エピソード77 火の粉が降り掛かる前に
『私は地方部出身の平民身分の村娘に過ぎませんから、帝国女騎士様が仰られました希望さんの御爺様であらせられる准将閣下以外の止事無い身分の御方による御力添えとなりますと。競売会にて仮面越しの面識を得ました、御令息様と御息女様の兄妹の御二方しか思い付きません。真実さん』
学生寮の女子寮の自室へと戻りました私は、寝台に腰掛けながら隣室のヴェレーナさんと二人きりで話をしていますが。勉強机の前の椅子に座られているヴェレーナさんは、銀白色の髪の毛を揺らしながら頷かれまして、私の見解に同意されますと。
『花さんの仰られる通りだと思われますわね』
帝都にて手広く商売をされていられます、免状貴族身分な豪商の御父君の御息女でもあるヴェレーナさんも、私と同じ考えだと確認しましてから。
『そうなりますと、裏社会の人攫いが私を狙った理由が絞られます。競売会にて意志ある魔道具でもある遺失魔道具は、自らの意志により五つに分割しましたが。私の髪飾りを狙い攫おうとした可能性が高いです』
競売会には仮面を被られた、数多くの止事無い身分であらせられる皆様方が参加なされていましたが。私の素性は調べれば直ぐに解るはずですので、平民身分の私なら裏社会の無法者を雇い入れて攫わせても、大きな問題にはならないと御考えになられるのは。封建制度を政治体制に採用している帝国において、貴族諸侯であらせられる皆様方でしたら、普通の思考方法となります。
{男爵閣下の御息女であらせられる、令嬢の腕輪の主や。貴族諸侯であらせられる皆様方と商売をされている御父君の娘の首飾りの主よりは。平民身分の我が主が一番狙いやすいですからな}
その通りです。髪飾り。
『フロリアーヌさんから、首尾良く髪飾りを奪うのに成功さえしていれば。次は私やナディーネさんや、御令息様と御息女様の兄妹の魔道具を狙う恐れがありましたから。今回の件で御力添えを頂けた訳ですわね』
火の粉が降り掛かる前に火種を消す目的で、御令息様と御息女様の兄妹の御父君には、今回の件での御力添えを頂けました。




