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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第5節・明かされた秘密
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第7話

前回のあらすじ


事故で久遠の秘密を知る事となった光。

そこで久遠は光に秘密と共に彼女の戦う理由を聞かされた。

朝食を終えた光達の元へと、同じ様に朝食を終えた光平がやって来る。光平は光と縁、久遠に目配りをすると白部と花音の方を向いて頭を下げた。


「済まない、少し話したい事があるんだが……君達は席を離してくれないか?」


自分達にそう頭を下げて頼み込んで来る光平に白部達は目を丸くするも、それがフォトンガードナー関係の話だと気付くとすぐに顔を引き締めて頷く。

二人がその反応が正しいのだろうと光達の方へと視線を向けると、久遠が頷き目線を出口へと向ける。


「それでは、失礼させてもらいます……三人共、また後でな」

「失礼しました……手が空いたら後で新聞作り手伝ってね」


白部達は立ち上がり光平に頭を下げると、光達にそう告げて出口へと向かって行く。二人の姿が扉の向こうに消えると、光平は改めて三人に視線を向けて話し始めた。


「まずは一つ目の報告だ。昨夜午後十時頃、時空転移ゲートの発生反応が光来島周辺で観測された」

「「「っ!!」」」


昨日も時空転移ゲートの反応があったと聞かされ、光達は目を見開く。時空転移ゲートが開いた際には三人の持つ緊急用の端末に連絡が入る筈なのだが、昨日は観測されたという時間にも連絡が入らず驚いているのだ。


「本当ですか!?昨日連絡が来なかったのですが……!」

「連絡出来なかったというのが正しいかな……あくまで調査という名目で来ている以上戦闘を行うには上の許可が必要で、その上からの報告待ちだったし、さらに言えば現状では戦闘は厳しいからな」


報告しなかった事を縁が詰め寄って問い詰めるが、光平はそれにちゃんとした理由があったとあったと言って説明する。

上の組織からの戦闘許可に関して聞き、仕方無いと堪えつつ縁が引き下がり、他の二人からの意見も無いのを確かめて次の報告を行う。


「続いて二つ目の報告だ。国連から正式に光来島に襲来したクロノイド制圧軍の討伐を命令してきた」

「ずいぶんと早い判断ですね……何か理由でも?」

「どうやら上は、今までに無いパターンに恐怖している様だ。実際に私が調査資料を送った後の定期連絡にも、かなり怯えの色があったからな」


光平は若干の苦笑いを浮かべながら、正式にクロノイド制圧軍討伐の命令が出た事を三人に告げる。その命令を聞いて光は拳を打ち合わし、縁は表情を鋭くして久遠は小さく頷く。


「次に出てきたら相手をするって訳か……」

「ああ、でも……問題が一つあるんだ」


次に出現した際に戦闘するとなって拳を打ち合わせる光だが、そんな彼の勢いを止める様に光平が口を挟む。出鼻を挫かれた光は思わず前へとつんのめり、光平へとジト目を向けた。


「問題って……上から許可は取れたんですよね?それ以外にも何か問題が?」

「ああ、その事については今から全員を集めて会議を行う。着いて来てくれ」


そう言うと光平は光達に背を向けて食堂を出て行き、着いて来るよう言われた三人もその後に続いて食堂を出る。先を行く光平の後に三人が続き司令部へと到着すると、光平はモニター前に立って全員に振り返り口を開いた。


「皆、国連からクロノイド制圧軍の討伐命令が正式に降りた。次の時空転移ゲート確認後、我々はそこより現れるクロノイド制圧軍の尖兵を相手にすることになる」

「しかし、戦闘するにさしあたって一つ問題があるのじゃ」


光平が司令部に集まった全員にクロノイドとの戦闘があることを伝えると、その後に博士が戦闘に関して問題があると割り込み、博士はそのままパソコンを操作して光平の背後のモニターに問題に関しての資料を映し出す。

