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カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
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森の守護者とノワール

戦闘が終了し、ヴォルフと自警団が現場に到着した。


「皆無事か?」


ヴォルフは、心配そうにゼナ達に聞いて来た。自警団も歩み寄って来る。ゼナは、ダークエルフとの戦闘の状況を報告し、亡骸のある場所まで誘導した。


自警団がダークエルフの亡骸の検分を始める。隊長のバジルがゼナに問いかけた。


「ゼナ!これはまた凄い奴を倒したな…このダークエルフは、賞金首だ。右肩に紋章が刻まれているだろう?パンドラのメンバーだな。」


パンドラとは、各地で破壊と殺戮を繰り返す、闇の組織。その目的は、未だ不明だが、壊滅させられた村や集落は数知れず、ゼナのエルフの村も、その一団によるものと思われる襲撃を受けて滅ぼされている。

バジルは、早馬を都市カルカナ に飛ばし警戒を強める様に指示を出していた。


「いったい何が目的だったんだろう…」


ゼナは、首を傾げる。都市カルカナ をダークエルフとゴーレムで攻め込んだ所で、自警団により間違いなく殲滅される。


「先遣隊か陽動か?警戒は高めなければならないな!」


バジルは、部下に指示を出しながらダークエルフの亡骸を回収していく。ゼナ達は、都市カルカナ に帰還するべく歩み出した。


ゼナは、雑貨屋アリアンワース に戻り、皆に状況を説明する。エミリオ達は、驚き無事で良かったとゼナ達を慰労している。ミントは、着いて行かなかったことに後悔しながらゼナの肩に乗り、今度森に行く時は必ず連れて行けと騒いでいた。

アレニとメリアは、初めて街に来たことに興奮気味で、色んな物に興味を示している。ゼナは、皆に二人を紹介した。


「森の守護をしているアレニさんとメリアさん。アレニさんは、僕が糸や反物を交換して貰っている人で、今回、助けて貰った御礼に雑貨屋アリアンワース に招待したんだ!」


ゼナの紹介に二人は、皆に挨拶し、食堂に案内されていた。


キスカが、飲物の用意をすべく、二人に聞く。


「アレニさんとメリアさんは、飲物は、何が良いですか?後、食べれない物など教えて頂ければ助かります」


キスカの問いに二人は、微笑み答える。


「私は、何でも食べれるよ!メリアは、どうだい?」


「私も、基本何でも食べれます!清らかな水が特に好きです」


キスカは、アレニには、レモール水を、メリアには、キスカが精製した聖水をグラスに注ぎ二人に勧める。

二人共、瞬く間に飲み干し、おかわりを求めていた。


「こりゃ美味いね!こんなに美味しい物は初めて飲んだよ!」


アレニは、レモール水を気に入り、御満悦の様子だ。


「私も、これ程の聖水を飲んだのは初めてかも!」


メリアも、キスカの精製した聖水をベタ褒めしキスカの大地の神について質問をしまくっている。


エミリオ達は、ゼナが狩猟してきたバイソンを捌き、二人をもてなす用意を始め、ゼナは、ミントと二人で皮の下処理を行っていた。

下処理が粗方終わろうとしている辺りにアレニとメリアが見学しに現れ、ゼナ達に質問を投げかけてきた。


「ゼナ!お前に聞きたいことがあってさ。お前は、ミレイユ様の息子なのかい?」


ゼナは、ミレイユと言う名を言われ驚く。


「はい。ミレイユは僕の母です。」


その言葉を聞いて、メリアが語り始めた。


「ゼナ、私は、ミレイユ様に命を助けて貰ったことがあるのです。貴方の身につけている首飾りを見て、もしやと思いアレニに相談したんです。聞いて良かった。」


メリアは、ゼナに微笑みながら更に続ける。


「ミレイユ様は、ユニコーンを友にされていて、良く私の所に遊びに来てくれました。そのユニコーンに子供がいるんです。でも、その子は突然変異なのか、先祖返りなのか角が二本有るバイコーンとして生まれて来たんですが、他のユニコーンから仲間に入れて貰えず、殆ど一人ぼっちなんです。ゼナ!バイコーンをミレイユ様の様に友にしてくれませんか?」


