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超光戦機フォトングラスト  作者: サクツキ
第2節・戦う理由
18/150

第9話

前回のあらすじ


あと僅かでミサイルにより撃墜されていた久遠をギリギリの処で救った光。

クロノギアスを撃破した後、光は縁に宣戦布告とも取れる戦いの理由を告げた。

フォトングラストが他所からの監視を避けるために空を飛び続けて凡そ五分。並の戦闘機では出せない速度であちこちを飛び回ったフォトングラストは、フォトンガードナーの基地がある滝音コーポレーション処か滝音市より離れた位置にある山岳部へと高度を落として行く。

そうして降り立った木々に包まれた山の中で一つの湖を見つけると、フォトングラストは迷わずその中へと沈んでいった。


「これ、大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。コックピット周りの気密性は確かなものさ」


湖に沈んで行くのをキョロキョロと光が見回すと、縁はそんな光に大丈夫だと伝える。現に湖に全身が浸かる程潜っているが、ハッチの隙間から水が入り込む様な事は起きていない。

縁だけでなく久遠の慣れた様な様子から、縁の言う通り気密性は十分なのだと理解した光は小さく息を吐くと、改めて湖の中をモニター越しに見回す。


「こんな湖、近くにあったんだな」

「基地の場所を知られるのはまずいからって、司令が買い取ったんだ」

「私有地なのかよ……」


まさかの私有地と聞いて光は思わず頬をひきつらせる。滝音コーポレーションの売り上げから考えればこんな辺境の土地位安値だろうとは思うが、フォトンシリーズ等を開発した上でこういった土地も買えるとなると滝音コーポレーションの資金力に戦いてしまう。

そんな事を光が考えている中でフォトングラストは湖底へと沈んで行き、光は湖底の壁に明らかに人工物だと分かる緑の光源を見つけた。

縁がその光源に向かってフォトングラストを進ませると光源に挟まれていた壁が左右に分割されてハッチが現れ、縁はそのままその中に入る。

フォトングラストが分割された扉とハッチの間の空間に降り立つと背後の扉が閉まり、開いていた間に入り込んでいた湖水が放出されて行く。

そうして空間内の水が全て放出されると前方のハッチが開いて、縁はその中へとフォトングラストを進ませた。


「此処は……?」

「帰還用の通路だよ。あと、僕達は此処で降りるんだ」

「此処で降りるって言ったって、何処にもタラップの類いは……っ!?」


帰還用の通路に入って此処で降りると言った縁の言葉に、タラップが無いと言ってどう降りればいいのかを光が探していると、突然通路に証明が点る。

急な明るさの変化に光が目を細めると、前方から何かがレールの上を走って来る音が聞こえて来た。


「おい縁、この音って……」

「もうすぐでタラップが来るよ」


光が何かが近付いて来る事を縁に伝えるとそれは何でもないと言って前へと顔を向ける。光も合わせて前へと顔を向けると、フォトングラストが乗っている線路に沿って此方へと向かって来る三段のタラップを備えた作業車が現れる。

作業車がフォトングラストの前で停車すると、タラップは光と久遠のコックピットがある位置に取り付けられて、二人の居るコックピットのハッチが開いた。


「よっと……」


光が入る時とは勝手の違うコックピットからタラップに降り立ち、久遠の方を見上げると彼女もタラップの手摺に身を寄せて一息ついている。そんな彼女を見て光が久遠の元へと向かおうとした途端、作業車が来た道を引き返し始める。


「おわっとぉ!?」


突然の動きに光はバランスを崩しタラップの手摺に寄り掛かって耐え、久遠は最初から分かっていたかの様に手摺に身を寄せたままの姿勢で微動だにしない。

そうしてある程度距離が離れると再び作業車が停止し、目の前でフォトングラストに変化が起き始めた。

胸部装甲となっていたフォトングライダーが持ち上がりその下に隠されていたフォトンファイターの胴体が露になる。

すると再び作業車がフォトングラストの元へと向かって行き、久遠の居るタラップがフォトンファイターの胴体へと取り付けられた。


「そこがコックピットなのか?」


止まったのを合図に光はタラップ横の梯子を登り久遠の居るタラップまで上がると、光の言葉を聞いた久遠がちらりと目線を向けて小さく頷く。

それを合図にフォトンファイターの胴体にあるコックピットハッチが開き、中から縁がタラップ上に降り立った。


「光、縁、二人共お疲れ様」

「ああ」

「お、おう……んで、この後どうするんだ?」


降り立った縁から向けられた労いの言葉に久遠は小さく頷き、光も若干戸惑いながらもそれに頷く。

縁からの労いの言葉に慣れなかった光は話を逸らそうとフォトングラストを一瞥し縁にそう聞くと、縁もフォトングラストの方を見て答える。


「見てれは分かるよ」


縁がそう言うと作業車が再び元来た道へと引き返し、またある程度離れた場所で停車する。すると今度は先程と違い再びフォトングライダーがファイターの胸元に覆い被さる形となる。

