風が囁いた:巨人たち
小さく、弱く、不安定に揺れる光を、俺は必死に保っていた。それが、まだここに自分をつなぎ止めている唯一のもののように思えたからだ。周囲では、激しく絶え間なく雨が降り続き、残っていた火の痕跡を消し去り、灰を黒い泥へと変えていく。世界は変わってしまったのに、俺だけは変わっていなかった。俺はまだそこに、膝をついたまま、呼吸していて、それが……間違っているように感じた。
雨音がすべてを満たしていた。思考をかき消すには十分なほど大きいのに、本当に重要なものを黙らせるには足りない音。空虚はそこにあり続けていた。重く、確かに存在し、無視できないまま、俺の視線は何度も周囲に散らばる遺体へと引き戻される。すでに水に覆われかけているものもあれば、あまりにも露出していて、あまりにも目に見えて、あまりにも現実的で、まるでこの光景そのものが消えることを拒んでいるかのようだった。
俺は再び目を逸らした。長く直視することができなかった。喉が締めつけられる中、ひとつの思考が浮かび上がる。低く、しつこく、どこか内側から響く声。
「立て」
それは外からではなく、内側からの声だった。冷たく、確固としていて、繰り返す。立て。ここに留まるな。
体はすぐには従わなかった。それでもやがて足が動いた。手を地面につき、冷たい泥の中に混じる、まだ雨に流されていない何かの温もりを感じながら、ゆっくりと立ち上がる。不安定で、今にも倒れそうだったが、なんとか最後には立っていた。
手の中の光はわずかしか照らさなかった。それでも足元を見るには十分で、見たくないものを踏まずに済む程度には役に立った。深く息を吸う。空気は冷たくなっていたが、それでもあの重たい匂いを運び続けていた。どこまでも消えない、すべてに染みついた匂い。
俺は目的もなく歩き出した。ただ動いていた。足取りは重く、まるで見えない何かを背負っているかのようだった。認めたくない何か。あるいは、すでに分かっている何か。思考は突然、避けようもなく浮かぶ。
あいつらは俺のせいで死んだ。
それなのに俺はここを去ろうとしている。振り返ることすらせず、すべてを置き去りにして。
無意識に手に力が入った。光が一瞬強く揺れる。それはまるで、その思考に反応したかのようだった。俺は振り返れなかった。振り返ろうとすることすらできなかった。見てしまえば、もう前に進めなくなると分かっていたからだ。
雨が顔を打ち、目を流れ、すべてを混ぜていく。何が水で何がそうでないのかも分からなくなる。それでも止まらなかった。ただ歩き続けた。
そのときだった。
雨の単調なリズムを破る音が響いた。
重く、遅く、規則的な衝撃音。地面を通して体にまで伝わってくる。
ドン。
俺は止まった。体がその場で固まり、手の中の光が一瞬弱まる。
ドン。
もう一度。今度ははっきりと。近い。心臓が同じリズムで高鳴る。
ドン。
何かがいる。
大きい。とてつもなく。
俺は動かなかった。呼吸すら浅くなる。ただ耳を澄ます。その音は前方から、木々の間、いやその残骸の間から聞こえていた。枝が折れ、木が軋む音を伴いながら、何かがまっすぐ進んでくる。避ける気などないかのように。
喉が渇いた。こんな雨の中でも。
俺は手を上げ、光を少し強める。弱いままだが、前を照らすには足りる。
「……誰か、いるのか……?」
声は低く、ほとんど囁きのように雨に消えた。返事はなかった。だが音は止まらない。近づいてくる。
ドン。ドン。ドン。
俺は一歩後ずさる。本能だった。頭が追いつく前に体が動いた。そのとき、影が見えた。木々の間に大きすぎる影がひとつ、またひとつ、さらにひとつ。
やがて、それらは闇から姿を現した。
五体。
巨大な、人型。だが人ではない。
