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カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
13/27

地下2階の片目のオーク

階段に到着したエミリオ達は、各々の武器をエミリオに渡す。

エミリオは、砥石を取り出し、武器の手入れを始めた。


「今回の坑道は、魔物の湧き方が、おかしい。通常より数が多い上にボスまで付いてる」


エミリオは、武器を研ぎながら言う。それにゼナが答える。


「今の魔物の状態なら、ペアで進むのは無理だよね」


エミリオは、頷く。


「通常の坑道であれば、ソロでも地下4階ぐらいまでは行ける。カルラ嬢は、急に魔物が強くなって戻れなくなっているのかも知れない」


皆が、うんうんと頷いていた。

エミリオが武器を整備している間に、キスカは、体力と魔力が持続回復する魔法を皆にかける。

ヴェルテは、鞄から、ケトルを取り出し、ミントから水を貰う。自らの魔法で、湯を沸かした。

カップを全員分だし、キスカが作ってくれた紅茶を注ぐ。

鞄より干し肉と堅焼きパンを取り出し、軽食を取ることにした。


皆が、紅茶を飲みながら、堅焼きパンを頬張る。


「温かい飲み物は、気持ちが和らぐね」


ヴェルテが微笑む。キスカも、ほっとした表情をしていた。ゼナも、干し肉を頬張りながら、エミリオに今後の動きを確認する。


「エミ兄、うちらの戦力で今回の坑道の状態に合わせたら、何階まで進めそう?」


エミリオは考え、答える。


「今の湧き方が続くのであれば、現状の戦力では、行けて4階までが打倒だろう。あくまで推測だから、根拠は無いけどな」


エミリオの返答に皆が、頷いていた。


「今日は、地下3階の入口まで進もう、そこで野宿の予定で!」


「「「「了解」」」」


ヴェルテは、ケトルとカップを片付ける。ミントの水魔法で洗い流し、ゼナの風魔法で乾かした。ミントのおかげで水に困らないから、他のパーティーに比べたら、かなり恵まれている。


皆、再度装備品のチェックをし地下2階に突入した。


地下2階は、水晶が所々に隆起している幻想的な空間が広がっていた。

ヴェルテが呟く。


「綺麗〜。ゼナ!この水晶持って帰りたいっ」


キスカとミントも、水晶に見とれていた。ゼナは、笑いながら答える。


「少し持って帰ろう!装飾とか、調度品に使えるネ」


ヴェルテは、喜び水晶を採取し始めた。エミリオは、周囲を警戒しながら、微笑んでいた。採取が終わり、さらに奥に進む。しかし、カルラ嬢も見当たらないが、魔物も出てこない、エミリオが言う。


「おかしい、魔物が出てこない」


ヴェルテがエミリオに聞く。


「うちらより先に進んでる捜索隊が狩っちゃったんじゃない?」


「だと良いのだが、気になるな」


エミリオの言葉にゼナ達は、気を引き締めた。更に奥に進み、エミリオが、間も無く地下3階の入口があるはずだと言う。ゆっくりエミリオが手を横にだし、皆を止める。小声でエミリオが指示を出した。


「静かに戦闘準備、階段の方から戦っている音が聞こえる」


ゼナ達は頷き戦闘準備をする。キスカが戦闘補助魔法をかけた。ゼナは、弓を構えながら、足音を殺し、階段の様子を確認しに向かう。


目の前には、多数のオークを相手に戦っているクリスさんのパーティーが居た。クリスさんとハルバートを持った女性以外のメンバーは、倒れている。これはヤバイ。


ゼナは、エミリオ達を手でサインを送り、呼んだ。弓を構え風の加護を鉄の矢に付加する。

クリスが、オークに囲まれ、クリスの盾がオークの斬撃で破壊される。

ゼナは、クリスに襲いかかるオークに向けて矢を放った。オークの頭部を鉄の矢は貫く。ゼナは、休むこと無く、矢を放ちまくる。後方からの突然の攻撃にオークは浮き足立った。

ゼナは、オークの群れに向かって叫ぶ。


「こっちに来い!ハリネズミにしてやる」



後方からの矢の雨にオーク達は被弾しまくり、次々と巨体が音を立てて崩れ落ちる。しかし、オークの群れも体制を立て直し、ゼナの挑発に乗り、標的を変え向かってきた。


ヴェルテが前方に範囲魔法を唱える。


「火の眷属なる我に精霊の力を此処に集え、紅蓮の花と成り全てを焼き尽くせ」


オーク達は、身を焼かれながらも、前進してくる。魔法の中心部に居たオークは絶命したが、周りに居たオークの足は止まらない。ゼナに敵意を剥き出し、怒声を上げながら迫っていく。



ヴェルテは、魔力回復ポーションを飲み、範囲魔法二撃目を放つ


「このぉー。止まれ」


二撃目を喰らわしても、動きは鈍るが、ゼナを向かう足を止めることはなかった。


ゼナは、後退しながら、風の付加を高め鉄の矢を放ち続けた。


エミリオとキスカは、オークがゼナに向かうのを確認し、クリス達の救助に向かった。


「クリス、大丈夫か?」


エミリオの言葉に、クリスは答える。


「ジェシカ達がヤバイ!助けておくれ」


そう言ったクリスも左腕は骨折し、出血も多い、彼女も重傷だ。

エミリオは、倒れている三人を確認しに行く、微かだか皆、息をしていた。


「まだ生きてる!」


三人をクリスの前に運び、キスカは、回復魔法を唱える。


「大地の精霊よ、その偉大なる力、慈愛を我に、大地の息吹にて傷を癒せ」


クリス達を緑色の閃光が包み回復魔法が発動した。


キスカは魔法を唱え終わると、膝を着く、クリスのパーティー全員に魔法をかけた為に、魔力が尽きたのだ。すぐにキスカは、魔力回復ポーションを飲む。大量の汗を流し、キスカは、ふらついていた。すぐには魔力は、全開はしない。


