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カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
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新商品の販売と常連来襲

ゼナは、カウンターに革を持ち込み、キスカの腰巻を作り始めた。


キスカは、術師であり重い装備は好まない。腰巻のサイドは、革で作るが、腰の中心部の前後は、アラクネの反物を使用し軽くて動き易いデザインにしようと考える。


その横で店番をしているキスカが様子を見ている。

ヴェルテは、反対側で神樹を削ってミントの杖を作り、その様子をミントが楽しそうに見ている。


カランカランと、入口の鈴が鳴り、来客を知らせた。


「いらっしゃい」


キスカが、来客に声をかける。来客者は、女性の冒険者のようだ。メイスを腰にぶら下げ、鎖帷子を装備していた。

女性の冒険者は、革製品に目を付け吟味している。大きな鞄にするか、小型の鞄と、ポーションホルダーのセットにするか悩んでいた。


悩んでる様子を見て、キスカは声をかけた。


「坑道攻略用ですか?」


女性の冒険者は、答える。


「ハイ、ここの革製品は、丈夫だから、買うならココよっと先輩から言われたので!」


雑貨屋アリアンワースは女性客が他の雑貨屋に比べて多く来店する。

その理由の一つに、アリアンワース兄弟が居るからだと豪語するリピーターも多い。


細身ながら筋肉質のクールなイメージのエミリオと少し幼い感じが残る、守って上げたくなる様なゼナが店番をしているからである。


今居る女性客も、ゼナの作業している姿に目を奪われていた。


先輩が買いに行けと言うのも頷ける…眼福眼福っと


キスカに再度、話かけられて、現実に戻る女性客は、慌てて返答している。


「よかったら、試食して見ませんか?」


キスカは、試食用としてコーンパンを一口サイズに切り準備していた。

女性客は、びっくりしながら、反応する。


「良いんですか?食べてみたいです!」


微笑みながら、キスカはパンを差し出す。女性客は、パンを頬張り至福の時を迎えていた。

キスカに、どうですか?と聞かれ、

ハッと我に帰り即答する。


「このパン二つ下さい!後、この小型の鞄とポーションホルダーのセットも!」


女性客は、幸せそうな表情で会計を済ませ、キスカとゼナに店の外まで見送られ店を後にした。

先輩にも、パンのこと伝えなきゃ!

女性客は、足早に街並みに消えて行った。


店の中に戻り、ゼナはキスカに微笑む。


「キスカさん凄いね!パンと一緒に革製品まで売ってくれた!」


キスカは、照れながら答える。


「ゼナさんの革製品が凄いんです!」


「いやいや、パンでお客さんの心鷲掴みしてましたよ」


ゼナは、笑ながらカウンターに戻り、キスカの腰巻の作製に戻る。

すると、カランカランと新たな来客が入店してきた。


新たな来客者も女性客でヴェルテの作った、木のカップを眺めている。


ヴェルテの作品は、皿が2枚とカップが2個とフォークとスプーンがセットになっている。木皿を蓋の様に重ね、中にカップとフォーク、スプーンが入り、冒険者が野宿する際に好んで使われていた。


キスカは、また女性客の側に向かい聞く。


「冒険用のカップを、お探しですか?」


女性客は、コクリと頷き商品を眺める。


「よかったら試食して見ませんか?」


先ほどと同じ様に、パンの試食を勧める。横にはヴェルテも来て一緒に試食し、カップの商品説明をしている。

女性客は、パンの美味さに身悶えていた。


「パン三つ下さい!このカップもセットで買います」


女性客は、パンを、とても気に入り買った食器を使って食べると言い会計を済ませ店を後にした。

客を見送り、ヴェルテも、キスカをベタ褒めする。


「キスカ凄いよ〜!お客さんが幸せそうに帰っていくっ」


「ヴェルテさんの食器が、凄いんですよ!」


ヴェルテは、照れてるキスカに抱きつき微笑みかけていた。

その後、午前中の内にパンは完売し、キスカは再度パンを焼いている。ヴェルテとゼナも店内に商品の補充をしていた。



カランカランと鈴がなり、息を切らした来客が店内に入ってきた。

来店された、お客さんは、月に何度か来店される常連さんのジェシカさんだった。

ジェシカさんは、店内をキョロキョロ見ている。

ゼナが、ジェシカに、いらっしゃいと言うと、


「ゼナ君っ !パン売ってるって後輩から聞いて来たんだけど」


ジェシカさんは、どさくさに紛れゼナの手を握っている。

ジェシカは心の中で、ゼナ君の手を握っちゃった!と心の中で叫んでいた。

ゼナは、ジェシカに伝える。


「先程、完売しちゃって、、」


ゼナの言葉を最後まで聞かず、悶えるジェシカ、その姿を見て、再度ゼナは、伝える。


「まって、完売したけど、今、パンを焼いているから、間も無く焼きたてが買えますよ!」


ジェシカの表情は、明るくなり、再度どさくさに紛れて、今度は抱きつこうとする。


ゼナは、華麗なサイドステップで突進を躱した。


「ゼナ君、腕を上げたわね!」


苦笑いするゼナは、新しく販売したポーションをジェシカに勧めた。


「ジェシカさん、今度ポーションも売り始めたんですよ〜」


ジェシカは、ポーションを見つめ、返答する。


「他の店で売ってるのより、少し高いわね」


「少し高いけど効果は、倍以上です!」


ほーっと呟き、ポーションの瓶を再度、見つめる。


調理場から、キスカが、焼きたてのパンをトレーに乗せて持ってきた。

店内にパンの良い匂いが充満する。


ジェシカは匂いに釣られキスカの方を見る。


「パンの購入ですか?焼きたてなので、美味しいこと間違いなしです」


キスカは、ニコっとジェシカに微笑む。

ジェシカは、この清楚美人は何者??っと心の中で思うも、パンの匂いに負け、パンの購入を申し出る。


「パン二つ、いや三つ下さい!」


キスカは、微笑みながら、せっかくなので試食も、どうぞと試食を差し出す。


「うま〜い!!幸せ」


ジェシカは唸りながら、頬を押さえる。ゼナは、でしょ、でしょ!とジェシカに言っていた。


「それでポーションは、どうします?これも、間違いなく良い品ですよ!」


ゼナの言葉にジェシカは、微笑む。


「ゼナ君に騙されるなら本望!2本買うわ」


「騙してないですって!」


ゼナの返しも聞き流し、ジェシカは、またくるね!と言い店を後にした。




ゼナ達は、昼食の準備をし、交代で昼食を取り、午後の販売に備えるのであった。

















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