映し出されたのはフォトングラストの図解であり、光も何度か勉強の際に見せられたものだがそこに一見問題はありそうに無い。

しかし、博士の口から明かされた事実に光は思わず目を見開いた。


「見ての通り、フォトングラストは水中でも使える武器がほとんど無いのじゃ。そんな状況で水中戦をするのは、明らかに無謀じゃ」


博士の言葉を聞いた職員達が眉根を寄せる中一人光は目を見開いて、改めて図解を穴が空きそうな程に目を向ける。

フォトングラストが使用出来る武器は光子剣にフォトンライフル、そしてフォトンミサイルの三種類。内二種類はビーム兵器だというのを理解して、光ははっとした表情を浮かべた。

SFの中でビーム兵器が使われる際、水中ではビームが水で拡散してしまいほとんど機能しないというのはよくある話だ。けれど水中戦をした事が無かった故か、光はそこに思い至る事が出来なかった。


「一応ミサイルは使えるが、それだけで戦えるかと言えば首を傾げるしかない。接近戦で格闘に持ち込もうにも、水中という環境で何処まで動けるかどうか点じゃ」


博士の説明を聞いていく内に驚きが落ち着いてきた光も、ようやく話を呑み込める様になる。様は水中での戦闘は現状ではかなりのリスクを伴うという訳らしい。

事実、実際に海中でフォトンファイターを操縦していた縁は神妙な様子で博士の話を耳にしている。


「水中という戦闘環境で低下するパフォーマンスを補うために、皆には一層の努力を求める。各員、次の時空転移ゲート発生に備えて準備をしておく様に!」

『了解!』

「縁に久遠、光の三人は水中戦用のシミュレーターも格納庫に用意しておる。そこである程度水中での動作の癖を掴んでおく様にの」

「「「了解!」」」


光平が職員達に激励を行い、それを聞いた職員達が自らの仕事へと戻って行く。光達も博士から来るべき戦いに備えてのシミュレーターの事を説明され、そこでの特訓を命じられると表情を引き締め頷き、シミュレーターのある格納庫に向かって走り出した。







格納庫に即席で備えられたシミュレーター、その中で光達は海中での戦闘を想定したシミュレーションを行っているが、どうも芳しくなく操縦桿がストレスで強く握り込まれて軋みをあげる。

光が目にするモニターでは海中の暗い青の中、クロノドローンがフォトングラストを囲って海中を自由時座にい泳ぎ回っていた。

対する縁の駆るフォトングラストだが、一挙一動に水の抵抗が掛かり動作が遅れ、近付いて来て攻撃を行うクロノドローンを相手に防戦一方となっている。


「っ……撃ち尽くしたか……」


通信越しに縁が操縦桿のトリガーを引く音が聞こえて来るが、そうして放とうとしたミサイルは既に撃ち尽くしている。遠距離攻撃も出来ずにいるフォトングラストの周りを隙を窺う様にクロノドローンが泳ぎ回り、遂に光の我慢の限界が来てしまった。


「ええい!!いい加減にしろってんだよ!!」

「なっ!?光!?」


叫び声と共に光は腰部からフォトンライフルを出現させ、その銃口をクロノドローンへと合わせる。突然の行動に驚きの声をあげる縁を無視し、武装レバーのボタンを押す。

フォトンライフルの銃口にビームのエネルギーが収束するが、一瞬にして眼前を拡散したビームによって熱せられた海水の気泡により塞がれる。

その様な目に見える隙をクロノドローンは見逃す筈もなく、フォトングラストへと向かって急接近しその胴体に一撃を与え、シミュレーターが再現した衝撃が三人を襲った。


「ぐうぅぅっ……けれど!!」


衝撃に呻きながらも縁は咄嗟に操縦桿を操作してクロノドローンを抱え込み、その動きを拘束する。

細長い胴体を掴み取り、今まさに止めの一撃を見舞わんと拳を振りかぶった瞬間──アラームと共にモニターから光が消える。フォトングラストの合体リミットを越えた事によるタイムアップだ。


