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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第6節・守るべき日々
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第2話

前回のあらすじ


久遠から珍しく話があると言われた光は、昼休みに第二校舎最上階踊場で話す事を約束する。

そこで話されたのは、前回光来島で回収した残骸を国連より届けられるとの事だった。

六時限目の授業を終え放課後となった常磐高校にて、光達ジャナ部二年生は白部の呼び出しにて部室へと向かっていた。


「部長からの直の呼び出しなんて、何時振りだろうね」

「えっと……ざっと半月は無かったよな……」


久し振りに白部から呼び出しを受けた事に若干ワクワクした様子を浮かべる縁の横で、光がどれだけの間呼び出しを受けていなかったか指折り数える。

そこで何日無かったのか数え終わると、何時頃から呼び出しをしなくなったのか判明し、光は思わず手を叩いた。


「あ、そうだ。俺達がフォトンガードナーの一員って明らかになってから呼び出しが無くなったんだ」

「私達の事を考えた判断だろうな……あの言動でよく考える」

「部長は身内にはグイグイ聞きに来るけど、引き際は弁えてるって言ってるからね」


光が呼び出しが無くなったのが光と縁、久遠の三人がフォトンガードナーの一員とバレてからだと言うと、久遠は自分達の都合に合わせて呼ばなくなったのだと推測するも普段の白部の言動のギャップに首を傾げ、それに花音が苦笑しながらフォローを入れる。

花音の言う通り白部は自称ジャーナリストとして数多の人に取材を行うが、その時も取材を受けた人が触れられたくない一線は越えない様に取材を行うなど、ある程度の線引きはしているのだ。

けれどこれも花音が言った様に白部が身内と判断したならその制約は無くなり、フォトンガードナーの一員である事を隠していた光の時の様に何処までも追い掛けて行く欠点もある。


「身内……って事は僕達も何かグイグイ聞かれる様な時があるのかな?」

「私は無いと思うがな。私は知らん」


縁は自分達も光の様にグイグイ聞かれるのかと想像するも、一纏めにされている久遠に一蹴されてしまう。久遠は常磐高校に転校して早々白部から自身について聞かれてそれに答えてる以上、追求はないと予想していた。


(最も、あれが感付かれたらどうなるか分からねぇけどな……)


そんなすました顔をする久遠を見て、光は自分を含めた一部の人間しか知らない久遠の秘密を頭に浮かび上がらせ、それを感付かれた時にどんな事になるのか想像出来ずに苦笑する。

久遠の顔を見て突然苦笑した光に縁と花音は首を傾げ、久遠は光を鋭い視線で睨み付ける。

そんなやり取りをしている間に四人は部室前へとたどり着き、先頭を歩いていた光が扉を開けて部室の中へと入って行った。


「失礼しまーす……って、部長?」


入室の一礼を終えて部室の中を見回すと、そこには四人を呼び出した筈の白部が居らず光は首を傾げる。

光の反応を見て何事かと思った後ろの三人も後に続き、誰も居ない部室を見るや光と同様に首を傾げた。


「おかしいな、自分から呼んだ時にはちゃんと居る筈なのに……」


部室の中を探し、誰も居ないのを確認すると白部らしくないと光は思わず零す。その瞬間、四人が入って来て閉めた扉が勢いよく開かれた。


「済まない!色々と準備があって遅れてしまった!」


そう先に部室に集まっていた四人に白部が頭を下げると、彼は部室へと入り背負子に括り付けていた段ボールを部長用の机に置く。


「何かずいぶんな物を持ってきましたね……」

「む、ちょうどいい。高坂部員、段ボールを開けていてくれ」


光が白部の持って来た段ボールに興味を抱いて近付いたのをいいことに、白部はカッターを手渡して開封する様頼み込む。

流れる様に頼み込まれた光は目をパチクリさせるも、とりあえず白部の言う通りに段ボールに貼られたガムテープに沿ってカッターを入れる。

そうして開封した段ボールを開けるとその中には丸められた画用紙や箱に入れられた何か、そしてマグネットが幾つかあった。


「部長ー、開けましたよー」

「ありがとう、まずは……」


白部は光が段ボールを開けたのを聞くと、段ボールから丸められた画用紙とマグネットを取り出す。そして画用紙を広げるとそれを黒板へと張り付け、四方をマグネットで留めた。


