エピソード771 内務省検閲局の待合室
『内務省検閲局は意外と混み合っていますね、騎士殿』
『はい、帝国女騎士様。出版許可を求める書籍商などが訪れております』
帝都アーヘンにあります内務省の建物の受付で手続きをしましたが、待合室は混み合っていました。
『帝国女騎士様は、内務省検閲局は始めてですかな?』
待合室の隣の席に腰掛けていられる男性が、私に対して人好きのする柔和な笑みを向けながら話し掛けて来られますと。
『初めまして。フランドル伯国にて書籍商と翻訳出版仲介人を商っております、シモン・デクレルクと申します、帝国女騎士様』
自己紹介を受けました私も、フランドル伯国のシモン・デクレルクさんに対して。
『ご丁寧に。帝国女騎士身分のフロリアーヌ・フォン・ケルン少尉と申します、デクレルクさん』
{フランドル伯国は、西方のローマ・カトリック教会の大国でもあります槍之国と、天命思想の帝国との緩衝地帯にあります商人国家でしたな?、我が主}
その通りです髪飾り。緩衝地帯にはロートリンゲン公国とフランドル伯国とエルザス伯国の三国がありますけれど、フランドル伯国は三国の中でも商人国家として知られています。
『本日はフランドル伯国で出版された本を、帝国でも翻訳して出版される許可を申請しに来られたのですか?、デクレルクさん』
私の問いに対してデクレルクさんは笑われながら。
『いえ、北方半島王国の歴史書の翻訳出版の許可の申請に来ました帝国女騎士様。フランドル伯国は天命思想の帝国と北方半島王国の両国と国交がありますので、翻訳出版仲介人として両国が必要とされる情報と知識の橋渡しをさせて頂いております』
成る程。
{死霊術を禁呪として厳しく禁止しております天命思想の帝国と、死霊術を公認しておりますヴァイキング文化由来の北方半島王国ですが、国交は無くともフランドル伯国経由で情報が入って来る訳ですな}
『シモン・デクレルク殿』
内務省の職員が待合室にて、デクレルクさんを呼ばれますと。
『おっと、私の順番が来ました。また御話する機会を楽しみにさせて頂きます、ケルン家の帝国女騎士様』
『はい、デクレルクさん』




