エピソード78 集団行動の予定
『ワイワイ・ガヤガヤ・ザワザワ』
チラッ、チララッ。ジイッ…。
{今朝も学生食堂では、絡み付くような視線を感じますな。我が主♪}
もう慣れました。髪飾り。
『昨日は衛兵隊の詰所に行く前に、アタシ達四人揃って公衆浴場に寄ってから向かったが。今日から暫くの間は、放課後に貴族街にある親父の上屋敷で、風呂に入る予定でいいな?』
帝国の貴族諸侯であらせられる男爵閣下の御息女でもある、令嬢の希望さんによる確認に対して、私は頭を下げまして。
『はい。有難う御座います。ナディーネさん』
学生食堂で私の向かい側の席に腰掛けられまして、朝餉を摂られていますナディーネさんは、灰白色の髪の毛を揺らしながら軽く肩を竦められまして。
『気にすんな。爺さんやお袋は、恵や花や真実を連れて、アタシが上屋敷に顔を出すと喜ぶしな』
貴族街にある上屋敷の主は、ナディーネさんの御父君であらせられる男爵閣下ですが。皇帝陛下の宮城での宮仕えが非常に忙しいらしく、普段は同僚の皆様方と共に職場に泊まり込み、官吏としての職務に精勤なされていられるそうです。
『失礼。今宵は貴族街に行かれるのですか?』
黒髪と褐色の肌色をされています、子爵閣下の御令息様であらせられるアンリ卿が、私達に声を掛けられましたので。
『ああ、数日の間は、アタシ達四人での集団行動をする予定だからな』
私が金髪に着けている魔道具の髪飾りを狙って、止事無い身分であらせられる御方が、裏社会の無法者を雇い入れて攫おうとした可能性が高まりましたので。
{腕輪の主と、首飾りの主も、人攫い狙われる可能性がありますから。我が主}
それに加えてナディーネさんの大切な幼馴染みであるハンナさんも、魔道具との交換材料に使える人質としての価値がありますから。問題が解決するまでは、私達四人で集団行動をした方が賢明です。髪飾り。
『父上が御領地から帝都の上屋敷に来られていますから、放課後には私も貴族街に行く予定となっています。令嬢ナディーネ女史』
封建制度を政治体制に採用している帝国では、貴族諸侯であらせられる皆様方は御領地と領民を御治めになられています。ナディーネさんの男爵家は、帝国騎士身分の三人居られます兄君の御一方が、交代制で領主代行をされているそうです。
『何かあったのか。アンリ?』
狩猟を共に行うなどの親交が以前からあるナディーネさんの問いに対して、アンリ卿は真剣な表情にて御頷きになられまして。
『はい。御領地を御治めになられています、貴族諸侯であらせられる皆様方の間では珍しくは無いのですが、領界争いが起きていまして。帝都にて話し合いの場を設ける為に、父上は貴族街にある上屋敷に御運びになられました。令嬢ナディーネ女史』




