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カルカナのゼナ  作者: ななかまどっ
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坑道の魔物と鉱物

ゼナ達は、坑道内部に入る。

坑道内部は、広大な石畳みとなっていた。ゼナのイメージでは、岩を切り崩した悪路をイメージしていたのだか、入り口から坑道中部までは整地されているらしい。


そして、坑道内部にいる魔物の殆どは、古の亜人の魔力により生まれ出る物だと教えられた。

古の亜人は、もう居ないのだが、魔力だけが現在も残り、魔物が生まれ出ている。


「ゼナ、来たぞ!」


エミリオの声の先には、白銀の毛色をしたシルバーウルフが群れで襲いかかってきた。その数、二十数匹。その中に、一回り大きい個体が紛れている。


「フェンリルか、面倒だな、あれは俺が押さえる」


エミリオの言葉に反応しつつゼナは弓を構える。キスカは戦闘補助の魔法を唱えていた。ミントは、キスカの側で、防御用の水魔法を準備している。ヴェルテとエミリオは抜刀し、エミリオはフェンリルに、ヴェルテは、シルバーウルフの群れの右側に向けて走り出す。


戦闘補助魔法のお陰で、体が軽い、いつもよりも速度が上がっていると感じられた。


ゼナは風の加護を矢に与え弓を速射する。左側のシルバーウルフを一本の矢で複数射抜く、ガッ と唸ったウルフは、その場に倒れた。ゼナは止まること無く連射し次々とウルフを撃退していった。


右側では、ヴェルテがウルフの群れに対し範囲火炎魔法を唱える。


「火の眷属なる我に精霊の力を此処に集え、紅蓮の花と成り全てを焼き尽くせ」


炎の大輪がウルフを襲う。火炎の中心に居るウルフは、火達磨になり絶命していった。

範囲魔法を喰らい狼狽するウルフの群れにヴェルテは、素早く剣を突き出す、ウルフは一撃の元に崩れ落ちた。ヴェルテもゼナには負けられないと剣の舞を止めることは無い。


エミリオがフェンリルの前に立ちはだかり、盾で動きを封じる。フェンリルは、お構いなしにエミリオに突進し、その鋭利な牙で襲い掛かる。

エミリオは致命傷は避け、避けきれない攻撃は盾で受け流す。しかし、素早いフェンリルの牙は、エミリオに徐々に傷を負わせていた。



キスカが激しく手を動かし術式の型を作り、杖を振りかざす。エミリオに対し遠距離回復魔法をかける。


「大地の精霊よ、その偉大なる力、慈愛を我に、大地の息吹にて傷を癒せ」


緑色の閃光がエミリオを包む、その光は、エミリオを中心に輪となりエミリオの傷が癒えていく。


その動きに反応した数匹のウルフがキスカに迫る。キスカの側に居たミントが水の壁をキスカの前に作り、ウルフは足止めされた。


足止めされたウルフをゼナは狙撃する。ゼナに背を向けていたウルフは、為す術も無くゼナの矢の餌食となった。ミントも、足止めをしたウルフに水攻撃魔法を仕掛ける。


「我の声に呼応せし水霊の力、一筋の矢と成りて貫け!」


ミントの唱えた水魔法は、高圧力をかけた水の矢となり一直線にウルフを貫いた。

キスカに迫ったウルフは、触れること無く全滅した。


ヴェルテもウルフの残りを掃討しエミリオの救援に向かう。

ゼナは、鉄の矢を矢筒より取り出す。フェンリルの後脚に狙いを付け狙撃した。風の付加を付け、鉄の矢がフェンリルの左後脚を貫く。


ガァ、グゥゥっとフェンリルは唸る。脚をやられたフェンリルは、先程までの勢いは失い、動きに陰りが見えた。その隙を付いてヴェルテは、側面から盾を使いフェンリルの右側に突進する。


フェンリルは突進を受け、注意をヴェルテに向け、襲い掛かろうとした。エミリオは、その動きを見逃さず、戦斧で最上段からフェンリルの首を切り落とした。

エミリオは、周囲を確認しながら、ゼナ達に言う。


「この場所にフェンリルが現れるのは、おかしい…坑道内に異変が起きてるのかも知れない」


ゼナ達は、初めての坑道であり、エミリオの言葉に只々、神妙に頷くのであった。


周囲に飛散して居たウルフの死骸が灰となり崩れ落ちる。その中から、一筋の光が見えた。ゼナは、その灰に近づくと、そこには、銀の欠片が光っていた。


「これって…銀かな?」


その動きにエミリオが答える。

坑道の魔物の殆どは、魔力によって、鉱物を母体に形成されている。

死滅させれば、その母体となった鉱物がドロップされるとのこと。


ゼナ達は、周囲のウルフの死骸より、銀の欠片を回収した。合わせてゼナは、使用した矢も回収する。再利用出来そうな矢は再度使う予定だ。エミリオがフェンリルの死骸からミスリルの欠片をドロップしていた。強さに比例しているのかは不明だ。


ヴェルテは、初めての坑道に興奮気味にゼナ達に言う。


「初戦の連携は、素敵だったネ!」


ゼナも、にこやかに答えた。


「うん!皆の動きに無駄がなかった」


エミリオは、まだまだ最初のエリアだから、これから魔物は、強くなると皆に説明している。

今の連携を主体に動く事で行動は決まった。


エミリオが壁役で、メインの魔物を引き付ける。


ヴェルテは、サブの壁役&アタッカー。


ゼナは、遠距離攻撃で足止め&狙撃。


キスカは、攻撃補助魔法と回復魔法。


ミントは、キスカを補助しながら、サブヒーラーとして動く。


エミリオが皆に声をかけ、再度坑道の奥に進み始めた。

ゼナは、先に坑道に入ったクリスのことが気になっていた。

これだけ、一気に魔物が湧いたら、クリスだけでは、厳しいのでは無いかと考えエミリオに聞く。


「エミ兄、先に入ったクリスさんは、ソロで進んでるのかな?」


エミリオは、首を横に振りながら答える。


「いや、入り口で待ち合わせして入ったはずだ、多分ジェシカ達と合流して捜索隊として入ってるはず」


ゼナは、エミリオの返答に安堵する。クリスさんとジェシカさんは、常にパーティーを組んでいるとエミリオは言っていた。


進んで行くと、上に上がる階段と下に下がる階段が見えてきた。エミリオは、悩んでいる。


「さて、カルラ嬢は、どちらに向かったか予想が出来ないな…」


エミリオは、下に向かうことに決める。

「悩んでも仕方がない!下に降りるぞ」




ゼナ達は、コクリと頷きエミリオの後に続いた。




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