表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第3節・新たなる影
24/150

第6話

PV500に評価点10点、並びにブックマーク一件をいただきました。

今後とも超光戦機フォトングラストをよろしくお願いします。


前回のあらすじ


シュミレーターで何度も時間切れで終わる事に光がつい文句を言うと、久遠の口より何故制限時間が設けられているのか理由を聞く。

その裏でクロノイド制圧軍ではシュタインがリーリスからクロノギアスの改修案を受け取っていた。

「……………………」


ジャナ部の部室にて白部が部長席に俯せになり、周囲に重い空気を撒き散らす。そんな彼の様子を見て縁は苦笑いを浮かべ、久遠は我関せずを貫こうとするもチラチラと視線を白部へと向ける。


「ほい水代、此方の分写真貼り終わったぞ」

「ありがとう高坂、此方もお願い」

「おっけ」

「ファイル名は6ー2ね」

「あいよ」


しかしそんな事など全く気にも止めず光と花音は各々のパソコンで新聞作成の作業を行い、一ページ目を作り上げた所でおずおずと縁が二人に向かって手をあげた。


「えっと……あれ、ほっといていいの?」


そう言って縁は未だに俯せになり重い空気を漂わす白部を指差す。そんな彼を見て光はあー……と何とも言えない表情を浮かべるが、花音は鼻を鳴らして新聞作成へと戻る。


「何時ものことよ。自分の提案した記事がボツを貰うと、何時もこうなって項垂れるの。もう慣れたわ」

「去年までは水代の奴もこうなった部長を何とか働かせようとしてたんだけどな、働かせようとすればどうしてもボツになった記事を作ろうとするからもうほっといて俺達だけでまともな記事を作る事になったんだよ……」


光は苦笑いを浮かべながら去年の出来事を振り返って呟く。花音が白部を働かせようとして最終的に三回もボツを貰ったことは今なお彼の記憶に強く根付いていた。


「本当にほっといていいのかあれは……」

「いいの、下手に起こせばまた性懲りもなく奇天烈な記事を書いてボツになるのが目に見えてるんだから」


久遠でさえ思わず心配した事に花音はズバッと切り捨てる。余りの躊躇いの無さに久遠も思わず頬をひきつらせる。

そんな風に四人がジャナ部の部室で活動をしていると、俯せになっていた白部が肩をプルプルと振るわせ始め、縁と久遠の注目を集める。光と花音はそれにも見向きもせず編集作業を行い続け、それが三十分程続くと白部が勢いよく顔をあげて光達二人に向かって文句を言った。


「高坂部員に水代部員!!些か限度が過ぎると俺は思うのだが!?」

「少なくとも居ても居なくても問題を起こす様な人はお断りです」

「そもそも!!何で君達のネタは通って俺のネタは通らないんだ!!それが解らん!!」


そう言って再び頭を抱えて机に叩き付け、バンッっと効果音で使えそうな程大きな音が鳴る。

まさか自分のネタにすら難癖を付けられるとは思ってなかった花音はジト目となり白部へと目を向け、やれやれと言った様子で改めて説明し直した。


「部長のネタ、確かフォトングラスト……っていうロボットがメインでしたよね?それが確か被害があった場所の近くに住まう人達に不謹慎って怒られたんじゃないですか」

「だったら君のネタも不謹慎だろうが!!要は先のクロノイドの襲撃による被害者をネタにしているんだからな!!」

「失礼な事言わないでください!!私はちゃんと合意の上で取材してます!!」


同じ様にクロノイドの侵攻が根幹にある記事なのに何故自分がボツを食らったのか解らずに八つ当たりを続ける白部に、そんな彼に対して記事に難癖を付けられて苛立ちが勝った花音が立ち上がり一触即発の空気に見舞われる。

ピリピリとした空気の中、縁と久遠が冷や汗をかく中光は一人黙々と作業を続けていると二人の注意を自分に向ける様に手を叩いて視線を集めた。


「はいはい一旦二人共止まって!部長はネタのボツを食らったんですからコラムを書いてください!水代は今最後のページ作り終えたからチェック頼んだ。俺と縁、そし滝音の三人はコピー機のインクや用紙の買い出しに行くんで、その間に済ませてくださいよ!」

「う、うん……」

「お、おう……」

「分かってるならいいです……縁、滝音、行くぞ」

「わ、分かった……」

「あ、ああ……」


光が全員の注目を集め、花音と白部に新聞作成に関する指示を出すと自分と縁達を連れて部室の外へと出る。

光から買い出しの手伝いという名目で連れ出された二人は先程まで一触即発だった二人が残された部室をチラチラと目にしながら、縁がおずおずと光に向かって問い掛けた。


「なあ……ほっといていいのか?見るからに爆発寸前だったのに……」

「いいんだよ、毎度の事なんだから……」


部室の惨状を危惧する縁に対して光は何度も経験したと言いたげな雰囲気で溜め息をつき、二人にも解る程に肩を落とす。


「毎度の事……?」

「部長のごねり。部長のネタが学校側からボツを食らって水代のネタがメインになった時は毎回ごねるんだよ」


縁の問いに光は溜め息混じりにそう説明する。白部のネタがボツを食らって花音のネタが掲示させる事になった時に、上級生らしく無く何かと花音のネタに対して難癖をつけるのが定番となっていた。


