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「ティアス。持ってきたぞ」
バタンと言う音と共にヒューズと青みがかった黒髪の綺麗な成年が入ってきた。
「ティアス様。お呼びでしょうか」
「ああ。お前にもいてもらおうと思って。
シェイナ。こいつはカウリという」
ティアスが新しく入ってきた男について説明をしてくれた。
「初めまして。カウリ=マクマベルといいます。ティアス殿下の側近でございます」
うやうやしく礼をとる。
「シェイナ=エイリングです。
あの今、ティアス殿下とい・・いません・・でしたか・・?」
シェイナにとって聞きなれない言葉を耳にする。
「ええ。言いましたが。何か?」
さも、当たり前のように言葉をかえす。
「ってことはお貴族様・・・?」
「いえ。ティアス様はこの国の王子でございますよ」
「お、王子!?王子様ってこと?!」
思わず目の前の男を凝視してしまう。
「はい。身分的にはそうですが」
「あれ?シェイナ嬢 知らなかったのか?」
しれっとヒューズの陽気な声が響く。
「し、知りませんよ。だってヒューズさんは普通に呼び捨てで呼んでたし。確かになんか立派な部屋だとは思ってたけど・・・。
ってことはここはもしかして王宮・・ですか?」
「ああ。王宮だよ」
「う・・そ・・・・」
自分のいる場所がとんでもないところだと気づき、慌てたように、辺りを見回す。
そんな様子をまったく気にも留めず、ティアスは自分の臣下へと声を発す。
「おい ヒューズ。そんなことはどうでもいい。地図を寄越せ」
「ん?ああ、地図な。はいよ」
ポスっと丸めて持っていた地図をティアスへと渡す。
「シェイナ。これが私達のいる世界のすべての国が載っている地図だ。お前の言うロングバルドという国はあるか?」
目の前に大きな地形が描かれた紙を広げられる。
しばらく見つめた後、ゆっくり顔を上げと口を開く。
「・・・わかりません」
「は?」
シェイナの一言に思わず呆れたような声を出してしまう。
「文字が・・・よめない・・ので・・・・」
ゆっくり紡ぎだした言葉は、わかりませんの意味を皆に理解させるには、十分な言葉だった。
「・・・そうか」
「でも多分ありません」
強く確証をもった口ぶりでいう。
「何故そう言える?」
「・・・私のいた世界とはまるっきし形が違いますから」
それは彼女にとってはひどく残酷な現実だった。
「・・そうか」
長い沈黙のあと、耐えきれなかったかのようにカウリが口を開く
「ティアス様。これはどういうことですか」
「俺にもわからないからお前を呼んだんだ」
「この方は中庭に倒れておられた方ですよね?」
「ああ。そうだ。中庭みたいな王宮の内部に入りこんでいたのでどうしたもんかと思って聞いてみたんだが、俺らの知らない国から来たみたいだし、文字も読むこともできないとは・・」
「それはつまり異世界から来た・・・ということですか」
知識人のカウリですら、信じられないという様子で問う。
「・・・おそらくな。俺も同じことを考えてた。
シェイナ お前は何があってここに来たんだ?」
状況を今一度、把握しようと思いシェイナにここに来た経緯を聞く。
「何って・・・。いつものようにお店に出て、それから花に水をあげてた時に大きな揺れがきて・・・そうだ!あの時の子は!?男の子は?」
「男の子?なんの話だ?」
話の筋が読めないというように、眉をひそめる。
「8歳くらいの男の子!私、その子が揺れで出来た亀裂に落ちそうになったのを庇ってその亀裂に落ちたんです!」
「中庭にはお前しかいなかったが・・・」
「そう・・ですか。無事ならいいんだけど・・・」
心配そうに、弱弱しく呟く。
「シェイナ様は亀裂から落ちてこの国に来たんですか?」
話を整理しようとカウリが口をはさむ。
「そ、そんな様付けで呼ばないでくださいよ。私はただの庶民なんですから」
「では、シェイナさんとお呼びいたしましょう。それで亀裂からこちらに?」
「た・・ぶん。落ちたとこから記憶ないですけど・・・」




