自己紹介してくれ
予め言っておきますと、まだドッジボールしません。
いい加減にやれよと言われそうですが、自分でも予想外に話がのんびり進んでます。
びっくりだわー…。
「おにーちゃん!ちゃんと5人集めてきたよ!」
翌朝、磨里亜との約束通り特訓することになった。
しかし、昨日の今日で5人集めてくるのは予想外だった。
暇な友達が多いのか、よっぽど人望があるのか…。
「この人が磨里亜の彼氏?」
「えーそうなの?歳いくつ離れてんの?」
「いいねー歳の差婚!」
「け、結婚すんの?」
「私も結婚したいー。玉の輿~」
なんか5人が思い思いに話している。
「み、みんな!全然違うから!彼氏じゃなくて向かいの家のおにーちゃん!」
磨里亜が慌てて会話を遮った。
どんだけ慌ててんだと突っ込みたいくらい顔が赤くなっている。
「んで、誰?自己紹介頼むわ」
磨里亜の家の前に横一列に並んだ5人は自己紹介を始めるのだった。
右から順番に自己紹介。
「んじゃあたしからー!あたしは美和瀬こむぎ!好きな食べ物はー…」
「あー。そういうのいいから。暑いし」
「ムキー!ちゃんと聞けー!」
そのこむぎという子は名前に反することなく小麦色の肌をしていた。
大きめの麦わら帽子と肩から掛けた水筒がいかにも夏らしい。
ただ…。
「なぁ、そのワンピースでドッジボールやんのか?」
服装が気になった。
赤っぽいワンピースなのだ。
「ゴムゴムのぉ~!」
「いいから!」
「因みに下に体育着穿いてるのでその辺は大丈夫!」
「その発想は無かったわ。そもそも見る気も無かったし。ただ汚れるけど大丈夫かと…」
「ダイジョブ!子供は外で元気に遊んで来い!ってお父さんが」
「…なんか違うけどまぁいいか」
自己紹介は次の子へ。
「私は…言葉鳴海です。…よろしくお願いします」
大人しそうな感じの子だった。
「よろしく。まぁ、俺も何かできるわけじゃないけど。何?人見知り?」
「いえ…あの…。男子との接し方がわかりません」
「え」
それは…俺にはどうすることもできないやつじゃね?
「えっと…。まぁ、年上とか気にしないで普通に友達として思ってくれれば…」
「本当!?それでいいの?」
突然テンションが変わった…。
びっくりした…。
「う、うん。いいよ…?」
「やったー!男友達ができたよー!ボーイフレンドだよー!」
「それは…なんか違うな…」
喜んでいる横で呟いたのだが、彼女には聞こえなかったようだ。
Tシャツに短パンという、これまた夏らしい姿をしてピョンピョン跳ねていた。
次の子。
「わたしは宮下ゆきっていいます。よろしくにゃ!おにーちゃん~」
「はいはい。それより懐かしいなその服」
ゆきが着ていたのは小学校の体育着。
俺らの代と変わってない。
上が白で脇腹あたりに青いラインが縦に入っている。
左胸に校章。
下は青い短パン。
「もうヤル気満々だよ!この服が一番動きやすいしね!」
「そりゃまぁ確かにね。体育着だもんね」
「変な目で見ないでよ」
「見ねーよ。どんな目だよ」
ゆきがこの中で一番ちびだった。
「私は緑淵彩萌。このドッジボール、勝ちましょう!」
「お、おう」
いきなりすぎて戸惑ってしまった…。
鋭い感じの目をした子で、6人の中では最も身長が高い。
…おれ身長負けたんじゃねぇの?