「何時もだったら部長が勝手に自分の分の新聞を書き上げるんだけど、今回はネタがネタだからコラムで好き勝手意見を書かせた方がいいって思ったんだよ」


流石に学校の新聞でフォトングラストについて取り上げる訳にはいかない。けれど白部に何か書かせないと、自分で勝手に書き上げそうになる。

そこで光が打開案として考えたのが、コラムの枠に好き勝手にフォトングラストについて書いてもらおうという考えだった。


「本当に大丈夫なのか?怒りのままに水代への批判を書きそうなものだが……」

「それは大丈夫だって。言動があれだけど少なくとも新聞作成には邪念とか持ち込まない人だから」


久遠が白部がコラムの欄を使って花音への罵詈雑言を書かないか問い掛けると、光はそれはないと断言して理由を語る。

彼が一年間白部の元で彼の性格を観察して得た確信に、出会って一ヶ月も経っていない久遠は眉間に皺を寄せつつも否定出来なかった。


「それに取材して来た意見の中には、フォトンガードナーに対して思う意見もあったからな。部長ならそこの部分をコラムで好き勝手書くだろうよ」

「そ、そうか……」

「付き合いの長い光がそう言うなら、僕等はそれを信じるしか無いけどさ……」


大丈夫たと言わんばかりの態度をする光に、何とも言えない表情で続く縁と久遠。そんな三人は二人へと告げた様に常磐高校を出ると近場の文房具店に向かって歩いて行く。

そこで求めていたインクとコピー用紙を買い、縁と久遠は何処か警戒する様な足取りで、光は特に気にしてない足取りでジャナ部の部室へと戻って行った。

そうして彼等がジャナ部の部室前にたどり着くと部屋の中からは音が聞こえず、縁と久遠は思わず固唾を呑む。


「ただいま戻りましたー」

「「なあっ!?」」


そんな警戒していた二人が馬鹿の様に思える程軽々とした空気で光が部室の扉を開ける。物音一つしなかった室内から、最悪の光景を脳裏に過らせながら二人も光に続いて室内へと入る。そこには──


「水代部員、少し配置を弄っていいか?コラムの枠が規定より足りん」

「あ、そうでしたか?でしたらお願いします」


白部と花音の二人が、何事も無く作業している光景が広がっていた。それ処か三人が出て行く前に感じていた一触即発の空気すらも無くなっており、先程の出来事が幻だったのでは無いかと勘違いしそうになってしまう。


「部長ー、コピー用紙とインクの予備はいつもの所に置いときますね」

「高坂部員、ご苦労だった。先にあがっていいぞ」

「それじゃお言葉に甘えて……失礼しましたー」


そう光は部室に残っている四人に頭を下げ、荷物を取って部室を出る。その光景に縁と久遠が呆けていると、久遠のポケットの携帯からアラームが鳴り始める。


「えっと……それでは私も時間なので、帰らせてもらいます……」

「あ、滝音さんも帰るの。お疲れ様ー」

「あ、僕も戻ります……」

「有沢部員もか、買い出しご苦労」


帰宅のアラームにかこつけて二人も早々と部室を出る。そして先に出た光の元に向かうと、部室の方を見ながら光に呟いた。


「何なんだい?あれ……」


困惑した表情で聞いてくる縁に、光は再び溜め息混じりに答える。


「一度ちゃんと新聞作りに入れば、勝手に収まるんだよ。前々からそうなんでな」


あの二人は何かしらの作業に集中し始めると、それまでの事が全部ふっ飛んでしまう事を光は身をもって知っている。だからこそ二人が一触即発の空気になった際には率先して仕事を割り振る様にし始めたのだ。


「だからあの二人がまたあんな風になったら仕事を突っ込むと簡単におとなしくなるぞ?今度試してみろよ」

「出来ればあんな場面は二度と合いたくないけどね……」

「はっは!違いない!」


げっそりとした様子で光の言葉に突っ込みを入れる縁だが、当の光はその通りだと言わんばかりに笑みを浮かべている。


「ところで話が変わるけどよ……今日のトレーニングの内容って何だったっけ?」

「急に変わるね……確かクロノギアス一機とクロノドローン二個小隊、クロノギアスは一撃離脱型に進化するって設定だった筈だよ」


先程までの笑みを潜めて真剣な表情で問い掛ける光に対し、表情の変化に突っ込みを入れつつも答える縁。

トレーニングの内容を聞いて光は腕を組んで唸り始める。


「今日はそれか……何だかんだ言って高速型が多いな」

「襲来して来たクロノギアスが機動力を高めた機体だったからだろう。フォトンガードナーでもあのクロノギアスは高速で動く形態に進化すると予測が出ているからな」

「あと僕達が時間切れになる相手が高速型がほとんどだしね」


昨日までのシュミレーターで何度も相手をしていたクロノギアス、三人は一応進化するまでは被弾を少なくして突破出来る様になったが、尽く高速型の対処のせいで倒し切るのに時間が足りないという事が多々あった。