「これでよし!」

「よし……って、一体何が?」


そう言って画用紙を留めた黒板を見て胸を張る白部に、光がおずおずと視線を向ける。

言葉の意味が判らず視線を白部が見つめる画用紙の方へと移すと、そこに書かれていた内容に光は首を傾げ、他の三人も白部の張り出した画用紙へと目を向けた。


「何ですか……?焼き鳥、わたあめ、イカ焼き……?」

「此方には型抜きに金魚すくい、たこ焼きだと……?」

「何か、お祭りの屋台みたいだね」


花音と久遠の二人は画用紙に書き出された規則的に並んでいる枠の中に記されている文字を読んでは首を傾げ、縁は挙げられたものの名前を聞いて単純な感想を呟く。

光も同様に目を通していると、縁の呟いた言葉がカチリと噛み合いこの画用紙が何を表しているのかに気が付いた。


「部長!これってもしかして……!」

「うむ!次のタキネ祭りで出店する屋台と、その位置を纏めて来たものだ!」


光が画用紙に書かれたものの正体を言い当てると白部は更に胸を張る。そんな白部を他所に光から答えを聞いた三人は変わらずに画用紙を見つめている。


「よくこんなの持って来れましたね」

「タキネ祭りまであと五日、既に準備している屋台の人達より聞いて来た!」

「あ!もしかして部長、今日午前中それで出歩いてましたね!?」


白部が屋台の一覧を纏めた情報の出所を口にすると、はっとなった花音が白部に勢いよく掴み掛かる。花音は午前中に白部が来ていない事を白部の担任から告げられ、その事について小言を受けていた。

ジャナ部に所属する人間として白部の行動に多少は慣れていようとも、今日受けた小言の理由を口にされたら我慢も効かないだろう。


「水代部員、説教なら後で聞く!今はやるべき事があるんだ!」


そう言うと白部は胸ぐらを掴む花音の手を離し、再び段ボールの元へと向かうとその中から一つの箱を取り出す。その箱は一ヶ所だけに穴が空いており、まるでくじ引きの箱の様な作りをしていた。


「去年は俺と高坂部員、水代部員の三人しか居なかったが故に個人個人で屋台の取材をしていた。しかーし!今年は五人!折角別れられるならグループで取材するのもアリだと俺は思った……そこでこれだ!」


ドンッと音を立てて白部は箱を机の上に置く。その衝撃の影響か箱の中に入っていた、紙で作られた何かがガサカザと音を立てる。


「各部員この箱の中に手を入れてくれたまえ!その中で一枚のくじを引き、同じ内容のくじを引いた相手とペアになって取材をするんだ!」


白部が用意したのは光が思った通りくじ引きであり、このくじ引きを使ってタキネ祭りでの取材グループを作るらしい。光や花音、久遠が呆れた表情でくじの箱を前に胸を張る白部を見る横で、おずおずと縁が手をあげた。


「あのー、僕達五人ですけど……一人はどうなるんですか?」

「問題ない、この中に入っているくじは二種六枚だ。どちらか一方が三人グループになる様にしている」


そう言うと白部は箱の中へと手を突っ込み、全部のくじをわしづかみして箱の中より取り出す。その手の中には白部の言った通りに六枚のくじが握られており、他に中に何も入っていない事を証明する様に白部が箱を揺らすも何も音はしない。