「…ちびですね」
「うっさいわ!」
いきなり気にしてるところに触れられた…。
「私運動苦手ですが大丈夫です?」
「大丈夫じゃない?相手も普通の子でしょ」
「…それはこの町がドッジボールの国体開催していると知っての発言ですか?」
「え…。まさか…。ウソだろ…?」
「まぁ国体の話から適当なんですけど」
「おい!焦らせんなよ!おい!」
「知らないあなたが悪いです」
「ぐぅ…」
言い返せなかった。
…小学生に知識で負けた。
そして自己紹介のトリを飾る子。
「我が名はヘイグラール・アトル!さぁそなたのを名を言うてみよ!」
「相模信也。で、名前は?」
「出席番号20番!朝桐小春です!」
一瞬違和感だったけど、男子のあとに女子なので出席番号20番は妥当か。
「ってかにーちゃんノリが悪い~!」
「ちゃんと名前言ってやったろ?」
「そうじゃなくてー!」
最初のはどうせアニメか何かだろう。
うちらも小学校の時「ザケル!」とかとか「散魂鉄爪!」とか言ってたし。
中二病の先駆け的なものだろう。
さっきからずっと抗議している頭にカチューシャつけたアルトさんもとい小春をなだめ、みんなに伝える。
「小学校で練習しよう!」
小学校は夏休み中解放していて、校庭は自由に使える。
防犯上どうかとも思うが俺も自由に入れる。
そんなわけで自転車で小学校に移動した。
「おーなんか超ナツいな」
自転車を校門脇の駐輪場に止め、降りた俺はそう呟いた。
何年間も来てなかった小学校。
俺もかつて通っていたのだから懐かしく感じる。
もう今じゃ知ってる先生もいないんだろうけど。
校庭は人は少なかった。
これならコートを大きくとっても問題ないだろう。
そんなわけで、みんなで靴をずってコートを書き、じょうろで水を撒いて線を書いた。
これでドッジボールコートは完成。
あとはチーム分け。
「裏うら裏うら裏おもて!てのてのて!」
手の平を出すか甲を出すかでチームを分けるアレをやって、チームを決めた。
こむぎ・鳴海・彩萌チーム。
磨里亜・小春・ゆきチーム。
とりあえずこれで分けることになった。
そして。
「ボール陣地ジャス!ジャスジャスジャス!」
鳴海とゆきが代表としてじゃんけん。
勝った方が、陣地を選ぶ権利を得るか、ボールを最初に持つ権利を得るかを選べる。
じゃんけんはゆきの勝ち。
「ん~…。陣地で。日に背中を向ける方を取るね」
「オッケー!んじゃボールはもらったよ!」
それぞれがお互いのチームのコートに入った。
まずは外野無しでやろうということになった。
人数的にもそれがいいだろう。
全員がコートインしたらのを見計らって…。
「それじゃ、ゲーム開始!」
俺が試合開始の合図を放つのであった。
キャラ紹介
なんかやたらいっぱい出てきたので作者側で混乱しそう…。
美和瀬こむぎ。
主語は「あたし」。
こんがり焼けた小麦色の肌をした少女。
ワンピースに麦わら帽子。
夏はどこに行くにも水筒携帯。
いろんな意味で最も健康的な子である。
性格はちょっとマセてるところがあるが、ひたすら底抜けに元気。
言葉鳴海。
主語は「私」。
パッと見は大人しそうだが、年上への遠慮と普段話さない男子への対応がわからなかっただけで、実は結構ノリがいい。
初の男友達ができたことに喜んだり、ツボがわからない。
Tシャツに、太ももがちょっと隠れるくらいの短パンを穿いている。
宮下ゆき。
主語は「わたし」。
お調子者。
体育着が好き。
勉強は嫌い。苦手。
特に深い意味もなく変なことを言う。
6人の中で最小。実はちょっと気にしている。
主人公を「おにーちゃん」と呼んだのは磨里亜を真似たのとぶりっ子ぶってみたかったため。
緑淵彩萌。
主語は「私」。
主人公に対して敬語を使う唯一のキャラ。
そして唯一の知識人。
その知識は主人公の自信を削ぐのには十分であった。
身長が高い。6人では最高。
主人公よりちょっと高い。
主人公を軽く小ばかにしている節がある。
朝桐小春。
主語が定まってない。
主人公に名前を言わせたキャラ。
テレビ番組に影響されやすい。
とりあえず真似してみる。
主人公を初見から「にーちゃん」と呼んだ。
磨里亜
苗字が思いつかない。
主語は「あたし」でいこう!
「おにーちゃん」が主人公への呼び方。
初めて名前が出たときの振り仮名がカタカナなのは特に意味なし。
おまけ
相模信也。
主語は「俺」。
水飲み場奪還計画進行中。