クリス達は、重傷であった為、キスカの魔法だけでは回復しきれない。

キスカは、回復ポーションを取り出し、意識の無い三人に無理やり飲ませた。また、クリスとハルバートを持った女性にも回復ポーションを渡す。二人はキスカに感謝しポーションを飲み干した。


ハルバートを持った女性は、ゼナ達の捜索対象のカルラ嬢だった。


「僕を助けに来てくれたんだね、ありがとう」


エミリオが言う


「カルラさんは、動けそう?戦えるなら、オークを挟撃したい」


「大丈夫です!僕の傷は、軽いから」


キスカには、引き続き重傷者の回復をお願いする。キスカは、鞄より包帯を取り出し重傷者の止血を始めた。エミリオとカルラは、ゼナに迫るオークを挟撃する為、走り出した。


ゼナは、鉄の矢の狙いをオークの頭部から、足に狙いを変え放つ。オーク達は、狙撃を警戒して頭部を守りながらゼナに迫っていた。


オークの群れの中には、ハイオークが紛れている。部下に守られ他のオークよりも屈強な鎧と盾を装備し、人が装備すれば大剣になる大きさの剣を片手で持っている。その横に居る側近と思われるオークが、槍をゼナに向けて投擲してきた。


槍は風を唸らせ、ゼナに向かって迫っていく、ゼナの側に居たミントは投擲に気づき、水の壁を作りゼナを守る。


「ゼナ!逃げて!」


ミントの叫びにゼナは投擲に気づいた。ゼナは、投擲してきたオークに向け、鉄の矢を放つ。

オークの槍は、水の壁を貫き、尚もゼナに迫る。ゼナは辛うじて躱すが、弓をかすめ弦が切れた。


「くっ、弦が…」


最後に放った矢は、投擲してきたオークの左目を貫きオークは、怒声を上げている。

ゼナは、弓を背に戻し、ミスリルの短剣を抜刀した。

前方には、ハイオークを含め5体のオークが迫って来ている。ヴェルテと合流してオークに迫る。


力で当たれば打ち負けるのは必至の状態、ゼナ達は、素早く動き、オークの攻撃を躱す。その隙に

後方から、エミリオとカルラが攻撃を始めた。


「ハイオークが居るのか!奴は最後だ、雑魚を先にやるぞ」


エミリオは、ゼナ達に叫ぶ。


カルラとエミリオの連携で、オークを撃退していく。エミリオがオークの攻撃を盾で受け止め、カルラが、ハルバートで致命傷を与えていた。


オークの攻撃を受け止めるエミリオも無傷では無い。受け止める体は骨が軋む。ミントが、直様、回復魔法を唱える。


「清らかなる水霊の力、命の鼓動、聖水となりて汝を癒せ!」


光を伴った水の輪がエミリオを包み回復していく。


ゼナとヴェルテは、素早い動きで一体のオークを切り刻んでいく、オークは、反応出来ず、断末魔を上げながら崩れ落ちた。


残り3体となったが、明らかにハイオークと側近と思われるオークは、他のオークとは装備も威圧感も別物であった。側近の一体がゼナに襲いかかる。先程、左目を射抜かれたオークだ。


ゼナは、ミスリルの短剣の風刃を最大出力にし、風刃の大剣にし迎撃体制を取る。


後の2体は、エミリオの方へ襲いかかった。


「ヴェルテは、エミ兄を援護して!こいつは、自分がやるから」


ヴェルテは、ゼナを心配そうに見つめ、頷きエミリオの援護に向かった。


片目のオークは、右手に投擲用の槍、左手には、戦斧を装備して居る。ゼナは、投擲に注意しながら、距離を詰めた。


片目のオークが、戦斧を振り上げ、ゼナに振り下ろす。ゼナは、風刃の大剣を戦斧の腹に当て戦斧の軌道をズラす。オークは、ニヤリと笑い右手の槍をゼナに突き出した。ゼナは、避け切れないと判断し、風刃の大剣を大地に突き刺す、風の魔法の出力を最大にし風刃の大剣を盾にし槍を耐える。


片目のオークの突きが風刃と激突する。風刃は、物凄い気流となり片目のオークの槍は風に巻き込まれ、地面に突き刺さった。

片目のオークは、驚愕の表情を浮かべ再度、戦斧を振りかざす、ゼナは、風刃の大剣を大地から抜き、片目のオークの戦斧に合わせた、戦斧は、風刃に弾かれ軌道がズレる。ゼナは、そのまま、風刃を突き出し、片目のオークの左腕を切り落とした。


「ガアァアアッ」


片目のオークは、怒声を上げながら、このまま殺られる訳にはいかないと言わんばかりに、槍を地面から引き抜き、その槍をゼナに向かい振り下ろす。ゼナも、怒声を上げながら、片目のオークに突進した。


「うぉぉぉぉっ」


ゼナは、槍の振り下ろしを寸前で躱す。ゼナの左肩を槍がかすり、肩当てが千切れる。槍は地面に叩きつけられ、石畳の地面が爆散していた。

肩当てが千切れる衝撃も意に返さず、ゼナは、そのまま突進し、右手に持った風刃の大剣を片目のオークの胸に突き刺した。


「グガァ、グゥオオオッ」


片目のオークは、致命傷を受けている。しかし、唸りながらゼナを道連れにせんと、再度槍をゼナに向けた。至近距離からの槍の突きがゼナに迫る。ゼナに槍が当たる寸前、ゼナは、突き刺した風刃の大剣を片目のオークの頭部に向けて斬り上げた。




片目のオークは、上半身を両断され絶命した。






















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