エピソード87 理由の解らない嫌疑に対する詰問
『こちらに居ましたか。花女史』
『はい。帝国女騎士様』
帝都魔法学園の談話室にて、真実さんとザスキア女史の御二方と楽しく御話しをさせて頂いていますと。退役軍人の祖父の戦友だったという、治癒魔法の講義を担当されていられます老女教授が姿を見せられましたので。下位の平民身分である私は椅子から立ち上がりまして、帝国の君主であらせられます皇帝陛下の直臣の臣下でもある帝国女騎士身分の年長者の女魔法使いに対して、恭しく深々と御辞儀を行いました。
『顔を上げなさい。フロリアーヌ女史』
『はい。帝国女騎士様』
軍場での実戦経験が豊富な、退役軍人でもある老女教授による威厳のある御言葉に従いまして、面を上げますと。
『女子寮にて令嬢希望女史と恵女史の二人から話を聞きましたが、本日は講義が終わった後に、ヴェレーナ女史を含む四人にて、貴族街にある男爵閣下の上屋敷を訪れたそうですね?。フロリアーヌ女史』
老女教授による御下問に対して、下位の平民身分である私は素直に認めまして。
『はい。帝国女騎士様。仰せの通りで御座います』
ギロッ。
老女教授は退役軍人の祖父を連想させる目付きで、私の瑠璃之青の瞳を凝視されながら。
『根元魔法の帰還にて、学生寮の女子寮に戻った後は、ヴェレーナ女史とザスキア女史の二人と過ごしていたのですか?。フロリアーヌ女史』
{これは詰問ですな我が主。理由は解りませんが?}
その通りですね。髪飾り。
『はい。帝国女騎士様。女子寮で私とヴェレーナさんは隣室同士ですので、ナディーネさんとハンナさんと別れました後に、廊下でザスキア女史と会いまして、談話室へと移動して話をしていました』
私による奉答を聞かれた老女教授は、ヴェレーナさんとザスキア女史の御二方に厳しい視線を移されまして。
『フロリアーヌ女史による説明に相違はありませんか?。ヴェレーナ女史にザスキア女史』
詰問調な老女教授による問いですが、ヴェレーナさんは普段通りに優雅に御辞儀をされまして。
『はい。帝国女騎士様。間違いありませんわ』
「わ、私もずっとフロリアーヌ女史とヴェレーナ女史と一緒に居ました。帝国女騎士様…」
老女教授は私達の目を一人一人覗き込まれましてから、心持ち肩の力を抜かれまして、僅かにではありますが安堵された表情を見せられますと。
『解りました。邪魔をしましたね』
そう仰せになられますと、談話室から退室なされました。
「な、何かあったのでしょうか?」
ザスキア女史が身体を小刻みに震わせながら、冷や汗をかきつつ蒼白な顔色にて、私とヴェレーナさんに尋ねられましたが。
『私が疑われるような何かがあったようですが。放課後は常に他の皆さんと一緒に居た事により、疑いが晴れたようです。ザスキア女史』
私による見解に対してヴェレーナさんも、銀白色の髪の毛を揺らして御頷きになり同意を示されまして。
『フロリアーヌさんの仰られる通りだと思いますわね。現時点ではどのような嫌疑を掛けられたのかまでは解りませんけれど。ザスキア女史』