「弱点を克服するためってのは解るけどよ、下手に高速型ばっか相手してて変な癖がつかねぇか?」

「それに関しては常に基礎訓練で矯正しているだろう。無用な心配だ」


高速型ばかり相手にする事に対する不安を光が零すが、久遠はそれを一蹴する。


(ついている時に来られちゃきついってつもりで言ったんだけどな……)


久遠が思ったのとは違う問題を光は脳裏に浮かべるが、それを言った処で染み付くまで訓練しろと言われるのが目に見えるので口に出さない。

そんな話をしながら三人は第三倉庫へと向かい、そこからフォトンガードナーの基地へと向かって行った。







クロノイド制圧軍格納庫にて、整備士達の慌ただしい足音が鳴り響く。彼等はこの後に行われる地球侵攻作戦において出撃する兵器郡の最終調整に駆け回っていた。


「今回の作戦で使えるクロノドローンは三個小隊かい……まあ普通だね」


そんな彼等の働き振りを司令部の床下モニターから流しながら、リーリスはこれから行う侵攻作戦に向けた最終調整を行っている。


「ま、改修の終わったクロノギアスがやってくれるわ」

「ずいぶんな自信だな」


割り当てられたクロノドローンの数を見て一応の納得をするも、同時に自分の設計したクロノギアスの働きでどうとでもなると笑みを浮かべると、彼女に向かって司令部へと入って来たジェネルが声を掛ける。

リーリスはジェネルを一瞥すると小さく鼻を鳴らして再びタブレットへと目を落とし最終調整を続け、ジェネルがその態度に怒りを抱いて詰め寄ろうとした瞬間、突如として司令部に別の誰かが入って来て彼の軍服のマントを引っぱった。


「そこまでじゃジェネル、リーリスは今作戦の最終調整を行っとるのじゃ。それに、儂の方が先に用がある」

「シュタイン……!」


突然現れて引き留めたシュタインにジェネルは眉間に皺を寄せるが、作戦の最終調整を引き合いに出されて退かざるを得なくなる。

シュタインは苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべるジェネルを一瞥すると小さく頷き、リーリスの元へとタブレットを手にして近寄って行った。


「リーリス、クロノギアスのデータじゃ」

「ありがとさん、ドクトル・シュタイン……へぇ、中々のもんじゃないかい……!」

「要望はほとんど叶えたつもりじゃ、それで事足りるかの?」

「いんや?むしろ抽象的な案からよく形に出来たってお礼を言いたいほどね」


リーリスはシュタインから渡されたタブレットに映し出された改修されたクロノギアスの情報を見て、想像以上の出来に笑みを浮かべる。

満足を得られた出来だったと言われたシュタインも笑みを浮かべてタブレットへと目を向けると、リーリスへと向かってあることを問い掛けた。


「処でリーリスや、このクロノギアスには名前は決めておるのかの?」

「名前?」

「開発の段階ではあくまで試作型としか聞かされておらんかったからの。ずっとそこが保留になってたんじゃが……完成の暁に、お主が名前を決めてみんか?」

「名前……そうさね……」


シュタインからクロノギアスの命名を聞かれ考え込む様に腕を組むリーリス。

しばらく考え込んでいると、天啓の如く何かが頭に走ったリーリスは笑みを浮かべて答えた。


「……『ヘイド』。こいつの名は、『クロノギアス・ヘイド』だよ」

「クロノギアス・ヘイド……いい名前じゃの、ちょっと待っとれ……」


リーリスから告げられた新たなクロノギアスの名前を聞いたシュタインはその名に頷くと、懐から館内放送用のトランシーバーを取り出し、口許へと宛てる。


「此方シュタイン!!今後今作戦に用いるクロノギアスの名称をクロノギアス・ヘイドとする!!各員、しっかりと記憶するのじゃぞ!!」


シュタインによって行われた館内放送により、作業中の整備士達の動きが止まるもすぐに再開される。それを見るやシュタインはトランシーバーを懐に仕舞って作業の様子に目を向け、ジェネルやリーリスもシュタインに合わせて目線をモニターへと向ける。


「さて、それじゃあ始めようかね!!」


そう言って舌舐めずりをしたリーリスの指示と共に、格納庫の照明に三個小隊分のクロノドローンが照らし出された。

面白いと思った方は、評価、感想、ブックマークをよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