を認識させたくて頑張ってイメージしたり声を出そうと努力していたことを」
「はい、確かに。あの時、ゴブタロウさんが私に気付いた素振りを見せた時、嬉しかったです」
そう、本能に基づいて前に前に一歩でも前進していたらゴブタロウさん達と合流しました。
でも二人ともすぐには気付いてくれませんでした。
お姉さまは忙しそうだったので負傷のせいか、その場から動かないゴブタロウさんに構って!
手を振ってみたりお身体を触れてみたりどうにか自分を認識しようと試みてましたが悉く失敗してその後は…。
「思い出した?」
「はい、自分の身体をイメージしてそれから…」
「うん、じゃあ金髪を晒している自分のイメージを想像して」
「分かりました。見ていてくださいね」
生前、私は自分の髪に自信がありました。
使用人が手入れをしてくれたのもありますけど、毎日、鏡を見て艶らかな金髪が美しくて。
光の魔力所持者と判明してからは表向きの社交辞令が激しくなって肉体や肌、性格や美貌、声、学力などを褒められても良い気はしませんでしたが、唯一自信があった金髪を褒められると嬉しくてしょうがありませんでした。
つい、お姉さまにその事を話してしまうほどに。
だからこそ、もう一度私の金髪を見てくださいませ。
「綺麗だよエミリー、まるで先ほど手入れされたかのように艶らかで素敵な金髪だよ」
「そうですか?」
「私は色んな人と出会ったけどこんなに綺麗な金髪とそれに似合う美貌の女性なんてエミリー以外逢ったことないよ」
「本当ですか?」
「ふふふ、思わず嫉妬してこうやって思わず触ってしまいたくなるほどに…ね?」
火傷跡と傷で怖く見える時もあるお姉さまの顔は、本当に優しくて。
お世辞かもしれませんが褒められるだけでつい嬉しくなってしまいます。
お姉さまが何度も頭を撫でようとしても触れられない現状をみていると本当に。
本当に自分が、お姉さまの温もりを味わえないのが残念です。
だって、ゴブタロウさんに憑依できて温もりを感じられた日から何度もエルティアナお姉さまに憑依しようとしても失敗してお楽しみをお預けにされているのですから。
「お姉さま?」
「どうしたの?」
「なんでゴブタロウさんに憑依できるのにお姉さまには憑依できないのですか?」
「疑似神聖魔法を行使できるように儀式をやったせいかもね」
少し悩んだ末に頬を掻きながら答えてくれましたがそれは違うと思います。
何故ならまるで満員で自分が入る隙がないように弾かれるのですから。
不思議な力で弾かれるのではなく潜り込める隙間が無いせいで衝突している感覚がありますので。
本当に世界や理というのは、私に嫌がらせしてきて辛いです。
「肉体にすら憑依するどころか守護霊が死守するかのように弾かれるのでそれは違うと思いますよ」
「どうやら私の守護霊は主人と同じように仕事をし過ぎのようだね」
「いえ、その守護霊がたくさん居て悪霊すら近づけない感じです」
「エミリーは悪霊じゃないのにね。どうやったら守護霊を説得できるか調べておくよ」
冗談を仄めかすように発言してますが、案外本気で言っている感じがしますね。
そう考えると私を認識してちゃんと想ってくれて嬉しく感じます。
ねえ、お姉さま。
貴女が望むならどんな事でもしますよ。
そんなことを伝えたら貴女は絶対に拒否したり否定して私の事を想ってくれると思いますけど。
「ねえ、エミリー、一つだけ伝えておきたいことがあるんだ」
「はい何でしょうか?」
「魂と魂は繋がっていると言ったらそれを信じてくれる?」
魂と魂が繋がっている?どういうことなんでしょうか?
