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悪魔令嬢  作者: 滝革患
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共通②C孤独のビスティエ

今回こそ誰にも見つからずに天界に侵入したわ。


「ふ、天界はショボいな」

あら、どうしてかしら、いるはずないやつの声が聞こえるわ~。


「チェギス!?」

「ビスティエ、許可もなく天界に行くなんて、だめだろう~?」

許可とってないことを何故こいつが知っているの。

イメージ?


「なんで許可をとってないことを決めつけるの?」

「はーはっは!!俺は帰還してから魔界の管理職になったんだ」


「ななな!?なんで!?」

「優秀だから?」

ドヤ顔してんじゃないわよ。


「内緒で敵地に潜入し恋人と逢い引き…ビスティエも大人になったんだな」

もしヤミュエルとそうなったらありがたいかもだけど話が飛躍しすぎている。


「あのね、まだ恋人じゃないわ」

まだ、というかこの先可能性があるかわからない。

まだヤミュエルと面とむかって会話はしていない。

私が一方的に彼を知っていても向こうが私を知らないのでは意味がない。


「なら何故天界に?」

チェギスは移動する理由が恋愛関係しかないのかしら。


「ともかく、今回は見逃してやるから~行こう」

差し出されたチェギスの手を嫌々とる。

お兄さんぶっちゃって、ムカつく。


「ちょっと!隠れる気ないの!?」

チェギスは堂々と神の城に入ろうとしている。


「貴様はニッキー伯爵家の子息・チェギスだな

そちらの悪魔嬢は…」

なんで侯爵家の私を差し置いて伯爵家のチェギスのほうを知っているのよ。


「ただのいきずりの恋人だよ」

「いきずり!?…恋人!?」

とつぜん恋人なんて言うから驚いた。


「魔界の管理官か…どうぞ」

なるほど、管理職のチェギスなら天界に問題なく入れるというわけね。

だけど私は場合微妙な立場だから身元がバレないように配慮してくれたのかしら。


白い壁に赤い絨毯、魔界は黒を基調としているため、こういう明るい色合いは慣れない。

見ているだけで目眩がしそうになる。


「あらチェギス?」


チェギスとはぐれてしまった。


「なぜここに悪魔が?」

「げっ」

いかにも堅物、眼鏡の天使がいる。

どこかで見覚えがある。


以前ヤミュエルの後ろにいたような気がしないでもない。


「まあいい、今はそれどころではないのだ

悪魔の手も借りたいほどにね」

天使が悪魔の力を借りるような状況ってどういうのよ。


「我は天使長補佐・フィッシエル」

「ってことは天使長ヤミュエールの部下?」

言われてみれば補佐官タイプの雰囲気してるわ。


「天使達のゴタゴタって何があったの?」

「悪魔に教える義理はない、とは言え…教えないこともない」

どっちよ。


「構わない、教えてやれ」

ヤミュエル――――!


「天使長ヤミュエール!新たな神の様子は如何ですか!?」

「目を閉じたまま、気味の悪い笑みを浮かべていた」

新たな神?前に貧困天使が言っていたことに関係あるみたいね。


「―――数年前、創造神カミュレットは突如として姿をお隠しになった

その後創造神ゴッドが神座の間に降臨した」


隠居した神様の変わり新しい神が来て、なにが問題なのか、悪魔の私にはわからない。


魔王だって代替わりするわけで、神だって隠居くらいしたいわよね。


「天界の神様やめて普通の神様に戻ったんじゃない?」

「…なにを馬鹿な、新たな神の気紛れには困る」


そもそも神は天使をこき使うために作って、離反した天使を悪魔にしたと伝説にはあるのだけど。

創造神カミュレットの人格は知らないけど、神は生来気紛れなものだから普通なんじゃないかしら。

私が口だししてもしかたないか。


「というか悪魔、なにをしていた」

フィッシエルは早く帰れと言いたげだ。


「わ私、結構ヤミュエルのファンかも!じゃあね!」

いまは告白する段階でも空気でもない。

軽く話しかけるだけで満足。

チェギスを探して帰ろう。


「まってください、私は貴女と以前どこかであった覚えが…」

ヤミュエルが私のリボンを掴んだ。


私は振り向かずに走り去った。



《チェギス、様子はどうだ?》

「はい、問題ありません」


少し先に黒髪の男の姿がある。


「チェギス!」

「ビスティエ!?その髪は?」

「あ」

リボンはヤミュエルに掴まれて取れたみたい。


「リボン取りにいくか?」

「どうしようかしら」

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