無効化能力者、略して無能だ!
俺は勇者レフ。
現在俺たち勇者パーティは、魔王城に最も近い町『最果ての町』に滞在中だ。
今までは魔王城に直接徒歩で行こうとしていたが、
よく考えたら『最果ての町』行きの転移アイテムを買って、そこから船で魔王城の島を目指せば割とすぐ着くことに気づいたのだ。
魔王城に近い町というだけあって周辺のモンスターも相応に強いわけだが、こいつらはなんで普通に生活できているのだろうか。
「さて、これから俺の勇者権限で魔王城行きの船を出してもらうわけだが、その前にみんなに言うべきことがある」
「どうしましたレフくん」
「きっと激励の言葉だな!」
「ぼ、僕はちょっと察しがついてる」
察しがついてるなら話は早い。
じゃあ言うぞ。
「シラウチ!お前は俺たち勇者パーティから追放だ!!」
「や、やっぱり!」
「これがないと1週間は始まらないと思えるようになってきた」
「ど、毒されてますね」
「しかしなぜシラウチくんが……?見たところ彼にも勇者の適性がお有りでしょうに」
「無効化能力が普通に邪魔だからだ」
「ま、まあそうなりますよね……」
「たしかにな」
「……異論ありません。私の蘇生術が使えなくなるのは危険ですから」
よし、満場一致だ。
「まあ、その、僕が追放されるっていうのは普通にわかるんですけど、僕がいなくなったらラクトゥスさんも必要なくならないですか」
「俺を売るのか!?」
「いや、そうじゃなくてその、はい」
「言っとくけど俺の無効化系能力を無効化するスキルは単体でも使えるんだぞ!ON-OFFも自由だし、火属性を無効化するモンスターに火属性を通るようにもできる!」
「ラクトゥスくんのおかげで貴方は生かされていたことを知るとよいでしょう」
「す、すみませんでした」
「よし、じゃあ荷物をまとめて出て行くんだ。おっと、その荷物は置いて行け」
「いやどっちですか」
「お前の荷物は売り払って今日のギャン……」
「ギャン……?」
「じゃなかった。世界を救うための資金として活用させてもらう」
「今から魔王城直行するのに資金が要るか?」
「まあ元手は多いに越したことはないから」
「ギャンブルの話ですね」
「で、でもダメですよ!無一文でこんなモンスターが強い地域に放り出されたら死んじゃいます!」
「うるせえ。ラクトゥス、ソセイドン。『でてけコール』行くぞ!」
「えっなにそれ」
「でーてーけ!でーてーけ!」
「ハイっ!」
「でーてーけ!でーてーけ!」
「ハイっ!」
「レフさん合いの手だけですか」
「でーてーけ!でーてーけ!」
「ハイっ!」
「でーてーけ!でーてーけ!」
「わかりましたよ……」
何かを諦めたようにシラウチは部屋を出て行った。
徹夜で練習した『でてけコール』が功を奏したな。
いじめ回




