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カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
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腰巻の製作と捜索隊

午後の昼下がりゼナ達は、紅茶を飲みながら、各自の仕事をしている。

ゼナは、引き続きキスカの腰巻を製作していた。


中央部には、赤く染めたアラクネの反物を使用し、両サイドに革を通常より長めに使いアラクネの反物を裏地使う。ポーションホルダーは、他の装備品より大きめに作り、脱着式の小物入れのポーチと水筒ホルダー、ナイフホルダーも付けた。


「出来た!キスカさん、見て見て」


キスカはゼナより、腰巻を受け取る。その美しい腰巻にキスカは、ウットリしている。


「綺麗…ホントに貰って良いんですか?」


「キスカさん専用で作ったから、装備して見て!」


キスカは、腰巻を装備する。その姿を見てヴェルテは、かわいーっと叫びながらキスカに抱きついている。


「ゼナさん、素敵です!ありがとうございます」


「流石ゼナねっ キスカが付けて店にいたら、同じ物を作って欲しいと言ってくる、お客さんが居るかもネ


二人に言われゼナは、照れながら紅茶を啜った。



カランカランと来店の鈴が鳴り、女性の来客者が店内に入ってくる。大剣と軽装プレート装備の来客者は、クリスさん。先程、嵐の様に来店されたジェシカさんの友人だ。

ゼナは、クリスさんに声をかける。


「いらっしゃい」


「ゼナっ!聞いたよ〜。美味いパンと謎の美人が居るとジェシカが言ってた!」


クリスさんは、商業ギルド所属の傭兵だ。商隊が他の都市に移動する際に護衛として同行したり、商業ギルド員が大坑道より戻らなくなった際、捜索隊として活動したりしていた。


ヴェルテが、クリスに、いらっしゃいと告げている。


「ヴェル、こんにちわ!元気そうだね」


クリスは、ヴェルテの姉の様な存在で、剣の師匠でもあった。

ヴェルテは、クリスに抱きついている。その様子を見ながらゼナは、笑いながら答える。


「謎の美人は、キスカさんのことですね」


ゼナの言葉に反応して、キスカは動く。パンの試食を用意してクリスに歩み寄った。


「初めましてキスカと申します。よろしくお願いします。試食されませんか?」


クリスは、キスカをジッと見て、ニコっと笑い、試食のパンを貰った。


「キスカ宜しくっ うお、美味い〜こんなに美味いとは!!」


クリスは、キスカに挨拶しながら、パクっと試食を食べ悶絶していた。

その姿を見ながら、ゼナは、でしょ!でしょ!とクリスに笑かけた。


「後、ゼナに騙されてポーション買ったってジェシカが言ってた!」


ゼナは、飲みかけてた紅茶を噴き出しそうになったが耐える。


「ゴフッ。。騙してませんてば!」


「ウチも騙されに来た!」


クリスは、ニヤニヤしながらゼナを弄る。ヴェルテもキスカも笑っている。ミントは、ゼナを苛めないでとクリスに抗議してた。ゼナは、苦笑いしクリスには、敵わないと溜息を吐く。

その後、キスカは、ポーションの効果をクリスに説明している。クリスは、うむうむと頷きながら聞いていた。


「これだけの効果が見込めるなら、買うわ! 5本おくれ!」


キスカは喜びサービスでパンを一つ付けますと言い準備を始める。

その横でヴェルテは、クリスに感謝しながら、キスカとの出会いを説明していた。ゼナは、騙してませんからね!っと未だに言ってるが、クリスは、ゼナの抗議は無視して、ヴェルテの説明を聞いていた。


