エピソード695 腕輪の主はハンナ女史の言葉は素直に聞かれますな
『花も歯磨きと洗顔に来たか』
『はい。希望さん』
同性の女性の中で最も愛しています真実さんとの御話を終えましてから、帝都魔法学園での明日の講義の予習を行いまして、就寝前に手拭いと石鹸と歯磨楊枝と歯磨粉を籠の中に入れまして洗面所に行きますと、先にナディーネさんが来ていました。
『あー。あの後に恵と二人きりで少し話したんだが。気を悪くしたか?』
軍人一家であらせられますゾーリンゲン家の男爵閣下の末子でもありますナディーネさんは、普段は歯切れの良い話し方をされますが、珍しく奥歯に物が挟まったかのような物言いをされましたので。
『私も先程までヴェレーナさんと二人きりで御話をしていましたけれど。日々新たに学ぶべき事柄が数多くあると感謝をしていました』
ナディーネさんは藍色の瞳による視線にて私を見詰められまして、本当に根に持ってはいないか観察されましたので。
『ケルン家の伯爵閣下であらせられます御父様に、養女として家族の一員に迎え入れて頂ける前の、帝国の地方部にて生まれ育ちました平民身分の村娘でした私なら、アンリ卿とナディーネさんに対して内心で含むところがあったかも知れませんが。今の私は止事無い身分であらせられます貴族諸侯の皆様方の社交界で生きていかなければいけない令嬢ですので、御二方による御話は非常に勉強となり感謝をしています』
ナディーネさんは私による発言が皮肉では無いと判断をされますと、安堵した笑みを見せられまして。
『そうか、助かった。ハンナからも言われたが、以後は発言に注意する事にする』
{腕輪の主は、ハンナ女史の言葉は素直に聞かれますな。我が主}
私が同性の女性で最も愛していますヴェレーナさんの言葉を聞くのと同じだと思います。髪飾り。




