三十八話 最初の【演目】
どーもーぉ、こーんばんわーぁ。
野菜とーぉ、申しますーぅ。
はい、先日ぶりです野菜です。
今回はmiyuu君の視点に戻したわけですが…………言いたいことは後書きに書きましょうかね。ネタバレになりかねないし。
んじゃま、本編どぞ
第三十八話 最初の【演目】
僕とキラは物語を進める鍵がそれこそ街の中にあると判断して鳥籠へと戻ってきていた
だがもちろん僕が姿を現すわけにもいかずどうしようかと途方に暮れていたりする……
「なんか思いつかないのかよ天才さん。」
「無茶をいうなよワトソン君。地道にクエスト処理するしかないんじゃない?」
やっぱり正攻法か……いやダメじゃないけどね。
時間がなぁ……二人だしなぁ……
「「はぁ……」」
どうにも厳しいな。
そもそも今更ながら山の中に鳥が住んでいるという謎状況に疑問符が浮かんでくる。
何でこんな事に…………
「あれ?」
…………おかしくないか?なんで僕は追われてるのか。
それはもちろん僕が鳥を招き入れたものとしてイベントが進行したからで…………牢獄に捕らえられたのに脱獄したからだ。
でもここに檻なんて必要ないはずだ
何といっても犯罪者や貧民、浮浪者の類は籠の外へと出されてしまうのだから…………
そもそもだが役場が穴だらけになっていないのはなぜだ?
機能しているのは?
あんな役場の異常が受け入れられているのは?
ホントのホントにカラスは山の中か?
「絶対におかしいよな。」
だが僕の考えつくことをキラが気づいていない筈がない。
多分キラはこの事実に気がついた上で悩んでいる。
証拠もなく、確信もない。これじゃゲームは進行しない。
何にせよ秘密を解く鍵が足りないのだろう。
その鍵は山の中にある…………結果は変わらない。
入口の場所はわからないしそれを探すのだって骨だ。
「十中八九入口は館の中だと思うんだよね。それも繋がつていることを考えると地下……でも私たちがいた時はそんな痕跡なかったもんね?」
キラが出した推測は僕と同じで根拠がない。それに僕ら自身が館に入口がないことを確認してしまっている。
……さてどこにあるのやら。
「役所っていうのもないよねぇ……それは現実的じゃない……となると考えられるのは……」
人が集まりすぎるところにあるとは思えない……それによくよく考えれば僕がカラスを退治している時も数はなかなか減らなかった。どう考えてもあれは増え続けてたんだろうけど……特定のどこから出ていたということはなかった気がする。
街の外から中へ繋がっていて人が集まらずかつ出口が町中に張り巡らされたもの……
「「……上下水道?」」
答えへたどり着くのは同時だった
でも答えが分かったところでと言う話だ。水道に入るのならばそれは街の中からでないとは入れない。
外はお金が無い貧民層が住むいわゆる所のスラムだ。ライフラインが通ってる訳が無い。
だが街の入口はすべて管理されていてそれ以外のところはとてつもなく強固な籠が阻んでいる。
昨日のようにイベントがあるわけでもないから街の中で力を振るってもダメージを与えられない。多人数で来られれば抜けるのは厳しくなる。
そもそもこのゲームでどうなるのかはわからないが大半のVRMMOでは街中でNPCに暴力を振るうと馬鹿みたいに強い敵性モンスターが襲ってくるのが定番だ。
キラが一人で進むというのもなくはないが……ダメだな。
それじゃ一緒に戦ってることにならないしこの程度のことで躓いていて今後自分の思い通りにことが運べるとは思えない。
足を引っ張るというのも随分となれない感覚だ。
もちろんゲームの中限定で。
学校なんか行ってみろ、僕なんて勉強も別に出来ないし運動はせいぜい身長が関係ない競技でサブメンバーもしくはギリメンバーといったところだ。
「よっし!」
だからと言って別にキラに体育会系のノリを求めたわけではないのだが何故かキラは意気込んでガッツポーズまでしている。
「入るよミュー君!」
「は?いやどうやって?」
街への入口は山からの入口を除いて計4つ、北東南西の各方角に一つずつだ。
どこにも警備がある以上侵入なんて…………
そんな僕にキラは天を向けた指を突きつけた。
「カラスが抜けていった籠の抜け穴…………この上方にあるんでしょ?」
…………おいおいまさかまさかまさか冗談じゃないぞ。
「キラ、僕はここで───」
「私が投げるから頑張って掴まってねー。」
……回り込まれたっ!?
てか天才の考えることおかしくね?常識的に考えてマジで!