少なくとも私は闇の中に瞬く小さな光であり他は真っ暗なんですが。
「人との出会いは無駄ではないって事。つまりこうして会話しているのは縁であり運命なんだ。そしてそれは魂に情報として刻まれる」
「魂にですか?」
「そうそう、だから人は独りぼっちのように感じるけど誰かしら繋がっているって事」
「そんなもんでしょうか?」
「まあ、普通は性欲とか家族愛とか友情とかと認識してそれに気付けないけどね」
つまり、亡霊である私でもお姉さまの魂と繋がっているって事?
無残にも殺害された使用人、両親、兵士、街の皆様。
私は繋がりがあったからこそ未練があり現世に留まっているという事を伝えたいのでしょうか。
「だからエミリーは1人じゃないって事。だからそんなにフードを深く被って俯いて泣くことじゃないんだよ」
「お姉さま…」
「今のエミリーはフードを外して元気に動き回るのが似合っているよ」
ああ、温かい。
温もりなんて感じないはずなのに会話していて心が温まってきました。
「もうこんな時間だし寝ようか。エミリーは寝ているゴブタロウに憑依して」
「ええ、そうする予定ですけど、それがどうかしました?」
「私がその後に抱き寄せれば、エミリーは私の温もりを味わえるのかなって!」
「お姉さまあああああ!!!」
思わず胸の中に飛び込みましたが貫通してしまいました。
ああ、霊体が憎い!肉体さえあれば。
「じゃあ、行こうか!」
「はい!」
ふふふ、お姉さま!思う存分、温もりを味わいますよ!
覚悟しておいてくださいね!!
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あア、死にたイ。死にタい!!【死】が欲しイ!欲しイ!欲しイ!
何でいつもいつも私ヲ差し置いて【死】という安息を得るのか!
オ前ガ強イセイダ。
私が困難にぶつかる度に泣キ叫ぶお嬢様ダったら良かったのか?
くだらなイ!そうやっても解決策など浮かばなイし前には進まない!
ダカラ死ネ無イ。無駄ニ強イセイデ。
「私だって英雄として死にたかった。【戦乙女】ヴィーラのように」
デュラント教国史上初メて女性で佐官クラスに昇格した英雄にして【24の神聖武器】の3つヲ使いこなした天才。
私は彼女ニ憧れた。
何故かっテ?彼女は人類を滅ぼさんト襲来した魔神と相打ちになりそのまま神聖武器と共に時空の彼方へと消え去って伝説になったのだから。
その伝説は、海を挟んだアンフィスオピス連合王国の侯爵令嬢でアった私も知っている。
ダからこそ私ハ、彼女の後追いヲしたかった!!!
「でも私は【異端者】で生き恥を晒している惨めな女」
【教会審問部】ヲ治める枢機卿、『司罪卿』のご子息であり直属の上官デあった准将を殺害した私には無理だった。
いくつもの伝説を築いて女騎士の地位向上を果たし最後に戦死して【英雄】と讃えられた彼女。
【異端者】として粛正されたはずなのに助けたはズの部下のおかげで生き延びた哀れな敗北者。
ダカラ死者ニ縋ルノカ?
何か問題でもあるノか?
過去ヲ全部切り捨てたトみせかけて結局、引き摺っている私。
罪の象徴かのよウに傷や火傷から痛みが駆け巡る。
死者に縋らなイと薬物を用いてでも痛みを誤魔化す私にハ耐エ切れない。
今なお、戦死した部下達に謝罪しテ彼らを忘れない様に返事が返ってこない点呼を取り、一日の出来事ヲ報告するのガ日課だ。
「エミリーと代われるなら代わってあげたい」
彼女ハ私と真逆の性格だ。
死を拒み亡霊にナってなお成長し、新たな可能性を見せる彼女。
生を拒みながラも動く屍のように生き恥ヲ晒し続け限界を超えている私。
ソれは自覚しテいるが、やはり自分の経験を誰かに継承せずに亡くなるノは勿体ない。
教エたい。
ソれが、辛うじて私を現世に留まらせている理由であり目標であり概念だ。
だカらこそ、ゴブタロウが私より死ねば、今度こそ現世に留まる理由ナど無い。
自決しテ、ようやく私は安らかな眠りをつくことができる。
もちロん、私の方ガ先に死にたいのでそうなっては欲しくないノだがな。
「お姉さま!エルティアナお姉さま!!」
嗚呼、声だけでエミリーの切迫しテいる姿ガ思い浮かぶ。
元から精神的に成長すルことがなく頭脳と肉体だけが成長してシまった彼女。
肉体ヲ失い、精神が崩壊しつツある魂。
あレほど見ていて悲しい物ハない。
「お姉さま!お姉さまああああ!」
「どうしたのエミリー?」
ダから彼女の叫びをヲ!魂ガ発している感情を!全力で受け止めテあげる!