肌は暗く、土と岩の色を帯び、分厚く刻まれている。まるで環境そのものに削り出されたかのようだった。体は異様なまでに発達していて、幅も質量も常軌を逸している。その存在だけで空気が圧迫されるようだった。
顔は奇妙だった。人間というより獣に近い。剥き出しの歯、読めない暗い目。髪は長く乱れ、何体かは無造作な髭を生やしている。服は粗末で、皮や布を繋ぎ合わせただけのもの。文明の気配はなかった。
奴らは立ち止まり、俺を見た。
俺は動けなかった。手の中の光はかすかに震え、今にも消えそうだった。
思考は単純だった。
ここで死ぬ。
そのために、ここに来た。
手がさらに震える。光が一瞬途切れかける。足も崩れそうになる。それでもなぜか、立っていた。
一体が動いた。
一歩、前へ。
濡れた地面を踏むその音は重く、胸に響く。ゆっくりと近づいてくる。逃げないのは勇気ではない。ただ、動けないだけだった。
そいつは目の前で止まり、俺の手の光を見つめた。目を細め、観察するように。
「光……」
低く重い声。だがはっきりしている。
「見つけた……光……見た……」
体が勝手に反応する。まだどこかで生きようとしている自分がいる。
唾を飲み込み、声を絞り出す。
「……光を見て……来たのか……?」
巨人は首を傾ける。言葉を組み立てるように。
「見た……大きい光……呼んだ……」
心臓が強く打つ。
それはただの興味じゃない。警告だった。
「お前……俺の言葉……分かるのか?」
問いはすぐに来た。疑いを含んで。
俺は息を整え、うなずく。
「分かる……理解できる」
数秒の沈黙。
値踏みされている。
次の瞬間、そいつは顔を近づけ、俺を嗅いだ。
俺は固まる。
「お前……」
眉をひそめる。
「ダークエルフ?」
その言葉が重く落ちる。
「……そうだ」
反射的に答えていた。
「でも……人間の匂い……」
「服……もらった」
言葉を急ぎ、続ける。
「ダークエルフ……知ってるのか?」
慎重に問う。
しばらくの沈黙の後、
「少し……」
別の一体が続ける。
「最近見ない」
「遠くにいる……」
「誰も好きじゃない」
雨音だけが残る。
「ここ来ない」
重い言葉だった。
やがて、そいつは死体へ視線を向ける。
「お前やった?」
俺は見て、すぐ逸らす。
「違う……エボニーの影だ」
理解されない。
「黒い犬……変なやつ……」
「……ああ、ブサイク犬」
妙な納得だった。
再び沈黙。
「どうやって光出す?」
直接的な問い。
「……光の魔法」
「光の魔法……」
「光の魔法……?」
「それ何?」
奴らは互いに考える。
「火じゃない」
「炎じゃない」
「違う」
「変だ」
空気が重くなる。
そして決定。
「連れてく……ボスに見せる」
「使えるかも」
その瞬間、俺は気づいた。
「……カエリア?」
彼女は運ばれていた。
「危ない……腕折る」
「足も」
「全部折る」
「ダメ。ボス見る」
命令が下る。
「二人とも連れてく」
胸が凍る。
「カエリア!!」
走る。
だが足を掴まれ、叩きつけられる。
「離せ!!」
逆さに持ち上げられる。
「捕まえた……」
「やめろ!!」
もがく。
「カエリア!!」
雨だけが響く。
「……アルヴェン……」
微かな声。
「カエリア!!」
だが返事はない。
「離してくれ……頼む……」
声が崩れる。
周囲を見る。死体。泥。血。雨。
「埋めたい……」
「いらない。食われる」
「強い生きる。弱い死ぬ」
そして——
「触るな!!!」
怒り。
だが——
笑い。
嘲笑。
「弱い」
「小さい」
死体は投げられる。
その瞬間。
何かが壊れた。
光が爆発する。
巨人の目を焼く。
叫び。
解放。
逃げる。
だが——
捕まる。
衝撃。
押さえつけられる。
「やめろ」
光も封じられる。
手を握られる。
痛み。
絶叫。
視界が揺れる。
暗転。
最後に見たのは、
奴の顔と、降り続く雨。
そして——
闇。