「さあ!引きたまえ!」


白部は何の小細工もされていない証明をすると、くじを箱の中へと戻してよく振って混ぜてそう言いながら四人に箱を差し出す。

四人は本当に引いて大丈夫なのか互いに顔を見合わせるも、埒が明かないと判断した光が真っ先に手を箱の中へと突っ込んだ。


「ええっと……よし、これだ」


箱の中身をまさぐる光は、一枚のくじを手にすると箱から手を抜き広げて何が書かれているのか見ようとするが、それに白部が手を突き出して待ったを掛ける。


「待つんだ高坂部員、ここで君が自分の所属を明らかにすると後々引く人達の楽しみが無いだろう?後で纏めて開封するからその時まで待っていてくれ」


そう言われて開くのを止められた光は僅かに眉をひそめるも、一理あると小さく頷き全員が引き終わるのを待つ。

光が引いたのを切っ掛けに花音、縁、久遠と引いて行き、最後に白部がくじを引いて全員がくじを引き終わる。


「よし、それではくじを開けよう!」


白部の開封の合図に伴い全員がくじを開く。真っ先に開けて声をあげたのは光と縁の二人だった。


「あ、俺はAだ」

「僕はBだね」

「おお、まずはそこで別れたか……」


光と縁が別々のグループになった事に白部は思わず笑みを浮かべ、くじを開くとそこに記されていたグループを告げる。


「む、俺はBか……」

「という事は、僕と一緒ですか」


くじの内容を見た白部は、自分と同じくじを引いた人──縁へと目線を向ける。縁も白部が自分と同じグループになった事に少し目を見開いていた。


「男性陣がこう別れたとなると、後は女性陣か……」


男性陣がくじを開き終えたのを白部は確認すると、まだ開いていない女性陣二名に目線を向ける。視線を向けられた久遠はくじを広げて三人へと見せつける。


「Bだ」


久遠が三人に見せつけたくじには本人の言う通りくじの中心にデカデカとBの一文字が記されており、筆跡もくじを作った白部のもので間違いない。


「ということは、残った水代部員のグループは……」

「私は……Aでした」


四人の視線が花音へと向き、花音はおずおずと自らのくじを開いて四人へと見せる。くじが三:三の割合で入っている以上、どちらか一方が三つ出た以上、残る一つはもう一方のグループであるAだった。


「よし、明日の取材は広場から西をAグループが、広場から東をBグループが担当することにしよう!」


全員のグループが決まったのを確認した白部がそう明日の予定を告げると、白部の言葉に首を傾げた縁が手をあげる。


「明日……?タキネ祭りは五日後のはずでは?」


白部はグループ決めの前にそう言っていたのを覚えていた縁は、まだ行われる前なのに取材を行おうとする白部に疑問の声をあげる。それに白部は指を左右に振って縁にある事を聞いて来た。


「まあ待ちたまえ……所で有沢部員、君は次の企画の内容を覚えているか?」

「企画の内容……ですか?」

「うむ、有沢部員も聞いている筈だ」


突然企画を覚えているか問われ、何があったのかを思い出さんと頭を捻る縁。同様に光や花音、久遠も企画が何なのかを思い出そうとする。


「少なくともタキネ祭り関係だよな…………あ」

「高坂?どうしたの?」

「いや、思い出したんだよ。企画が何だったのか」

「タキネ祭り関係…………あ」


光が思わず出した声に花音が理由を聞くと、光は理由を思い出したと答える。縁も同様にタキネ祭り関係だと絞って思い出そうとし、ある事を思い出した。


「『高坂光と有沢縁五番勝負inタキネ祭り』……!」

「そう!次に行うその企画だが……最低でも五つの屋台を我々が勝負に使う訳だ。先んじて確認の一つは取ってた方がいいだろう?」

「ああ……確かに……」


白部の口にした理由を聞いて縁だけで無く光や花音、久遠も納得がいったとばかりに頷く。光と縁の勝負は必ずと言っていい程接戦となり、接戦となれば勝負が長引きその間屋台は商売が止まる事となる。勝負の候補となりそうな金魚すくいもポイが破れなければ勝負は長引き、型抜きに至っては確実に長引くと全員が確信している。

だからこそ先んじて許可を貰おうとタキネ祭りが始まる前に取材を行おうとしていたらしい。


「でも、それだったらこの後でも行けますよね?何で明日に?」

「あー、それはだな……」


けれどそれを明日に許可を取りに行こうとするのに、花音が待ったを掛ける。それに白部が眉を寄せていると、久遠の携帯からアラームが鳴り出す。


「……という訳だ。流石に当事者である高坂部員と有沢部員を抜きにして俺達だけで許可を取りに行くのは、どうかと思ったからな……」


アラームの鳴った携帯を取り出す久遠を指差して白部はそう告げる。久遠と共に光と縁がフォトンガードナーの基地へと向かう以上、屋台の出し物で勝負する二人が欠けてしまう。そんな態度で出店側に許可を取りに行くのは些か失礼だと判断したが故の、明日の許可取りだった。


「三人には出来れば明日はちゃんと此方の活動に参加出来る様に掛け合ってほしいのだが……頼めるか?」


そう言って白部は光達に頭を下げる。三人は顔を見合わして目で相談すると、久遠が溜め息をついて口を開く。


「話はしてみますが、期待はしないでください」

「ありがとう!」


期待せず待つ様に言われるも、完全に拒否されるよりは可能性がある事に白部は更に頭を下げる。頭を下げられる事に居心地が悪くなったのか、久遠は頬を掻くと光と縁にアイコンタクトを送り、一人帰る準備を行って部室から出て行ってしまう。


「それでは、僕達もこれで……」

「ちゃんと許可取れたら俺の方から連絡しますんで、それでは!」


久遠の態度に苦笑いを浮かべつつも光達も帰る準備を行い、白部達にそう告げて部室を出る。


「ああ!待ってるぞ!」


部室の扉を閉める瞬間白部の声を背に受け、再び苦笑いを浮かべると二人は先に出て行った久遠の後を追い掛けて走り出した。

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