確かに、母は、ユニコーンを友としていて、乗馬していた。幼き頃にユニコーンに乗せられた記憶も有る。メリアの話を聞き、懐かしい思い出を蘇らせていた。


雑貨屋アリアンワース で暮すことできるのであれば母の様に友となりたいです!」


メリアはゼナの返答に大いに喜び、神樹で作られた腕輪を渡してきた。


「これは?」


ゼナの質問にメリアが答える。


「この神樹の腕輪は、ミレイユ様が作られた腕輪で、ミレイユ様が私に作ってくれた物です。」


手渡された腕輪には、エルフの英知で術式が組み込まれており、その力は、人智を超えた物凄い能力が付加されていた。これには、対となる物が有り、その装飾を付けた者を呼び出せる力が付加されているという。そして、対となる装飾を装備しているのは、現在はバイコーンであることを教えられた。ゼナも解読は出来ても、現在の力では作り出すことは不可能な代物であった。

バイコーンは、妖精の森の中で生活していて、結界の張られている中に居るため魔物や人に脅かされることは無いと言う。3歳となり、体も出来上がってきており結界から、出ても良いようにしようと考えていた所に今回の出会いがあった。


「でも、バイコーンは僕に懐いてくれないのでは?」


「多分大丈夫だと思います!貴方はミレイユ様の息子で、バイコーンはミレイユ様の友だったユニコーンの子!バイコーンは、必ず貴方に惹かれます」


メリアのこじ付けの様な説明を受け、ゼナは苦笑いしながら頷く。メリアに今すぐ、此処に召喚しましょうと促され、ゼナ達は、裏庭に移動した。

メリアから、バイコーンの名を聞く、名はノワール。召喚の方法を教えて貰い、召喚を開始する。


「我招くのは、漆黒の神獸、ノワール。我が名に従い今此処に姿を現せ」


神々しい光がゼナの前に現れ、その光は球体になり、徐々に大きくなっていく。その巨大な光の球体は、温かな風と共に弾け残光が弾け飛ぶ。その中心部より、漆黒の美しい馬体のバイコーンが現れた。白銀の、たてがみ、綺麗に湾曲した2本の角、その姿は、今まで見たどの馬より優雅でゼナの瞳は釘付けになっていた。

ノワールは、ゼナを見つめ側に歩み寄ってくる。


「ぶるるるる」


ノワールは、ゼナに擦り寄ってきた。ゼナは、その行動に喜び顔を撫でる。


「僕を認めてくれてるのかい?」


ゼナの言葉にノワールは、更に顔を擦り付けてきた。その様子を見て、メリアとアレニは、ほら、大丈夫だったろうと微笑んでいた。ミントも、ノワールの頭に乗りノワールに話かけている。


「君の母と僕の母は、友だったんだよ!僕が幼い頃に、君の母に乗せて貰ったこともあるんだ。これから僕と共に色んな世界を見て共に暮らして行こうね」


ゼナの言葉にノワールは反応し、ゼナの頬をペロペロ舐め意思表示をしている様に見受けられる。その横にメリアが立ち、ノワールとゼナに良かった良かったと歓喜余って泣き出していた。暫く泣いていたメリアは、落ち着きを取り戻し、ノワールの特性を詳しく説明しだした。ノワールは、神獸と言うだけあり、魔法が使える。雷撃の魔法が使え、移動速度も通常の馬とは比べ物にならない程の速度で走ることが出来る。その姿は、まさに雷光!敵に対しては、突進して角ではね飛ばす肉弾戦もでき、ゼナの良き相棒になるはずだと説明してくれた。