「だ──っ!!また惜しい所で!!」


シミュレーターのハッチが開く中、光が悔し紛れに側面を力強く叩き付け大きな音が鳴り響く。そんは光の元に同じくシミュレーターから出て来た縁がばつの悪そうな顔で謝って来る。


「ごめん……僕が弾数管理を怠らなければ……」

「たらればは今はいいんだよ、反省会始めるぞ」


縁の謝罪をそう切って捨てると近場に置いていたスポーツドリンクを縁と近付いて来ていた久遠へと投げ渡し、自分の分のボトルの蓋を開けながら口を開く。


「まず全体的に、距離を取られたらどうしようもねぇな。対抗手段のミサイルも水中じゃスピード遅いし」


そう言いながら光は先のシミュレーションの内容を思い返す。

どちらもビーム攻撃が封じられている以上接近戦となるのが必然だったのだが、クロノドローンはその特徴的なシルエット故に水の抵抗を余り受けず自在に水中を動き回り、フォトングラストを相手にヒット&アウェイ戦法を取って来た。

唯一水中でも使える武器であるフォトンミサイルも、水中で使う事は想定されておらず標的に向かって進む速度は地上で使った時とは目で見て判る程に遅い。


「早い内に僕が捉えられればよかったんだけどね……」


何度もクロノドローンのヒット&アウェイに晒された縁はほの最中に捉えられなかった事に深く頭を下げる。彼がクロノドローンを捉えられたのは、光が水中でフォトンライフを撃った最後の一撃の時が初めてだった。


「……いや、最後のあれは高坂がフォトンライフルを強引に撃とうとした際に出来た隙を狙って来なければ出来なかった事だ。縁は気にしなくていい」

「暗に光がフォトンライフルを撃とうとしなければ、一度も捉える事が出来ないって言ってる様なものだよ、それ……」


久遠は最後の一回は奇跡的なタイミングで出来た事だからそれ以外の失敗は気にしなくていいと慰めたつもりだったが、縁には逆の意味に取られて更に肩を落とさせてしまう。

まさかの逆効果におろおろとし始めた久遠は光の方を向いて助力を求めて来て、光は思わず溜め息をついた。


「どっちにしろ、水中仕様の整備が終わってからの話だよな……」


そう言いながら光は格納庫で整備を受けているフォトンシリーズ三機を見つめ、久遠達も釣られて目線を向ける。

今格納庫では、フォトンファイターの稼働データから三機を水中仕様に調整している所だった。調整終了次第そのデータがシミュレーターに反映され、それを元とした水中戦シミュレーションが行われる事となっており、光はそれを今か今かと待ちわびていた。


「……ん?」


そんな風に光が整備士達の方へと意識を向けると、何か言い合ってるのが耳に入る。


「ちょっと離れるわ」

「え?光?」


二人に一声掛けて光はシミュレーターから出て行き、整備士達の所へと歩いていった。


「すみませーん、何か揉めてるみたいですけどどうしたんですか?」


光がそう言い合う整備士達に声を掛けると、熱中していたせいか意識外から掛けられた声に整備士達はビクりと肩を震わし、声を出した光の方へと振り向く。


「っと……聞こえてたのか……」

「これでも耳はいい方でして……それで、何か問題でもあったんですか?」


整備士達から離れた位置にあるシミュレーターに居る筈の光が来た事に驚かれるが、光は聞こえたから来たと言って何か問題が無いかを問い掛ける。

それを聞いた整備士達は、揃って頭を眉間に皺を寄せて後頭部を掻いた。


「ああ……実はな、水中で使う武装に関してなんだが……」

「武装に何か問題が?」

「おわっと、縁達も来たのか……」


武装に関して問題があると言われ、光の元へと久遠と共に来ていた縁が問い掛ける。それに整備士の一人が格納庫で吊るされているフォトンライフルへと目を向けながら答えた。


「フォトンミサイルは全弾水中でも速度が落ちないよう調整は済んだんだが……フォトンライフルをどうするかで揉めてんだ……」

「フォトンライフルを、ですか……」

「ああ、使えない武器を持っていってもデッドウェイトになるだけだから、いっそのこと持ってかないってのと、こいつもフォトンミサイルを撃てるように改造しようってのがあるんだよ」