ソれが彼女を守ってあげラれなかった私の贖罪であり自己満足であり義務でアるのだ。
「怖いんです!自分がどんな存在なのかを!誰かが自分を操作している感覚!まるで自分の人生が誰かに操られていて存在が!私がああああ!」
どウやら肉体が無い事による不安で、自分トいう存在の定義が分からなくなったようだ。
安心しテ、エミリー。
五体満足で魂、精神、肉体がある私でスら自分の存在意義ガ分からなイのだ。
あハははははっはっは!こんな愉快な事アる!?
心細クて頼って相談に来た存在の方が狂っているなンて!
「私という存在は何なのですか!?死んでもなお存在する意識!浮遊しているのに空中から落下する感覚!体温など無いのに身体が冷えて痺れて!自分が誰かに創られた存在みたいで!操られているみたいで!」
「エミリーはエミリーでしょ。グリザイユ伯爵家のお嬢様で私の可愛い友人でー」
ダから人間であった彼女の事を、淡々と告げるシかない。
だっテ、自分すら答えが出てないノに彼女が納得できる答えなど出セる訳ないじゃないか!
「違うんです!もうそれは過ぎた事なんです!!私は私は誰かに!!」
死んでモなお、ご都合的に存在させらレているのが可笑しくてしょうがないって事?
まるで自分が誰かに創られた小説の登場人物みたイって事を告げたいのかな?
それが事実だっタら私という存在を創り上げた存在はー。
さぞ悪趣味で異常者で、ソして私の尊厳と心を踏みにじるのが好きな著者なんダろうな。
「ねえエミリー?」
「あああああ!助けてください!助けて!私は!自分を!」
「エミリー!」
「自分が何なのか!私は一体何ですか!?私は私はあああ!」
「エミリー!」
「はい何でしょうか!?」
良シ、これデいい。
だって、エミリーはエミリーじゃナいか。
そレ以下でもなく、それ以上でモない。
答えガ出ない数学を解くほど滑稽で時間の無駄はない。
そんなくだらない物ハ哲学者と専門の学者共に放り投げればいい。
「エミリー?どうしてそんなにフードを深く被っているの?」
「え?」
ダからこういう時は論点を逸らすのが一番いイ。
今回の場合はいつもよりもローブを深く被っているのが気になるからそこを重点に攻めていく。
「どうしてそんなことを尋ねるんですか?」
「今のエミリーは、緑色のローブを被っている姿に見えるってゴブタロウや私が言ってたよね」
「はい、下半身が無くてまるで現世を彷徨う亡霊みたいって、いえ実際にそうなんですけど」
私ノ発言で彼女は困惑しテいるようだ。
これハ良い傾向だ。
答えが用意さレていない彼女の話に真面目に付キ合ったら日が3回沈んでも話が終わらない。
私は、彼女ノ純粋さは尊敬に値するがそれを真面目に付き合うほど優しくない。
「ちょっとローブのフードを外して金髪を晒してみて」
「いえ、無理ですよ!」
「無理じゃないよ!だってその姿になったのはエミリーの想いでそうなったのだから」
あくまでエミリーの本気の想いヲ受け取ってそれをうまく受け流して落ち着かせる。
彼女の生前からやってきたことであり今後もやっていクだろうね。
異端者と呼ばれる私ガ優しい訳ないじゃないか!
