ロレウスルート
セポルを置いて二人で帰ってよかったのだろうか、と今更ながら思う。
「まあセポルだって方向音痴ではないんだ家くらい一人で帰れるだろう」
こいつ…私は方向音痴に見えるとでも言いたいのかしら。
「私、この前一人で天界から魔界に帰れたわ」
「ほー今日より以前に天界へ来ていたのか」
いけない!口がすべったわ。
「それがどうだと言うんだ」
「え、密告とかしないの?」
「くだらん、ただの観光でしかないだろう」
そうだこれは天使と悪魔の誓約…ロレウスは悪魔じゃないから、そういう概念がないのかも。
「ロレウスは悪魔でも天使でもないわよね?」
「ああ、そうだ」
「じゃあなんなの?」
「ただの時計屋の息子だ」
「まさか…人間?」
人間なのによく平然と魔界をフラフラできるものだ。
「人間だが魔法のようなものは使える」
ロレウスは石を宝石に変えた。
「へーもしかしてこれは錬金術ってやつ?」
「ああ」
今まで人間を見たことがないから、ロレウスが人間だと気がつかなかった。
人間は弱いから早く死ぬって言うけど、ロレウスは殺しても死ななそう。
「はっくし!!」
ロレウスはなにやら苦しそうに咳き込んでいる。
「それは人間がなる風邪ってやつ?」
「ああ、よく知っているな」
「チェギスのヤツが人間界について話してたのよ」
「たしかそいつはお前の幼馴染みだったか?」
「そうよ」
私が返事をして、ロレウスは頷くと突然彼は倒れかかってきた。
「ちょっと?」
皮膚がとても熱い。
これは風邪のせいか。
「冷酷なる氷河の精霊よ
彼の者をその樹氷にて凍らせよ!!」
しまった冷やし過ぎた。
冷やし過ぎてさらに悪化したらしい。
どうしようこのままではロレウスが死んでしまうわ。