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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第5節・明かされた秘密
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第3話

前回のあらすじ


時空転移ゲートが開いたとされる海中の調査を行いに海中へと潜って行った縁だが、しばらくして調査を切り上げて戻る最中に島を挟んで反対側に時空転移ゲートの反応が発生する。

三人は急いで向かって行くも、その最中で時空転移ゲートは閉じられた。

「なるほど……昨日の夜にその様な事があったのか……」

「そうなんですよ……お陰でちょっと寝不足で……ふぁ……」


海中調査から一夜明けた朝、光は昨夜あった事を白部に話しながら朝食が準備されている一回り大きいコテージに向かって歩いて行く。


「暴れすらしなかったのか……いや、暴れていたら俺達に避難するよう言ってくるだろうな」


白部は腕を組んで、光が口にした昨日の事を思い返す。海中調査を切り上げた際に突如として海中に襲来してきたクロノイド制圧軍、光が唯一海中でも戦闘が出来るフォトンファイターが浮上するのを待ち、合流すると同時に運んで行った事。

しかし奴等はこれといって浮上して暴れる訳でも無く、久遠を加えた三人が出現地点に向かう途中で既に逃げた事に光はずっと頭を悩まされ、遅い時間にベッドに入ったのにも関わらず寝付く事が出来なかった。

それが原因で話している途中で何度か欠伸を行う光に白部が苦笑していると、彼等は縁が寝ているコテージの前へとたどり着く。そのコテージはカーテンが閉め切られ、カーテン越しにと明かりがついていない事から縁がまだ寝ているのだと二人は気が付いた。


「高坂部員、これは俺達が起こした方がいいのではないか?」

「うーん……どうだろうな……」


未だに眠っている縁を起こそうとする白部に対して光は首を傾げ、その事に白部が食い付く。


「その反応……もしかして起こしたくない理由でもあるのか?」

「あー……昨日からずっと寝てたんですよ」


光に縁を起こしたくない理由を聞いて来る白部に対して、光は腕を組みながら昨夜の事を思い浮かべる。

海中調査を切り上げてフォトンランダーの上へと戻った縁は、調査で使った体力を取り戻すために時空転移ゲートの反応があった場所に向かうまでの間に眠りに就いた。しかし、目的地に向かうまで荒い運転を行ったのにも関わらず眠り続け、久遠がフォトンファイターを回収して行った事で戻って行った。

その後光も格納庫へと戻ったが、縁はコックピットから下ろされてもなお眠り続けており、光が縁のコテージまで担いで行ったのを思い出す。


「それほどまでに水中での調査が負担になったのか……」


光から昨日の事を踏まえて起こさない様にしている理由を聞いた白部は、そう小さく呟いて考える様に腕を組む。


「部長?何か気にしてる様ですけど……どうかしたんですか?」

「……いや、思っている以上に消耗が激しすぎると思ってな……」


白部は話を聞いて明らかに普通より縁の消耗が激しすぎる事が気になったらしく、何故そうなってしまったのかを考えていた。

白部に言われて光も内心違和感を覚え共に縁の消耗が激しかった理由を考えていると、眼前の扉の鍵が突然開いた。


「「おわっ!?」」

「おはようございます……っと、外に居たのは野々原部長と光だったんだ」

「お、おはよう……有沢部員」

「おう、おはよう……縁……」


突如として話題の人物であった縁の出現に二人は驚きの声をあげるも、縁は機にした様子もなく挨拶を行い、二人もぎこちなくだが挨拶を返す。


「もしかして僕を待ってくれてたの?だったらごめん、急いで行こうか」


縁は二人がコテージ前に立っていた理由をそう解釈すると、笑みを浮かべて一人先に行く。残された二人は先を行く背中を見つめて揃ってポカンと呆けていた。


「……以外と元気じゃないか」

「……まあ、あれだけ寝れば体力も気力も戻るでしょうよ。それより俺達も行かないと怪しまれますよ」

「っと、そうだな……急ぐか!」


そう言って二人も急いで縁の後を追い掛けて、全員が集まっているであろうコテージに向かう。二人がたどり着くとそこには既に二人以外の全員が集まってバイキング形式の朝食を食べ始めていた。


「あ!高坂!部長!こっちですよ!」


二人が入って来たのに気付いた花音が皿を持っていない方の手を振って二人を呼び、彼女の元へと向かいつつも光は思わず溜め息をつく。


「ずいぶんと馴染んだなぁ……最初に知り合った時はガチガチだったのに……」


光の頭に思い出されるのは彼女と白部が光が用いた第三倉庫のエレベーターを使ってフォトンガードナーの基地へと忍び込んだ時の事、その時は無許可で忍び込んだ事もあってガチガチに緊張していた花音がこうもフォトンガードナーに馴染んでいる事に思わず呆れそうになる。


