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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー1:闇の円卓

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第44話 小さくは余計

ブレットは相変わらず。

「……疲れた」

「頑張りなさい、クロン」

「……疲れた」

「もう少しよ、もう少しで王都に帰れるわ」


 僕達はワイルドボアを無事に倒した。

 何とか持ち帰ってはいるけれど、流石に僕とエメラルは力になれない。

 そこでクロン一人に任せてしまった。魔法で浮かせて運んでいる。


「頑張って、クロン」

「むぅ~」


 けれどクロンは辛そうだった。

 別に恥ずかしくはない。魔法力も充分。ましてや、集中力も掻いてはいない。

 不満そうなのはここまでの道中が長かったせいで、クロンにも疲れが見えている。

 普段から研究に没頭しているせいか、体力には自信が無いらしい。


「お、おい、なんだよアレ!」

「エメラルさん? えっ、ヤバッ」

「あの小さい子、クロンちゃんだよね」

「いやいや、子供達があんな大きなイノシシを狩って帰って来るなんて、未来は明るいのぉ」


 おまけに街中を僕達は歩いていた。

 王都に入るために城壁を超える必要があるけれど、流石に門番の兵士とは顔見知り。エメラルのおかげで顔パス成功したけれど、ワイルドボアを一匹丸々持ち帰ると、凄い顔をされた。


 それは街中でも続いていた。

 道行く一般人や同業の冒険者から、色んな視線が向けられる。

 羨望の眼差しから、引き攣った表情まで、ワイルドボアを宙に浮かせて歩いていると、やけに目立って仕方がなかった。


「凄い目立っているね」

「仕方ないわよ。でももう少しよ」


 僕達の目的地、冒険者ギルドはこの先にある。

 クロンにはもう少しだけ頑張って貰うことにすると、堂々と道の真ん中を歩いた。



「やっと着いたわね」

「疲れた。早く納品しよう」

「そうだね。それじゃあ開けるよ」


 僕は冒険者ギルドの扉を開いた。

 パッと開けると、やはり空いている。

 昼間の時間帯に戻るといつもそうで、冒険者ギルドは広さの割に余裕があった。


「なぁなぁネシアさん、一緒に帰ろうぜ?」

「いえ、残業がありますから」

「いつまでだって待つぜ! 俺はネシアさんの味方だからな」

「ありがとうございます。ですが結構です」

「いやいや、俺はネシアさんと一緒に……」

「ですので遠慮させていただきます……おや?」


 冒険者ギルドにやって来ると、相も変わらない光景が広がる。

 ブレットが毎度のことながら、ネシアに絡んでいる。

 一向に振り向いて貰える気配は無いのだが、本当に諦めが悪かった。


 対して、熱烈な誘いを受けるネシアもまた、上手い具合にあしらった。

 その結果、ブレットの誘いをぬらりくらりと躱してみせる。

 流石はネシアと感心しつつ、僕達のことに気が付いた。っていうより、エメラルに気が付いたらしい。


「あっ、エメラルさん達!」

「ネシア。ワイルドボアを狩って来たわよ」


 冒険者ギルドに居た、全員の視線が向けられた。

 ドスン! と床の上に置かれたワイルドボア。

 既に死んでいるから動くことは無いけれど、想像以上のサイズ感に、「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁお!」」」と声が上がった。


