表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
17/27

先遣隊とガーゴイル

野営地の防衛戦が終わり、ゼナ達は、ドロップ品の鑑定をエミリオに、お願いしていた。

ゼナは、ゴブリンリーダーの片手剣を鑑定して貰う。

エミリオは、ゴブリンリーダーの片手剣を手に取り鑑定を始めた。


「この剣は、素材としては良いが斬れ味も形も良くないな」


ゴブリンリーダーの片手剣は、漆黒の色をした黒鉄であった。強度は、鋼より強く鉄よりは、やや軽い。属性付加は出来ないが加工しやすく、純戦士用の武具、防具素材として人気のある素材である。片手剣は、溶かして別の物に加工することになった。


エミリオの鑑定が終わり、ヴェルテが、昼食の準備を始める。ジェシカがクリスに支えられながらテントより起きてきた。


「ゼナ君!」


ゼナはジェシカに歩み寄る。


「ジェシカさん、無理は禁物ですよ!ちゃんと寝てないと!」


ジェシカは、寝てるとゼナ君に構えないから寝てられないとクリスに嘆願してテントから連れ出して貰ったとのこと…

ジェシカの変な気合いに慄くも、流石、大地の巫女であるキスカの治療は、ジェシカを動けるくらいまで回復させていた。ソフィアとレイチェルも意識が戻ったとのこと。それを聞いてカルラがテントに走って行く。


「レイチェル!」


カルラは、レイチェルに駆け寄り、手を握る。


「カルラ様、申し訳ございません。守らねばならぬ立場で居ながら逆に守られる立場とは…」


カルラは、レイチェルに気にしないでと話し、意識が戻って良かったと、泣きながら抱きしめていた。


ヴェルテの食事の準備が終わり、皆で食事を取りながら、エミリオが今後の動きを再度確認する。全員の意識は戻り、クリスは、戦闘に支障はないくらい回復している。ジェシカは、自身で動ける程度、ソフィアとレイチェルは、もう少し治療すれば動ける様になりそうだ。ソフィアとレイチェルの回復を待つ間、先遣隊を作り、帰路の調査をしてはどうかと提案してきた。


その理由は、他の捜索隊が、此処まで到着出来て無いことが起因している。


「他の捜索隊が、此処まで到着出来ない理由は、途中で強大な魔物が湧いている可能性があるな!」


エミリオの発言に皆、真剣に頷く。


回復を待っている間に帰路の確保と情報収集をして見ることとなった。

ヴェルテが食後の紅茶を皆に入れ、飲みながら、エミリオは、メンバーを決めて行く。

先遣隊は、ゼナ、ヴェルテ、カルラ、ミントの4人。

野営地防衛は、エミリオ、クリス、キスカがメインで、ジェシカは、サポート役となることで決まった。


先遣隊の調査は、地下2階から地下1階の連絡路まで、無理はせず、魔物が多い場合は引くことを前提に晩御飯を食べる時間には、戻るつもりで動けとエミリオから指示が出る。


ゼナは、エミリオに微笑み、調査の準備を始めた。

非常食と水筒、弓と矢筒も装備する。ヴェルテとカルラも非常食と水筒、包帯を2個、携帯用のポーションホルダーも装備した。


ゼナは、エミリオに行って来ると言い、野営地を後にした。

地下2階に入り、周囲を確認しながら進む。


ヴェルテは大剣を、ぶんぶん振り回しながら、ゼナに微笑む。


「いまのとこ平和だね!」


「うん、他の捜索隊は、地下では無く、上に上がったのかな?」


このブレスト山脈の大坑道は、山頂に向けて上層階も存在する。今回ゼナ達は、エミリオの判断で地下に向かいカルラ達と合流できた。

他の捜索隊は上層階に向かっている可能性は考えられるが、下層階にゼナ達以降、誰も来ないのに不安がよぎる。その不安は現実の物となった。ゼナが前方に気配を感じ、皆を止める。ゼナは、気配を殺しながら、前方の様子を伺う。


「これは…」


目の前には、ハイオークとガーゴイル、シルバーウルフが冒険者を駆逐したで有ろう戦闘の後が見受けられた。死屍累々となり、冒険者の骸をシルバーウルフが、骨も残さず食した後だけが散乱している。魔物の群れに気づかれない様にゼナは、ヴェルテ達の元に戻った。


「ハイオークとガーゴイルが居る…」


「ハイオークは、何とかなるかもだけど、ガーゴイルは、ヤバイね」


ゼナの言葉にヴェルテが答えた。

ガーゴイルは飛翔しながらハルバートを使い攻撃してくるのも、手を焼くのだが、それよりも強力なのが、火炎攻撃であった。躱しきれなければ、一発で致命傷になる。今回のガーゴイルは通常よりは、小柄であり耐久は低いと判断した。


ゼナは作戦を決める。シルバーウルフには、ミント。ガーゴイルには、ゼナとカルラ。ハイオークにヴェルテで対応することになった。基本、ゼナは、弓で状況を見て、ヴェルテにも加勢する形だ。


ゼナは、弓を構えガーゴイルに対し狙撃を始める。狙うのは、羽を動かす筋肉と筋が走る部分に集中して狙う。鉄の矢を4本、矢筒より素早く取り出し速射する。左羽に集中して矢が突き刺さる。


「アギャァァァ」


ガーゴイルが、痛みで怒号を上げ、他の魔物もゼナ達の存在に気づく。

ゼナは、鉄の矢を速射で次々と放ち、ガーゴイルは地に落ちた。

ガーゴイルは、羽の傷で飛翔は出来ない。ゼナに向かい口を開け、口内には、紅蓮の炎が展開され火炎放射をせんと距離を詰める。


カルラがガーゴイルの側面に走り、ハルバートを振り下ろした。カルラに気づき、ガーゴイルも、ハルバートで応戦する。ガーゴイルは、他の魔物が側にいる為、火炎放射は出来ない。ガーゴイルにシルバーウルフが加勢し、カルラに迫る。