やってるのハ論点を逸らして無理やり私の個人的な意見を通しているだけ。
「私達と再会した時、私に言ってくれたよね?ゴブタロウにどうしても自分を認識させたくて頑張ってイメージしたり声を出そうと努力していたことを」
「はい、確かに。あの時、ゴブタロウさんが私に気付いた素振りを見せた時、嬉しかったです」
そう、彼女は私より弱者である負傷したゴブタロウを気にシていた。
弱肉強食、生存本能、自尊心。
理由はいくつも後付けできるが要するに人は弱者を下に見る傾向がアる。
もチろん、動かないゴブタロウの方が自身の存在に気付けると判断したと思うけドね。
少なくトも私では、彼女の期待には応えらレたなかった。
「思い出した?」
「はい、自分の身体をイメージしてそれから…」
「うん、じゃあ金髪を晒している自分のイメージを想像して」
「分かりました。見ていてくださいね」
私は、エミリーが亡霊として再会シた時、本気デ滅しようと考えた。
それハ、今でも変わってなク彼女がここで満足げに成仏できるなラ容赦なく昇天させる。
だッて、私からシたら【死】は『安息』であり『救い』だ。
だからコそ、私は【死】かラ逃れる動く屍や亡霊に反吐ガ出る。
「綺麗だよエミリー、まるで先ほど手入れされたかのように艶らかで素敵な金髪だよ」
「そうですか?」
「私は色んな人と出会ったけどこんなに綺麗な金髪とそれに似合う美貌の女性なんてエミリー以外逢ったことないよ」
「本当ですか?」
嘘は言っていない。
アの時、エミリーがフードを外して顔ヲ見せた時、亡霊とナって甦った事実に嫌悪感を覚えてすぐに成仏さセたいという感情を抱いたと同時に、その時の彼女ハ美しかった。
そレは、任務の為に彼女と接触した時ト同等か、それ以上ノ美しさであった。
「ふふふ、思わず嫉妬してこうやって思わず触ってしまいたくなるほどに…ね?」
こうやっテ思わず手を出して彼女の髪を撫でようとするほどに。
初対面ノ時モヤッタノカ?
やっタよ!なんか問題あるノか?
伯爵令嬢ニ手ヲ出スナンテ問題ダラケデハ?
煩イ。黙レ。
「お姉さま?」
「どうしたの?」
「なんでゴブタロウさんに憑依できるのにお姉さまには憑依できないのですか?」
確カにゴブタロウには憑依できルのに私には憑依できなかったね。
ソのせいで、彼女ハ機嫌が悪くなったけど…。
デも私に憑依すると激痛に襲わレるよ?
魔法で何とかナるはずもなく麻薬を調合しテ痛みを誤魔化すほドにね。
「疑似神聖魔法を行使できるように儀式をやったせいかもね」
でもそんナ残酷な事実は隠す。
私に憑依するのガ希望であるなら私自身の手でそレを葬るなんて事はできない。
パンドラの箱に残っタ希望が新たな絶望の種だったとしてもそれヲ告げる勇気などない。
「肉体にすら憑依するどころか守護霊が死守するかのように弾かれるのでそれは違うと思いますよ」
「どうやら私の守護霊は主人と同じように仕事をし過ぎのようだね」
私に守護霊ナんて居ないダろう。
アるのは悪運と償いきれない罪と痛みだけ。
『ベロボーグ神教』を叩き込まれているカらこそ、そんナものなど存在しないと否定できる。
何故なら、ソれはー。
「いえ、その守護霊がたくさん居て悪霊すら近づけない感じです」
「エミリーは悪霊じゃないのにね。どうやったら守護霊を説得できるか調べておくよ」
死んだ部下達の想いが私に宿っテいるのか。
くだらなイと思いつツも未だに部下に縋っていル私にはありガたい話だ。
フふふ、嗚呼!いイよ。すごク心地いい。
「ねえ、エミリー、一つだけ伝えておきたいことがあるんだ」
「はい何でしょうか?」
「魂と魂は繋がっていると言ったらそれを信じてくれる?」
いきナりの話でエミリーは理解に追いついていナいようだ。
あははっははハはは仕方ないヨね!こんな妄想症状の発言ナんてさ!