「出来るんですか!?」

「待て待て……今から説明するから……」


フォトンライフルの改造案に光は思わず声をあげる。光の突然の大声に仰け反った整備士は腕を前に突き出して落ち着かせる。そのお陰で正気に戻った光ははっとなると、咳払いをして改めて問い掛ける。


「ライフルからもミサイル出すって、ここの設備で出来るんですか?」

「正直、微妙な所なんだよなぁ……念のために現場の意見として聞くけど、お前達はどうしたいんだ?」


整備士はミサイルを撃てるように出来るかは微妙だと告げるが、どうするかは光達に任せると言って来る。それを聞いた三人はどうしようかと顔を見合わせた。


「縁、滝音……どうするよ。俺達の判断で今後が変わるぞ……」

「使えない武器を積む利点は無いが……肝心の改造が時空転移ゲートの出現に間に合うかだな……」


光と久遠は改造に関してどちらがいいか話し合っているが、話し合いに集中し過ぎて縁の名前を呼びはしても縁が話し合いに参加していないのに気付かない。

そんな二人を他所に縁は整備士の元へと向かい、自らの考えを口にした。


「現状のままでお願いします」

「っ、本当にいいのか?積んだとしてもデッドウェイトだぞ?」

「いいんです」

「そっちがそれでいいならそうするが……あの二人は……」

「大丈夫、説得は出来ますから」


フォトンライフルを現行の仕様のままでいいと言う縁に対し、未だに話し合っている光と久遠を指差して整備士が言葉を濁す。

しかし縁はそれを説得出来ると言って彼等の元へと向かい、話し合いを続ける二人へと声を掛けた。


「二人共、フォトンライフルは現行の仕様のままで行くよ」

「は……はあっ!?」

「本気で言ってるのか……?」


現行のビームの撃てない状態で積んだままにすると縁から言われて光は驚きの声をあげ、久遠も目を見開いて縁の正気を疑う。それに縁は小さく頷くと、何故そうしたのか説明を始める。


「まずミサイルを撃てるようにするって事は、その分弾数がかさ張るんだ。そんな状況で水中戦は出来そうにない。それに、デッドウェイトになるって言ってるけど、弾を撃ち尽くした時点でデッドウェイト確定なんだからそこは気にしない方がいい。それに……ビームだったらさっきみたいな事が出来るしね」


さっきみたいな事と言われ二人は首を傾げるも、光はすぐに思い至る。


「ビームの拡散を使った目眩ましか?」

「ああ、隙を晒して攻撃されるもそれに対応して捉えればよし。動かなくてもむしろ此方から動ける起点になるから問題は無いんだ」


光はまさか自分がやけっぱちで取った際に起きた偶然が理由で選ばれるとは思ってもよらず、むず痒い様なやってしまったかの様な、何とも言えない感覚に身を包まれる。久遠も縁から語られた理由を聞いて顎に手を宛てて考えると、仕方無いと言いたげに溜め息をついた。


「……分かった、ちゃんとした理由があった以上私にそれを止めようという気は無い。ただし……ミサイルの弾数には注意するんだぞ」

「っ!ありがとう、分かったよ!」

「マジかよ……いや、俺達もどうしようか悩んでたけどさ……」


久遠が縁の案に賛成した事に光は目を丸するが、いい案が出なかったが故の選択だと気付いて小さく溜め息をつく。

そうしてフォトンライフルに関する処遇が決まった事を改めて整備士に報告し、三人はシミュレーターへと戻って行く。その後の夜──


「光来島北五キロ地点にて、時空転移ゲートの反応が感知された」


戦いの合図が彼等に届いた。

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