「まあ、何だかんだ言って彼女は人と交流するのは上手いからな。1日遊べば大体の人とも仲良くなれるのは、彼女の美点なのかも知れんな」


白部は馴染んでいる花音を見て小さく笑いながら光の言葉に応え、花音の元までたどり着く。そこでは座っていて入口からは見えなかったが久遠も隣におり黙々と朝食を食べていた。


「む、滝音部員も食べていたか……それにしても、ずいぶんな量だな」


白部が久遠の方へと顔を向けると、彼女の手に持つバイキング皿が目に入りそれに言及すると光の視線もそちらへと釣られる。

白部の言った通りバイキング皿には朝食と呼ぶには少々重たいものが載せられており、白部はそれが久遠の取ったものだと思い聞くと、久遠が小さく溜め息をつく。


「私は普段ここまで重いものは食べないのだがな……」

「最初は滝音さんがあんまり取らないものだから、つい私が取っちゃったのよね 」


溜め息をつきながら呟く久遠に被せる様に花音がそう続ける。それを聞いて光と白部は納得がいった様に頷いた。


「なるほど、水代の分量か……」

「……まあ、思いだけで食べられない量ではないな」

「そうだな、先程まで皿に盛られていた分を考えればそれなりに手心はもらった……」

「ちょっと、どういう事ですか!?」


頷く二人が言った言葉を聞いて、久遠は再び溜め息をつく。そんな三人を見て花音は思わず機嫌を悪くするが、光からジト目を向けられて封殺される。


「そりゃあお前の食いっ振りをしってりゃあそうなるだろ」

「う……」


ジト目の光から繰り出された言葉に花音は思わず言葉に詰まる。一見優等生を地で行く彼女だが健啖家という一面も持ち合わせており、人より多くのものを食べる。そんな彼女の分量で配られたら元から食が細かった久遠には、たまったものではないと言いたげな視線を光は向ける。


「あれ、光や野々原部長はまだ取ってないの?」


そんな風に光が花音を見ていると、背後から声を掛けられて光はそちらへと視線を向ける。そのには先に向かっていた縁が自分の分の朝食を手にして近付いてきていた。


「ああいや、少し話し込んでてな……この後取りに行くわ」

「そっか、食べるなら早めに食べた方がいいよ。この後昨夜の事に対してミーティングを行うみたいだから」


昨夜の事と言われて光と久遠の表情が険しくなる。食堂に来る前に光から昨夜の出来事を聞いていた白部も同様に表情を険しくしており、そんな中花音だけが何も知らない様でおずおずと問い掛けて来る。


「あの……昨夜の事って……?」


ただ知らないから知りたいという他意の無い花音の問い掛けに、四人は思わず顔を見合わせる。その際に白部が知っている様な素振りを見せた事で、久遠が白部にバラしたであろう光を睨み付けるといった事があったが、白部が既に知っているという事もあってか話す方向に固まる。


「実はだな……」


そうして白部にバラした以上もう一人も責任を取るべきだと光が話す相手に選ばれ、光はもう一度白部に行った話を花音へと行う。

昨夜の事を話し終えると、花音は先程までの明るさは鳴りを潜めて暗い表情を浮かべた。


「そうなんだ……ここにも……」

「元々光来島には調査名目で来ていたからな。鉢合わせる可能性もあった以上、俺にはどうとも言えねぇよ……」


クロノイド制圧軍の襲来を話し、若干光達の周りの空気が重くなる。しかし、その空気はすぐにかき消された。


「ぬっ!まずいぞ高坂部員!何人かもう食べ終えている!」

「へ……?あ、マジだ!?」

「急いで俺達も食べなければ朝飯は抜きだ!急ぐぞ」

「うっす!」


何人か朝食を食べ終えてミーティングまでの時間を潰そうとする職員達が目に入った白部がそう言い、光を連れて残った料理を取りに向かう。

突然の空気の変わりように花音と久遠は目を丸くしていると、縁が小さく噴き出す声が聞こえそちらへと視線を向けた。


「縁……急に噴き出してどうしたんだ?」

「あはは…………いいや、何でもない」


何でもないと言う割には笑みを隠し切れない縁に二人は首を傾げるも、先程白部が言った様に朝食を食べる時間も終わりが差し迫っていると感じ、ひとまず置いて自分達の朝食を食べるのを再開する。