それを見届けるのを待っていた様に作業車は来た道を引き返し始め、その後を追従する様に無人のフォトングラストが作業車の後を追い掛けてきた。


「な!?ななな──ってトロッコかよ…………」


無人で追い掛けてきたフォトングラストを目にして光は思わず目を見開くが、足元に目を向けた際にフォトングラストの足をロックしたトロッコが目に入り、それによって動いているのだと気付いて安堵の息を漏らす。

そんな彼を見て縁が小さく笑い、光が縁を睨み付けて久遠が溜め息をつく等ありなが通路を進み、巨大な格納庫へと三人は出た。


「到着だね、それじゃあ一旦解散しようか」


作業車が止まると縁はそう言い、梯子を降りて格納庫へと降り立つ。久遠がその後に続いたのを見て光も慌てて格納庫へと降りると、整備士の人が光背中を勢いよく叩いて来た。


「いでっ!?な、何するんですか!?」

「よーう、今回は眠らなかったみたいだな!!」


突然叩かれた事に口を尖らす光に対し、整備士は笑いながら再び背中を叩く。その後も何回か光の背中を叩いていると、何かを思い出したかの様な表情を浮かべて背中を叩くのを止める。


「っと、そうだった。司令がお前の事を呼んでたぞ?早く着替えて司令部に向かってったらどうだ?」

「そう言うのは、先に言ってくださいよ!!」

「済まん済まん……第三格納庫の方だから間違えるなよー!」


光平からの呼び出しがあったと聞いた光は整備士に向かってそう怒鳴り、慌てて着替えるために更衣室へと向かって行く。

光は更衣室で汗を拭った後着替えて慌てて司令部に向かって走り出し、息を切らせたまま司令部へと飛び込んだ。


「すみません!!遅れました!!」

「ようやく来たか、待っていたよ」


大声で謝罪の言葉を口にする光に対し、司令部で待っていた光平は朗らかに答える。

彼の背後では光を見て縁が笑みを浮かべて小さく手を振り、久遠は鼻を鳴らしていた。


「君が戦うという選択を選んでくれた事、フォトンガードナーの司令官として嬉しく思う」

「どうも……」


光が戦う事に笑みを浮かべた光平は光へと近付き、その手を取って握手する。


「そうだ、君に見せたいものがあるんだ」

「見せたいもの……?」

「なぁに、多分明日にはニュースで取り上げられているさ」


光平はそう言うと光の手を離してモニターの方へと歩き出し、光は光平の言う見せたいものに首を傾げる。すると先程まで戦闘跡地を映していたモニターが急に暗くなると、再びついて先程とは全く別の映像を流し始めた。






ある大規模なビルの一室、大企業の会議室位の大きさはあるであろうその一室にマスコミ関係者が椅子に座って並んでいる。

マスコミ関係者達の前には机が置かれており、今からそこで何かしらの発表が行われるのだと気が付く。

しばくして机のある方の部屋の扉が開き、そこからスーツに身を包んだ壮年の男が現れるとマスコミ関係者は挙ってシャッターを切り始める。男はそれに動じる事無く机の元へと向かい、一礼して席につく。

