エピローグ
最終回。
「お姉ちゃん…」
天障院華蓮は空を見上げて呟いた。
既に非常事態宣言が解除されて数時間が経っているのに、四神に呼び出されたお姉ちゃんはまだ帰って来ない。
お母さんやお姉ちゃんには止められていた四神への電話をしても、姉はもう帰ったと言われた。
「無事だといいんだけど…」
病院に来てみたけど姉は居なかった。
逆に姉のことを聞かれて適当に誤魔化したくらいだ。
嫌な予感ばかりがする。
お姉ちゃんは相談はするくせに、いつだって肝心なことは言わない。
今回だってそうだ。
身重なお母さんに代わって、一人で四神に行った。
心配を掛けたくないのはわかるけど、あたしだって心配なんだ。
頼りないのはわかるけど言って欲しい、頼って欲しい。
「何処に行ったんだよ…お姉ちゃん……」
病院の建物を見上げて呟く。
目に涙が溜まるのを感じる。
「…呼んだざますか?」
後ろから間違いようの無い、優しい声を掛けられて振り返る。
「…お姉ちゃん…」
姉が居た。
いつものナース服はボロボロだったけれど、大きくて、逞しくて、温かい、あたしの自慢の姉。
ダッ!
「お姉ちゃんっ!」
その胸に全力で飛び込むと、優しく受け止められた。
そのまま思いっきり泣きじゃくる。
頭を撫でてくれる大きくて優しい手が心地いい。
「いつまで経っても、甘えん坊さんざますね」
遠くから姉を呼ぶ声や、駆け寄って来る足音が聞こえて来た。
お姉ちゃんに気付いた病院の人たちだ。
でも今だけは誰にもこの場所を譲りたくなかった。
だってお姉ちゃんは、あたしのお姉ちゃんだから。
もう直ぐ弟か妹が生まれれば、あたしだけのお姉ちゃんじゃ無くなる。
だからそれまでは、今だけは皆に慕われる姉は…
「『お姉ちゃん』は誰にもあげませんよ~っ、だ!」
小惑星と共に雲も吹き飛んだ晴れやかな空の下、賑やかな笑い声が響き渡る。
その日常を護った婦長さんこそが日和見病院の…いいえ、人類の誇る『 』だったのです!
***
翌日。
「婦長さん?! もう大丈夫なんですか!?」
「何がざますか?」
翌日には普通に出勤して仕事を始める婦長さんに、誰もが驚愕するのだった。
Happy End OR to be continued?
これにて物語は一端閉幕とさせて頂きます。
花子さんの人生は、まだまだ続いていきますが、それはまたの機会に。
(構想はあります)
日和見病院の名物婦長、天障院花子さんが一人でも多くの人の心に残れば幸いです。
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ご愛読ありがとうございました。