「危なかった……もうほとんど食べられていた……」

「もしかして、そんなんなってたから部屋に戻って行ったのか……?」


しばらくして自分達の分の朝食──と言う割には少々量の少ない──を取って来た二人が戻って来る。縁はそれを見ると頷いて自分の分を食べ始め、二人も急いで朝食を食べ始めた。






「それじゃあ、改めてミーティングを始めようか」


朝食を終えてから凡そ二時間後、光、縁、久遠の三人は他のフォトンガードナーのメンバーが集まる大部屋へと集まり、光平主導の元ミーティングが始まる。

光平の背後のホワイトボードには昨日のミーティングの際に使われた地図に新たな印──おそらく昨夜の地点だろう──が加えられた地図が張り出されていて、今回の議題がそれに関するものだと一目で判った。


「この地図にも書いた通り、昨夜にこの西五十キロの地点に新たな時空転移ゲートの反応を検知、調査を終えた二人を向かわす道中で反応が消えた訳だが……」

「上空には時空転移ゲートは無し、これも海中にて発生されたものでしょう」


時空転移ゲートの詳しい位置に対する見解を上空を監視していた久遠が述べると、光平はそれに頷き言葉を続ける。


「久遠の説明した通り、今回の時空転移ゲートも海中に作られたものだった。しかも特に暴れる訳でも無く、しばらくして戻って行ったんだから何が目的なのかすら解らない。そこで、直近で時空転移ゲートが出現したここを調査しようと思うんだ」


つい先日時空転移ゲートが出現した場所を調査しようと言う光平に、若干のざわめきが起きるもすぐに収まる。全員がそこで何があったのか知る必要があると考えているからだろう。


「あのー、ちょっといいですか?」


そんな中光が徐に手をあげて問い掛け、全員の視線が光へと集中する。


「呼び戻す時にノイズが酷かったんで、ちゃんと意志疎通出来る様に通信機能の調整を先にやった方がいいんじゃないでしょうか」


光の言葉にオペレーターの何人かは頷く。海底の様な孤立した環境での通信は重要で、光は縁の過度な消耗は通信の不安定さも原因にあると睨んでいた。


「もちろんそれは行うつもりだ。だから縁は安心して潜ってほしい」

「了解です」


通信機能の調整は最初から折り込み済みとの事を光平が言い、命綱が強靭になった縁は再度の海中調査に同意する。


「それじゃあ、皆から特に反対の意見も無い様子だし解散だ。整備班は通信機能の調整を任せたよ」

『了解!』


そうして光平の口から解散の宣言がなされて職員達は一人一人と部屋を出て行く。そんな中光と久遠は、動かずに深呼吸をしている縁の元へと歩いて行った。


「縁、お前大丈夫か?」

「光?大丈夫って何が?」

「お前は昨日明らかに消耗が激しかっただろ。俺が言うのも何だけど、通信機能を強化したからと言って消耗自体が無くなる訳じゃないんだからな?」


光平からの命令を躊躇い無く受けた縁に光はそう確認を取る。通信機能を強化して常に通信を続ける事で、深海で孤独感を減らし精神的消耗を抑える事は出来るが、光の言った通り消耗そのものは無くならない。

昨日過剰な消耗していた縁を知る二人はそこがどうしても不安で声を掛けたが、縁は気にしないでと言いたげに首を振る。


「大丈夫だって。むしろ通信のお陰でやる気が出るさ」

「本当かぁ?」

「昨日の事を考えると、強がりにしか見えないぞ……」


そう言って笑みを浮かべる縁を見て、二人はまだ疑いの目を向ける。そんな二人の視線を感じてむっとなった縁は、それが強がりではない事を証明しようとある事を言った。


「だったら今日の調査の後、僕は眠らないで格納庫まで戻ろうじゃないか。昨日は眠る程に消耗したけど、それが無ければ強がりじゃないって信じるるよね?」

「は?いや、それは……」

「そこまでしろとは言ってないが……」

「どっちにしても自分で戻らないも迷惑だし、準備が終るまで僕は休憩しとくよ」


調査終了まで眠らなければ消耗してないと言う縁に、思わず二人は首を傾げる。何をどうしたらそういう解釈になったのか解らないまま進み、縁が一人先に部屋へと戻って行ってしまう。


「……何か変な地雷でも踏んだか?」

「いや……分からん……」


そんな縁の態度に二人はポカンと呆け部屋から誰も居なくなるまで立ち尽くしてしまい、誰も居なくなったのに気付いた二人は慌てて自分達のコテージに戻って行った。

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