でモね!エミリー!
「人との出会いは無駄ではないって事。つまりこうして会話しているのは縁であり運命なんだ。そしてそれは魂に情報として刻まれる」
「魂にですか?」
「そうそう、だから人は独りぼっちのように感じるけど誰かしら繋がっているって事」
「そんなもんでしょうか?」
ソう考えないとやっていけナいよ!
私はアれだけ戦死をしたがっていテ!
部下達にも気付かれて妨害されていたノに!
彼らを踏み台に私だけ生き残っタなんてこと、耐え切れなイ。
少なくトも私の中では生き続けてイる。
「まあ、普通は性欲とか家族愛とか友情とかと認識してそれに気付けないけどね」
実際ハそんな事ないと思うケど!けれドも彼らなしには生きていケないのだ。
【忌み子】トして他人に心を許す事ナんて無かった私が唯一心を許したんだ。
私と彼らは今でモ繋がっていルんだ。
ダからさっきの報告会もゴブタロウの成長を皆で振り返る為に伝えたンだ。
「だからエミリーは1人じゃないって事。だからそんなにフードを深く被って俯いて泣くことじゃないんだよ」
「お姉さま…」
「今のエミリーはフードを外して元気に動き回るのが似合っているよ」
今のエミリーは無限ノ可能性がアるんだ。
少なクとも若くしテ自分の限界を知ってしまイ、過去に囚われ続けル私よりはネ。
彼女が笑うと少シだけ私の心が癒されルんだ。
ホら、今みたいナ笑顔。とっても素敵だよあハはははっはははハ!!
アまりにも興奮し過ぎて私の人格達が合掌しテるよ!
こんナ素敵な事をゴブタロウ達には言葉として伝えることはでキんな!
「もうこんな時間だし寝ようか。エミリーは寝ているゴブタロウに憑依して」
「ええ、そうする予定ですけど、それがどうかしました?」
アははっはははハは!嗚呼駄目だ!正常心が保てずに顔に出始めテいる。
これ以上、狂う前に休まなイと、自分が自分で居られなクなる。
イッソノ事、感情ニ流サレタラ?
煩イ煩イ私の癖に!私ヲ私が批判すルのか!
駄目だ駄目だゴブタロウヲ抱き寄セて精神を落ち着かさなイと!
「私がその後に抱き寄せれば、エミリーは私の温もりを味わえるのかなって!」
「お姉さまあああああ!!!」
興奮し過ぎたエミリーが耐え切れズに私の胸に飛び込んできたので思わず抱き締めようとしたが貫通してしまっタ。
思わず振り返ると勢いよく曲がってこっちに戻ってきたエミリーが居た。
「じゃあ、行こうか!」
私ガ発狂する前にね
嗚呼、明日こソ私ヲ!殺してくれル存在に会えるのだろうか!
ゴブタロウはドう成長するのか!
ソれだけが愉しみだよ。
「はい!」
力強い彼女の返事が早足でゴブタロウの元へ駆けていた私の正常心ヲ何とか保たせていル。
そんな気ガする。
更新が遅くなりましたがこれで3章は終わりです。
次章は、離脱してしまいエルティアナという精神的支えを失ったエミリーが発狂すると同時に
ゴブタロウは肉体的にも精神的にも追い詰められます。
舞台は極寒の戦場でー