「ヴェルを助けてくれたんだね!良い仲間が出来て良かったじゃないか!」


ヴェルテもゼナも微笑む。

クリスは、キスカにヴェルを助けてくれてありがとうと言いながら商品を受け取った。


クリスは、また騙されに来るよ!と笑いながら店を後にした。





クリスが店を出たと思った矢先、エミリオが、勢いよく帰ってきた。

ゼナ達が、お帰りと告げる終わる前にエミリオが言う。



「緊急に坑道に行くことになった!皆、三日程の食料と装備を整えてくれ!」



ゼナ達は、びっくりして聞き返す。

まだ坑道に入ったこともないし、ゼナは間も無く15歳といえ、許可が降りないのでは?と思った。


「商業ギルド組合長の令嬢が昨日から、坑道から帰ってきていない」


ゼナを含め、全員の坑道に入る許可は貰ってきたこと。組合長より、娘を見つけて欲しいと商業ギルド役員全員に嘆願され、副組合長より捜索依頼が通達された。


ゼナ達は、急ぎ準備を始める。

ヴェルテは、調理場に向かい保存食を大きめの鞄に詰め込む。保存食は、干し肉、堅焼きパン。調味料として塩と胡椒を少し持ち、簡易の鍋も鞄に入れた。


キスカは、ポーションや薬、包帯などを揃え鞄に入れ始めた。


ゼナは、携帯用のポーチ、ポーションホルダーを別に用意し、ヴェルテとキスカに渡す。各個人でも非常食とポーションを装備させる為だ。

合わせて、ロープなどの非常事態に備えた装備と、野宿する為の毛布などを鞄に詰める。ランプなどの探索用品は無論店から持ち出していた。


エミリオは、野宿用の簡易精霊石のテントを鞄に詰めていた。

簡易テントは、精霊石を用いて結界を張り、魔物が近づかない様に出来る代物である。

しかし精霊石も万能では無い。持って半日の効果しか無いのだ。再度、石の効力を戻すには、地上に出て、精霊神を祀る祭壇に供物を捧げ、神官により、一日かけて石の力を戻して貰わなければならない。


基本的に、坑道に入る時は精霊石のテントを使用することは無い。

野宿しても各自、見張りをして交代で眠るからだ。

しかし、今回は状況が違う。行方不明の令嬢は怪我などで動けない可能性も有りえる。

加えてゼナ達も初めて坑道に入る。

万全を期す!エミリオは静かに呟いた。


ゼナ達は、エミリオの指示の元、装備を整えた。


今回ゼナは、矢筒を二つ用意していた。鉄矢と通常矢と分けて持つ。

予備の矢も鞄に詰め戦闘準備は万全である。


ヴェルテは、いつも使っている盾より少し大きめの盾を装備し、投擲用のナイフを盾の裏に装着していく。


キスカは、薬の鞄を背中から背負い、左手には小型の盾を装備していた。


エミリオは、ツルハシの代わりに片手剣を腰に装備し、大きめの盾を背中に背負っている。




「エミ兄、準備は出来たよ」



エミリオは皆を見て頷く。

完全武装したゼナ達は、雑貨屋アリアンワースを後にした。


坑道に向かう途中で、キスカは杖を振るい大地の魔法を使う。ゼナ達は荷物の重量を感じなくなり、合わせて、体力回復の魔法を重ね掛けしてくれた。


「キスカさん、助かるよ」


エミリオはキスカに礼を言う。

キスカは、ニコっと笑い頷いていた。


ゼナは歩きながら、エミリオに令嬢の特徴などを聞いた。

令嬢の名はカルラ・エリエスト、16歳。都市の通貨名となっているゼジルの末裔である。白銀の鎖帷子に軽量のハルバートを装備し、従者を一人連れて入ったと教えられた。




坑道に向かう途中で先程、店に来ていたクリスと出会う。


「ゼナっ、お前達も捜索に入るのか?」


クリスも大型の鞄と大剣、盾も背中に背負っている。捜索隊として入るのだろう。


「うん、初めて入るから、無理はしないつもり」


ゼナの返答にクリスは、無理はするなよと何度も言ってから、左手を上げ、また騙されに行くからな!っと言い残し坑道に入って行った。





ゼナ達は、監視所で坑道に入る前の許可を貰い、初めての坑道に足を入れた。

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