裏庭でノワールを囲んで話をしているとエミリオ達がゼナ達を探して裏庭に現れた。


「ゼナ!その馬は?」


「メリアさんが、僕に引き合わせてくれたバイコーンのノワール!これから、此処で暮らしてくれるって!」


ゼナは、エミリオ達にノワールを紹介する。突然の神獸の来訪に皆、驚いたが、ゼナの母の話を聞き皆が納得し、今日の晩餐は、裏庭で開催することが決まった。皆で晩餐の用意をし、ノワールを囲んで晩餐が始まった。キスカの作ったコーンパンにメリアとアレニは絶叫している。


「美味すぎる!!!」


ヴェルテが作った、バイソンのロースト焼もメリアとアレニを唸らせていた。ヴェルテのバイソンのロースト焼は、先日来店した、こぐま亭のレシピを模したもので、独自の香辛料でアレンジし、こぐま亭のロースト焼を凌駕している。


「〜〜〜〜〜〜っ」


メリアとアレニは、もぐもぐと一心不乱にロースト焼を貪り、至福の時を迎えていた。


「ゼナ!今度さ、糸や反物の交換は、雑貨屋アリアンワース でやろう!食べ物や飲み物も混みで対応したい!」


「私も、希少な薬草を持参しますので私も同行させて下さい」


アレニとメリアは、雑貨屋アリアンワース を気に入り商品持参で来店すると意気込む。ゼナは、いつでも来て下さいと笑っていた。


ノワールには、ミントの水をキスカが精製した聖水を与えている。


「ぶるるっ 」


ノワールも聖水を気に入り瞬く間に飲み干していた。ミントがノワールの頭に乗りノワールと仲良く話をしている様だ。


「綺麗な馬体だね〜。」


ヴェルテがゼナに歩み寄りノワールを見つめている。


「うん、僕も初めて見た時は、息を飲んだよ」


ゼナは、ヴェルテにニコリと微笑み果実酒のグラスを手渡した。



その横でヴォルフがリュートで優雅に曲を奏で、皆が聞き惚れている。


「この方は、よく森で動物達に演奏されてますね!私も素敵な曲だと思って森で聞き惚れてたんです」


メリアは、ヴォルフを見ながらカルラに話かけている。カルラとヴォルフの関係を聞き、祝福し月桂樹の冠をその場で組み上げカルラに渡していた。カルラは、大喜びしヴォルフに見せに向かっていた。

その横では、アレニがヴェルテにロースト焼が美味すぎると力説している。ヴェルテのロースト焼を食べる為に糸や反物を必ず持ってくるからねと絡みまくっていた。


「アレニさん、反物を作る時に機織りの道具があったら楽になるんじゃない?」


ヴェルテがアレニに言い、アレニが反応する。


「いつも手作業で作ってたから、その機織りの道具ってのは、どんな物なんだい?」


ヴェルテは、アレニとゼナ、メリアを連れて工房に戻る。ゼナが使っている機織り機を見せ、ゼナが実演して見せた。


「この機織り機は、ヴェルテが作った物なんです!アレニさん、やって見て下さい!」


アレニは、機織り機を使い、反物を作り出す。アレニは、作りながら泣き出していた。


「ゼナ!ヴェルテ!これ凄いよ!こんなに便利な物があるんだね」


ゼナとヴェルテは、うんうんと頷きアレニに説明する。


「これと同じ物をアレニさん専用で作りますか?」


ヴェルテの提案にアレニは喜び、機織り機は、反物20反、ミスリルの塊を5個と交換して欲しいと歩み寄る。ミスリルの価値を考えれば破格の交渉となるのだが、アレニにとっては、ミスリルよりも機織り機の価値の方が高いようだ。


メリアは、意を決してゼナに相談する。


「ゼナ!私達の宿り木を雑貨屋アリアンワース の裏庭に設けさせてくれませんか?」


メリアの話は、宿り木を、此方にも作り、森の宿り木から瞬時に移動出来る物にしたいらしい。森の守護者として君臨している二人は、宿り木がある場所なら魔力を使い移動が出来るとのこと。


「森の守護者の二人が、雑貨屋アリアンワース に宿り木を置く事に問題はありませんよ!大歓迎です」


ゼナは、二人に告げると、皆で裏庭に戻り、宴は夜遅くまで続いたのであった。

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