それと同時に誰かがサインを送ったのかシャッター音が静まり、沈黙が続く中席についた男が口を開いた。


「お集まりの皆様こんにちは、国防大臣の北丘(きたおか)と申します。本日は、ある重大な発表を行うためにこの会見を開きました」


そう男──北丘国防大臣の言葉を聞き、マスコミの関係者は彼が口にした重大な発表という言葉に僅かながらざわめきが起きる。

周りの役員の人がざわめく記者達を止めさせようとするも、中北丘国防大臣はそれに対して平然と受け止め再び口を開く。


「先ずは一つ──私、北丘は本日を持って国防大臣の地位を辞職させて頂きます」


国防大臣の口から語られた辞職宣言に、記者達は驚きを隠せず記者席にどよめきが走る。

そんな中一人の記者がおずおずと手をあげて、北丘に指名された。


「どうぞ、何かご質問が?」

「えっと、実は滝音市にて巨大なロボットや怪獣が現れているというのは、国防大臣はご存知でしょうか?」

「ええ、ご存知です」

「だったら!!そんな危機的状況であるにも関わらず辞任するとはどう了見なのでしょうか!!」


滝音市での出来事を把握していた記者の質問に北丘が頷くと、立て続けに批難の声があがる。

滝音市の出来事を知らない記者達が困惑する中、北丘は批難してきた記者を制して口を開いた。


「それは、私が辞任した理由でもあります……此方をご覧下さい」


北丘はそう言うと席から立ち上がると、彼の背後にあったスクリーンから距離を取る。

するとそこに滝音市で暴れていたクロノギアスの映像が流れるとそこで一時停止し画面が分割され、フォトンシリーズの三機が映されると映像が再び一時停止する。滝音市で暴れている怪獣ことクロノギアスを目にした記者達が目を丸くする中、北丘が映像へと目を向けて口を開いた。


「この怪獣は地球とは異なる世界に住まう者、クロノイドと呼ばれる者達によって遣わされる侵略兵器クロノギアス。そしてクロノイドの存在を亡命して来たクロノイド達より知った我々は、クロノイドを相手に戦う術を作り上げたのです。それこそがこの三機、フォトンファイター!!フォトンランダー!!フォトングライダー!!そしてその三機が合体せしスーパーロボット、フォトングラストなのです!!」


映像が再び切り替わり、今度は合体したフォトングラストの物となりスクリーンに映されたスーパーロボットが現実の物だと知ったマスコミ関係者は固まってしまう。

突然の事に言葉に詰まるマスコミ関係者達、そんな彼等の事など気にも止めずに北丘は話を続けた。


「これよりこの三機を有する組織は、国連の預かりとなります。私は彼等と国連を繋ぐ役割を果たすために、国防大臣の席を辞任したのです」






北丘がそう告げるとモニターが落ち、再びクロノギアスの残骸を移した状態へと切り替わる。

光が放送されていた出来事に呆けていると、彼の前でモニターを見ていた光平が肩を震わせ始めた。


「全く……北丘国防大臣も無茶をやることで……いえ、辞任を明言した以上、元国防大臣でしょうか……」


そう呟いて呆れた様に笑う光平を見て、光ははっとなって彼へと詰め寄る。


「国際機関!?どういう事ですか!?」

「どういう事も何も、この組織が国連預かりになったというのさ……と言っても、本業はクロノイド達による侵攻から世界を守る事だから対して変わらないけどね」


光平はそう言って近くにあったパソコンを操作し始めると、モニターの映像が切り替わり世界地図が映し出される。


「クロノイドによる襲撃は今の所滝音市にしか来てないけれど、何時世界中に広がってもおかしくはないんだ。そのために世界各国で活動できる様にする必要があったのだよ」

「国連所属は、そのために……」


久遠が呟いた言葉に光平は頷き、パソコンから光達三人の方へと顔を向け真剣な表情を浮かべる。三人も光平に合わせる様に真剣な表情を浮かべると、光平は小さく頷いて口を開いた。


「君達には、今後苛烈になってくるクロノイドとの戦いを強いるかも知れない……我々としても、君達みたいな子供に背負わすのは忍びないが……その力を、人類のために貸してほしい!!」


そう言って光平は光達に向かって頭を下げる。光はその姿に若干戸惑っていると、真っ先に久遠が答える。


「私は元々司令の力になりたくてこの道を選びました。今更後悔はしません」

「僕も司令の力になりたいんです。ですから、顔を上げてください」


久遠に続いて縁がそう答え、光平に顔をあげさせようとして久遠が光へと目を向ける。暗にお前も早く答えろと催促しているのを感じた光は若干の苦笑いを浮かべながらも、光平に向かって答えた。


「俺は縁に勝ちたい。そしてその方法が世界を守るって事なら、俺はやってやりますよ」

「済まない……そして、ありがとう……!!」


光がそう答えると光平は顔をあげ、三人に向かって礼を口にする。

それを聞いた縁は笑みを浮かべ、久遠は表情を変えはしないが雰囲気が和らぎ、光は気恥ずかしそうに後頭部を掻いた。

この話で第2節は終わりとなり、次の話から第3節となります。


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