「そんなに驚かなくてもいいでしょ?」

「そうだよ。僕達はちゃんと依頼をこなしたんだから」

「重かった」


 それぞれの不満が多少だけど飛び出す。

 もちろん本気にして貰う必要は無くて、普通に軽口だ。

 って言葉も届いていないみたいで、ネシアは慌てた様子で、他の受付嬢や冒険者もバタバタしている。


「エメラルさん達、コレは一体!?」

「ネシア、ちゃんと依頼を達成したわよ」


 ネシアは受付カウンターから出てきた。

 驚いた様子でワイルドボアを凝視する。

 視線がつい上に向くと、ポカンとしていた。


「は、はい、そうですけど……このサイズは想定以上ですね」

「なによ。魔物だって成長するでしょ?」

「そうですが……大変でしたよね?」


 ネシアの想定以上の大きさだった。

 それに対してエメラルは首を捻る。

 魔物も生物なので、常に成長を遂げるのだから、報告書にあったサイズと同じだと思うのが間違いだ。


「当たり前よ。傷を極力付けないように注意を払ったんだから」

「うん。雑に切ってもいいなら、もう少し楽に討伐できたんだけどね」


 僕達はちゃんと依頼をこなした。

 ワイルドボアに付けた傷は本当に最低限、絞めるために首筋を切っただけ。

 だから状態は非常によく、血の一滴も滴っていない。このまま剥製にしても充分な見応えがあった。


「本当ですね。あの、無理難題を聞いていただきありがとうございました」

「ちゃんと報酬は弾んでよね」

「も、もちろんです。これだけのサイズであれば、余すことなく使えますね」


 報酬を上乗せして貰えるなら、僕達にとってもメリットだ。

 エメラルとクロン、二人とハイタッチをした。

 これで財布が潤う。一体何リルになるのか楽しみだ。


 それと同時に、多くの人達の役にも立てた。

 このサイズのワイルドボアの毛皮をなめせば、色んな防具に仕える。

 鋭い牙は武器や装飾品にもなる。

 ましてやこのサイズ感。体内には魔石核(コア)もあって、傷が付いていないから高値で取引される。


 本当にいい稼ぎになったよと、僕は思った。

 純粋に、制限を掛けて戦うのは修行にもなる。

 最近鈍っていた体を叩き起こすと、個人的にも充分以上だ。


「ふぅ。それで、これで依頼は達成?」

「はい。いつも大変な依頼ばかり任せてしまって、申し訳ございません」


 エクレアが訊ねると、ネシアは笑みを浮かべて首を縦に振る。

 とは言え申し訳なさもあり、眉間には若干の皺が寄った。

 そんなことにも気が付かず、にこやかな笑みを浮かべており、ブレットは羨ましそうな顔をする。

 

「いいわよ……って言いたいけど、今回はちょっと面倒だったわね」

「そうですよね。次回からはエクレアさん達にばかり任せないように致します」

「そうね。王都の冒険者よ? 実力はかなり高い筈だから、色んな冒険者に振ってあげてね」


 エクレアは僕とクロンが感じていたことを堂々と口にする。

 ネシアも申し訳無さが勝ったので、要望を聞いてくれる。

 ここは王都の冒険者ギルドだ。実力は相当高い。なので、他の冒険者にも依頼を振ることにした。


「では、次回はブレットさんにお任せしましょうか?」

「えっ!? いや、あの、それは……」


 ブレットは熱烈な片思いの相手であるネシアに頼まれる。

 本当は「喜んで!」と言うべきなのに、何も言えなかった。

 寧ろ冷汗を掻くと、絶対に受けたく無さそうで、目が逸らされた。


「なによブレット。冷汗が酷いわよ」

「もしかして、自身が無いとか?」


 僕とエメラルはブレットを試しに煽ってみた。

 するとばつが悪くなってしまうと、この場に居辛くなってしまう。


「あー、思い出した。俺は依頼を受けてたんだ。悪いな、俺は行くぜ」

「あっ、ちょっと!」

「ネシアさん、また今度デートに誘うからな。待っててくれよ!」

「はい、ご遠慮させていただきますね」


 ブレットは思い出したふりをして、冒険者ギルドから逃げて行く。

 尻尾捲ってこういうことかもしれないけど、ネシアにデートの約束を取り付けようとした。

 サラリと受け流されてしまうと、上手い具合に断られていた。ちょっと可愛そうだけど、まあブレットは強引過ぎる。


「逃げたね」

「逃げたわね」

「うん、逃げた」


 ブレットは明らかに逃げた。ここに居たら、余計に針の筵だ。

 流石にそれだけは嫌みたいで、変な決め台詞と共に逃げる。

 立ち去る姿は正直ダサかった。


「「「ふっ、はははははははははははははははッ!!!」」」


 なんか面白かった。揶揄い過ぎたかもしれない。

 でも、ブレットにはこれくらいキツメの薬を飲ませた方がいい。

 そう思うと、ネシアも少しだけ「クスッ」と笑い、変な疲れが吹っ飛んだ。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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