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落雷ゴブリンのどたばた奮闘記  作者: Nera
第一章 オレはゴブリンである。名前はまだなかった
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1話 大きく焦げた木の下で


『僕はここまでのようだ』

『…あとは頼んだよ。○○』



「~~~~~~~!!」



ふと目が覚めた。

視界がぼやけて何も見えないが仕方がない。


【本能】は〈寝てないで立てよ!動けよ!〉と騒いでいて

【理性】は〈寝てないで状況を把握して!〉と説いている。


その上、口の中は泥まみれで…いや全身が泥まみれのようで臭い。

おまけに身体中が冷え込んでいるのか痛くてしょうがない。

しかもお腹が空いていてイライラすらしてくる。

雨が止んでるのが唯一の救いか。


ささっと覚醒して次はちゃんとした寝床で寝るとしよう。


【本能】は〈腹減った!身体痛い!寒い!臭い!〉と騒いでいて

【理性】は〈何で寝ていたか状況の把握が急務!〉と説いている。


うるさい。思考が混乱して頭がパンクしそうだ。

視界は、まだぼやけているのに意識は更に覚醒していく。



とりあえず状況を整理してみよう。

まず真夜中に丘の上で突然の豪雨に驚いて

葉が生い茂っている大木に潜り込んだのは覚えている。

自分の運の無さに嘆きながら雨が止むのを待っていたはずだ。


…そこから先の記憶が無い。

幸い、視界が鮮明になってきたので自分の目で確認しよう。



目の前には愛用してる『こん棒』の柄が泥から突き出ている。

そのまま見上げれば焼け焦げて無残な大木が目に入る。

更に上を見上げれば雲一つない快晴の昼のようだ。


下半身に目をやれば泥でトッピングされた『皮の腰巻』がある。

腕を見れば泥と淡い緑色で染められたような色合いで頼りなさそうなほどに細い。


うん、間違いない、オレだ。


…状況からみて雨宿りしていた大木に落雷があって感電して気を失った。

そう考えるのが普通だろう。

じゃなかったら豪雨だったのに木があそこまで焦げるわけがない。


そしてオレが気を失ってたのも合点できる。

記憶が無いのは落雷してすぐにオレは感電して把握する前に失神したせいだろう。



「あ アイ・マイ・ミー・マイン!」


良し、声もちゃんと出る。

一応、身体は五体満足のようだ。

日光で身体も温まって思考が冷静になったようだ。


よかった、問題解決。

あとはちゃんとした寝床に帰って寝るだけだ。



【重要な事】に気付いて思わず頭を抱えてしまった。



傍から見れば焼け焦げた大木の近くで泥まみれなゴブリンが居ると認識されるだろう。

おまけに間抜け面で両手で頭を抱えて挙動不審な動きをしている。

まったくお笑いだ。いや当事者のオレは笑いどころじゃないんだけどさ!



そう自分はゴブリンなのだ。

もちろん、自分がゴブリンなのは知っている。


今まではそんなことを気にしたことなかった。

ゴブリンはゴブリンである。

それ以上でもそれ以下でもなくそれ以降を考える必要はなかった。


それより明日のごはんの方が重要だった。

でも今は違う!


『皮の腰巻』『こん棒』という名称を知っている。

【本能】と【知能】という概念を誰から教わってないのに知っている。

わずかな証拠で『自分が大木に落ちた落雷で感電した』という結果を推測できた。


どうやら自分は、落雷のショックで前世の記憶を。

いや、前世の知識と経験を思い出したようだ。



そしてすぐにオレが深刻な状態なのを理解してしまった。


「詰んだー!!」

オレの絶叫は空しく辺りに反響しただけですぐに消えた。


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