チェギス大団円end
――――彼女の名はビスティエ、言わずもがなコンビフス魔侯爵の娘だ。
『お前はビスティエ嬢の相手をしているんだぞ』
ここで初めて俺は少女の話し相手として連れてこられたのだと知る。
『あんたがあたちのはなしあいてね、ふーん。』
話し相手の俺に、ビスティエは興味がないらしい。
肉の缶を開けようとする。
――が、うまくあけられないようだ。
『……あけて』
恥ずかしそうに顔をそらしながら、缶詰をつきだしてくる。
不思議と苛立つこともなく。その姿がいとけなかった。
―――――
魔王様は微動だにしないが周りが有能すぎて、予定より早く結婚の日が来てしまった。
「……はあ」
最悪な気分。せめて相手が魔王でなければ。いやついでに公爵以下なら可
――ポジティブに考えよう。
私はこの魔界で一番偉い王のお后様になる。
とにかくいまよりもっと偉くなるわけで――――
自慢したいのに、彼等の姿はない。
見知った悪魔はパッパだけだ。
そうこうしていると結婚の誓約の言葉をのべるときになった。
「栄光なる魔界の反映を、魔王様に祈りましょう―――」
「……嫌よ」
私は翼を広げて飛び立とうとした。
すると、蝋燭が消え、城内を照らすものがなくなる。
真っ暗闇が全体をおおった。
「ビスティエ、こっちだ」
控えめに耳にとどいたのは聞き覚えのある声。男は私の手を引いて逃げる。パッとはなされると城の外へ出ていた。
「お~ビスティエじゃないか」
「チェギス!」
「こんなところで会うなんて偶然だな~結婚式はいいのか?」
「は?私を連れ出したのはあなたでしょ?」
「はて、なんのことだろうな」
―――しらじらしい。だがノッてやろう。
「いきなり会場の明かりがなくなって、式はめちゃくちゃだったわ」
私はいかにも残念といった雰囲気で話す。
「……ビスティエは魔王様と結婚したかったのか!?」
チェギスが少し焦り始めた。
こいつの動揺は滅多に見られないから少し楽しいかもしれない。
「どうかしらね」
「……そうか、てっきりビスティエは嫌だろうと思って皆と協力して結婚式破壊を決行したが……」
「……?」
「こうなったら俺が責任をとって魔王様に消されにいくしかないな」
―――チェギスが魔王に消される?
「長い付き合いだったが、幸せになってくれ」
「待って!!いかないでよ!」
私はチェギスの腕を掴んだ。
「……」
「私后になんてならない!魔王と結婚なんてしない!」
偉さだっていまのままで十分、もっと下でも構わないくらい。
「ずっと私のそばにいなさいよ!」
「ビスティエ……消されにいくってのは冗談なんだけどな~~」
「は?」
「まさかこんなにかわいい事を言われるとはな……」
「―――勘違いしないで……幼馴染としてって意味よ!」
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「あーあ、残念。甘い雰囲気なんておきなかったなあ」
「やれやれ……せっかくお膳立てしてやったのに、結局こうなったか」