ミントが水魔法の詠唱を始めた。


「我の声に呼応せし水霊の力、一筋の矢と成りて貫け!」


「ガッ」


ミントの水の矢は、シルバーウルフの頭部を貫きシルバーウルフは走りながら倒れこんだ。


カルラは、ガーゴイルの火炎に注意しながら円を描く様に斬撃を繰り出しながら移動する。ガーゴイルは小柄だと言ってもゼナ達よりも大きく力もある。飛翔出来なくなったとて、その攻撃は、一瞬でゼナ達を壊滅出来る力を持っていた。


ハイオークが、カルラを狙い背後から、斬撃を繰り出す。


「こんのぉー」


ヴェルテがハイオークの斬撃を大剣で弾いた。目を見開いて、ヴェルテに襲いかかるハイオークにゼナは、矢を速射し牽制する。ハイオークは、戦斧の腹で矢を防ぎ距離を取った。ハイオークが離れた瞬間、ガーゴイルが、火炎の射線にカルラとヴェルテが重なるのを見計らい、口を大きく開け放射する。



「カルラ、ヴェルテ避けて!」



ゼナが叫び、ミントが水の防御壁をカルラの前に展開する。轟音と共に

紅蓮の炎が水の防御壁を瞬く間に蒸発させ、周囲は水壁の蒸気で白く靄がかかる。

炎は、威力は少し弱まるも、カルラ達に迫り来る。放射された炎の範囲は広く、躱すことは叶わない。


その刹那、ゼナはミスリルの短剣を突き出し紅蓮の炎に突進する。


「はぁぁぁっ」


風刃を最大出力にし紅蓮の炎を斬り裂く。風の力により紅蓮の炎は、両断される。風で防いだとしても熱風となって、ゼナにダメージを与えた。


「ぐうっ」


ゼナの防具は、ミントの魔法を使い製作しているので火には強いが、所詮は革の防具である。ミントは、ゼナに対し、水の回復を仕掛ける。


「清らかなる水霊の力、命の鼓動、聖水となりて汝を癒せ!」


光を伴った水の輪がゼナを包み、ゼナの傷を癒し始めた。


カルラは、ゼナが両断した火炎に向かい突進し、ゼナの横をすり抜けガーゴイルに迫る。ガーゴイルは、自身の火炎攻撃により、前方は確認できる状態ではなかった。燃え上がる自身の炎を見てカルラを焼き殺したと判断し、火炎を止める。しかし、火炎の切れ目から、カルラが猛然とガーゴイルに肉薄する。カルラの渾身の刺突がガーゴイルの口内に突き刺ささった。


「アギゥ」


ガーゴイルは、叫ぶことすら叶わぬまま絶命した。


ゼナは、体から煙をプスプスと上げながら、片膝を着く。ゼナの動きにハイオークは、ガーゴイルの仇と言わんばかりに戦斧を振り下ろして来た。


「ゼナは、やらせない!」


ヴェルテがゼナの前に立ち、ハイオークを迎撃する。ハイオークは、ヴェルテに、邪魔だと言わんばかりに咆哮し振り下ろしをヴェルテに向ける。ヴェルテは、大剣でハイオークの戦斧を、ことごとく弾きハイオークは、苛立ち始めた。ハイオークが自分に注意が向いたと確信したヴェルテは、サイドステップをしてから、ハイオークの足を斬りつける。


ハイオークをゼナから引き離す動きは、成功したかに見えた。


ハイオークは、ニヤリと笑いゼナに向けて再度迫る。

ゼナは、まだ動けない。

ミントがハイオークに向けて、水の矢を放った。


「我の声に呼応せし水霊の力、一筋の矢と成りて貫け!」


ハイオークは、両手を使い戦斧で水の矢を受け止めた。ゼナに近づくなと、ヴェルテは、大剣を突き上げる、ハイオークは、両手で戦斧を奮いヴェルテを弾き飛ばした。

カルラが、ハイオークに対しハルバートの振り下ろしを仕掛けるが、ハルバートも戦斧によって弾かれる。

ヴェルテは体制を崩しながら、弾かれるが、此処で止まれない。


「ゼナに寄るなっ」


ヴェルテは、気合を入れ強引に再度大剣を突き上げる。カルラも、自分を守ってくれたゼナを、やらせないと全身のバネを使い刺突を繰り出す。ヴェルテの突き上げにハイオークの戦斧は浮き上がり、腕が開かれ胸部がガラ空きになる、カルラの刺突がハイオークの胸を貫いた。


「ガハッ」


ハイオークは吐血しながらカルラに向けて戦斧の斬撃を放つ。しかし、ヴェルテの斬り返しの突きがハイオークの腹部に刺さりハイオークは、崩れ落ちた。



「皆、ありがとう!助かったよ」


ゼナは、皆に礼を言う。


「ゼナ!大丈夫?」


「ギリギリの戦いだった!」


「うん、ゼナが守ってくれてなければ死んでた」


ミント、ヴェルテ、カルラがゼナに歩み寄る。ゼナは、回復ポーションを飲み、ミントから再度回復魔法をかけてもらう。


「一旦、エミ兄の元に戻ろう」


ゼナは皆に伝え、ヴェルテ達は、ドロップ品を回収する。ガーゴイルからは、ガーゴイルのハルバート、グリーンメタルの塊、シルバーウルフからは、銀の欠片、ハイオークからは、グリーンメタルの塊を回収できた。



ゼナは、ヴェルテに肩を借りながら、野営地に戻るのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