エピソード697 補給計画だけで戦争に勝てるのでしたら
『ワイワイ・ガヤガヤ・ザワザワ』
チラッ、チララッ
『家の爺さんがよく言うんだが、射石砲を運用する砲兵部隊が帝国軍で欠かせなくなって以降は、以前にも増して兵站線の重要性が強まったとな』
帝都魔法学園での午前中の講義を終えまして、学生食堂にて昼餉を頂いていますが。軍人一家であらせられますゾーリンゲン家の男爵閣下の末子でもあります希望さんの言葉に、帝都アーヘンにて手広く商売に成功なされています免状貴族身分の豪商の娘である真実さんが頷いて同意をされまして。
『射石砲以前の投石機でしたら、現地で岩を砕きまして攻囲戦を行っています敵の城塞都市に撃ち込む事も出来ましたけれど。砲兵部隊による射石砲の砲撃に必要とされます火薬や砲弾は、現地調達は極めて困難となりますわね』
成る程。
{軍人一家の御生まれである腕輪の主と、商家の生まれである首飾りの主による見解が、一致しておりますな?。我が主}
『私の根元魔法の最初の師でもあります、帝国軍にて三十年間勤め上げるました退役少尉も、食べ物ならある程度は現地調達が可能だと話した事がありましたけれど。糧食以外の火薬や砲弾を切らさない為の兵站線の重要性は、前の世代よりも増しているのだと思われます』
私達の話に、少し意外な事に恵さんが頷かれまして。
『お父さんも、戦争の半分は経済活動だと話していた事があるよ』
{ハンナ女史の父親は、腕輪の主の御父君であらせられます男爵閣下から、ゾーリンゲン家への出入りを許されている平民身分の御用商人でしたな。我が主}
忘れがちになりますけれど、私のヴェレーナさんとハンナさんは商家の生まれという共通点がありますね。髪飾り。
『半分て所が重要だな』
デュッセルドルフ家の上級の騎士様の子息でもありますルネ卿の指摘に対して、レバークーゼン家の子爵閣下の庶子にして高潔な貴公子であらせられますアンリ卿が頷かれまして。
『ルネの言う通りだな。事前の準備としての補給計画は非常に重要だが。敵を遙かに上回る兵力と物資の軍勢が敗れた例は歴史上数多くある。戦争の半分は経済活動だが、残りの半分は指揮官の優秀さと将兵の練度と士気の高さで決まる』
私もアンリ卿に同意をします。補給計画だけで戦争に勝てるのなら、優勢だった軍勢が敗北しました歴史上の事実が説明不可能となりますから。




