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転生トカゲの奮闘劇  作者: エイトミクロ
序章
9/9

ゲイル王国

やった…やっと森を抜けた


「豚がいない…豚がいないよ」


「完全にトラウマになったわねあなた…」


数多の魔猪()から襲われなんとか逃げ切れた俺は森を抜けたことに感激で震えていた。豚がいないってこんなに幸せなことなんだ…


「全く。結局森を抜けるのに5日も掛かっちゃったし、ペースを上げないといけないわよ」


「豚がいないならいくらでも早くするよ俺…」


あっ、安心しきったのか腹が鳴った。五日も食事もしないで逃げ回っていたんだった。でも食料が…


「はぁー。ほらこれ」


そう言うとリングリは俺に木の実を渡してきた。えっ、いいのかこれ?貴重な食料だぞ。


「森の中で調達したものだから少しくらい減っても大丈夫よ。それに…」


それに?


「同族がこんな所で餓死するとか気分悪いし」


何この美少女…良い奴なのか?


「とても初対面に顔面を踏んづけた奴とは思えないんですが」


「はぁっ!?あ、あの時は本当に痴漢だと思って焦っただけで…文句言うなら食料あげないわよ!」


「ごめんなさい!それは勘弁を!」


顔を赤らめたまま俺から木の実を奪い片手で潰そうとする姿に若干の恐怖を感じながらも根は良い奴なんだとわかり安心した。


「プギィッ…」


瞬間頭の中のトラウマが蘇ってきた。この鳴き声は…


魔猪()だぁーーー!!!」


「プギィっ!」


「なんだ、子供じゃないこの魔猪」


呆れた顔見られているがそんなことは気にしてられなかった。豚によって擦り付けられた恐怖は例え子供サイズの魔猪だとしても蘇らせることは可能だった。


「な、なんでここに!?森はもう抜けただろ!?」


「はぐれちゃったのかしら?どっかの誰かが森の中しっちゃっかめっちゃかに走り回って魔猪の群れを連れ回したから」


そう言いながらジト目で見てくるリングリ。いや俺のせい!?


「プギィッ」


「?なんで私をジッと見てくるの?」


何故か子供の魔猪はリングリをじっと見つめていた。なんでだ?


「あれかな、豚なだけに短足仲」


「殺すわよ…」


頭を鷲掴みされたのは初めてだよ。こいつ蜥蜴(とかげ)じゃなくてゴリラだよ絶対。


「プギィイー」


あれ?よく見るとこの魔猪ヨダレを垂らしてる。視線をなぞるように見てみると目線にあるのはリングリではなくリングリが手に持って入る木の実だった。


「ちょっと貸せ」


「あっ!ちょっと!」


リングリから木の実をぶん取り魔猪の前に出した。


「お前腹減ってたんだな。じゃあこれを…」


俺は手に持っている木の実を魔猪へ渡…














「ぬおらっっ!!とってこいやーー!!!」


必殺全力投球!!森へおかえりッ!!


投げた木の実は曲線を描き森へ飛んでいき、魔猪もそれを追いかけ森へ走って行った。


「良し!」


「良しじゃない!何やってんのよあんた!?」


アイアンクローはやめて!頭割れる!


「だって餌付けしたら付いてくるかもしんないし!しばらく俺豚と関わりたくないし!それに」


「それに、なんだってゆうのよ?」


怖い。これ言ったら確実に掴んでる頭を林檎のごとくもがれそうな目をしてるんだが。しかし、言うのを躊躇っている俺に早くしろとばかりに目と手に力を加えてきた。


「正直貴重な食料を簡単にあげるの癪だったから苦労をさせてやろうと…」


「ドクズがーー!!」


「ぐばぁぁー!!!」


アイアンクローで掴んだまま前に体重をかけ俺の後頭部を地面に打つけると言う荒技をかけられた。


「さーてさっさと行きましょう」


今の改心の一撃でスッキリした表情でリングリは先に進んでいった。倒れてる俺を放って置いたままで…


「ごめんなしゃい……」


この日俺は生き物を大切にしなくてはいけないと学んだ。あ、置いてかないで。反省するから。



ーーーー


村を出てから8日が立ち要約、要約…


「ゲイルへついたぞー!」


正確には国の入り口である門の前なんだけど。森を抜けてからも魔物が襲ってきて…でかいアリとか人食い亀とかキメラとか…アリと亀はまだしもキメラと出くわした時は死んだと確信したよ。なんか纏ってるオーラというのかそんなやばい雰囲気を感じた。


基本的にはヒット&アウェイで地味に体力を減らしながら決め技に≪息吹≫を放って終わったんだがキメラに至ってはヒットもアウェイもさせてもらえず一方的にボコられた。リングリ全く助けてくれなかったな、結構助けを求めたのに拒否するし。死んだフリして油断したところに口の中に≪息吹≫ぶち込んでやったら勝てたから良かったけど。今思うと相当残酷な倒し方だよなあれ…


苦労して、帰ろうかと何度思ったことか…!


「ほら、達成感に浸るのもいいけど早く行くわよ」


そう言いさっさと門へ向かって行くリングリに俺は慌ててついていった。





門の前には入国をする人の列があり俺たちもそこへ並んだ。列の先には兵士が何人もいて入国者一人一人に入念な入国審査をしていた。


「なあリングリ。兵士ってあんな必要なのか?村の兵士と同じくらいの数だし、審査だけなら二、三人くらいで十分だと思うんだけど」


「それだと時間がかかるでしょ。ゲイルに入国する者は全員審査しなきゃ行けないのよ。」


なるほど。確かに改めて周りを見るとかなりの人数がいるな。これを二、三人だけで審査するのはかなり時間がかかる。俺待つの嫌いだしこれは良い配慮だな。


「それと万が一襲撃者が現れた場合に速やかに対処が出来るようにするためって言うのもあるわね」


襲撃者か。やっぱり王国にも来るんだなそういうやつが。


「まあだいたいはすぐに鎮圧されるんだけど…っと、私の番ね」


順番がきたリングリ丁寧に兵士の質問に答えていた。


「おい、何突っ立てんだ。お前の番だぞ」


後ろの人からそう言われ俺は兵士の元へと駆け足で向かった。


「ゲイルへ来た目的は?」


あ、こんな感じで一つずつ聞かれるのか。リングリはもう終わりそうだし俺もちゃっちゃと終わらせないとな。


「えーと、村への救援を頼みに…」


瞬間何かが横を通過した感覚がした。まるで銃弾が打たれたかのごとくそれは一瞬の感覚だった。


「が、はぁっ……」


目の前にはさっきまで話していた兵士が横っ腹を抑えながらうずくまってしまった。そして抑えてるところからは血が出ていた。






「おい!そこのお前何をした!」




兵士が怒鳴っている。俺は理解できずに佇ずんでしまった。なぜ?何が起きたの?なんでこの人は死にそうなんだ?










異世界で初めて俺は襲撃の罪で捕まった。


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