「…………ここ外だから失敗したら僕死ぬんだけど……」
「失敗したらキャッチしてあげるよ。逃げたのってちょうどこの先でしょ?」
なんで知って…………あ、中だと閉鎖されてるのかあそこ。
「大丈夫だって、失敗しないと思うよ?ゲームはクリアできるように作られてるんだから。」
……随分な極論だが確かにその通り。
僕らのステータスでなくとも囚われた人がクリアできるように作られてる設定されてる筈なんだ。
そこをステータスおかしい組筆頭二人が挑めば出来ないはずが無い。
「……それでも投げられるのは勘弁したいなぁ」
何といっても目視で確認できない穴だ。
穴の大きさが大きさだけに視認しづらいというのが大きいのもわかるが自身のステータスだけで届かないところに跳ぶのは怖い。
「はいはいワガママ言わない。」
「これワガママ!?これワガママなのッ!!?」
結果だけ伝えるなら僕の批難は聞き受けられなかった。
良く分からないが引き摺られながら見えたキラの横顔は何か焦っている様で…………先程まで見られなかった緊張の色があった。
僕が知らない何かが起こっているのか…………
まぁどうしようもないことなら僕にも言うだろうからそう言う事じゃないんだろうけど
投げ飛ばされるといかはバレーボールのレシーブの如く力を加えられた僕がその力に逆らわぬように跳ぶというもので他人の力による加速の恐ろしさを十分に味わえた。
…………一応何とか穴に捕まることができたし実はそう高くなかった事と穴の付近から外のスラムにの見張り台まで紐が垂れていることを知って少しショックは受けたがダメージの生じない圏内に飛び降りることができたので結果オーライということにしておこう。
だが試練はここからだったと言っても過言ではなかった。
隠れるのは非効率なのでキラを待ってから屋根の上を静かに駆け抜けて地下水路入るための入口を見つけて梯子を降りるところまでは順調だったのだ。
問題はそこからだった。
光源がない上に道が幾つにも別れた地下道。
更には絶えず水の流れる音がする故小さな音は聞き逃しやすく、下水が通うため臭いが強烈に設定されたそこは視覚、聴覚、嗅覚を封じられた最悪のステージと化していた。
何よりも最悪なのはそこがバッチリとフィールド扱いになっていて死ぬ危険性が出てきたことだ。
「その代わりこの道が正しいことがわかったんだから結果オーライさ!」
何もオーライに感じない、全くもってその能天気さが恨めしい。
…………羨ましくはないからな
「それにしたって限度があるぞ。」
マップも専用のスキルがない限りは無効化されるステージのようでいよいよ個人の力ではなくパーティーとしての…………それも職業の力が試されるようになってきた訳だが…………スキル選び放題の僕は置いとくとしても戦闘特価のキラと僕じゃここを進むのは流石に…………
「むしろ私はこっちの方がやりやすいかな。」
若干の暗闇補正もつく【ホークビジョン】を使う事も考えたがそれも背後のリロードの音が気になって後回しになってしまった。
「…………何してるの?」
目も見えず敵の気配もないというのに既に射撃体勢に入っているらしきバカに思わず問をかける。
お得意の超弾道計算による遠距離跳弾狙撃かと思ったがそんな遠くの敵を補足する術を今のキラが持っているとは思えない。
「───ちょっと静かによろしくね。」
そう言ったキラの顔がこの暗闇の中でも笑っているように見えたのは僕の錯覚か……嫌な予感がした僕は急いで伏せて耳を塞ぐ。
案の定というべきか直後に襲った二つの銃声が0と1で構成された僕の肉を伝わって鼓膜を蹂躙した。
────こんな反響しやすい閉所で…………しかも至近距離で号砲よろしくな大口径フリントロックをぶっぱなすバカがいるとは思わなかった。
未だ揺れている感じのする脳に少し配慮しながらフラフラと立ち上がると無言で音の発生点へと拳を振るう。
もちろんダメージの発生しない程度だが。
「撃つなら撃つって言えよバカ!」
「弾込めの音でわかるだろ!ていうか最後のほう聞こえなかったじゃん!!」
言葉の通り彼女がしていたのはソナー…………空気などの振動が伝わるものを媒体として一定の振動を送り物体に反射して帰ってきた音を拾うことで目に見えない所の構造を把握する主に海中で使われる探索法である。
今回は発生位置の異なる同じ波長を二つ用意することでより正確に遠くへ飛ばそうとしたのだろうが…………僕が殴ったせいかはたまた始めから拾える音量じゃなかったのか最後の方…………つまり奥の構造までは拾えなかった様だ。
「お前がやりたかったことはよくわかったけど……ソナーって人間の成せる領域にある技じゃないと思うけどな。」
「もちろん現実ならできないけどゲームなら出来るよ。ミュー君も使ってたとは思うけどVRガンゲーとかで必須な技能のCSとか使えば案外拾えるからね。後は細かいオブジェクトに反響したであろう音も捨てて大まかな道だけみればいいからさー。所詮慣れだよ。」
…………反響音だけで内部構造を瞬時に組み立てられる計算能力がある時点でおかしいんだって。
ちなみにCSことキャパセルは数値として受信している環境データを敢えて自ら制限することで特定のデータの受信容量を広げたり、単に邪魔な雑音を消して特定の音を拾うことに使われる現代ガンゲーに必須な技能のうちの一つ。
使い手とまで呼ばれるレベルになると多分首都駅並の雑踏具合の中からでも欲しい音のみを拾える。
もちろんゲームの中限定。
まぁもう突っ込んでも仕方がない気がするのでこの件に関しては置いておこう。
なんにせよ道が分かったんなら儲け物。
僕は奥の構造まで把握しようと再度装填を開始したキラを必死に止めて、歩き出した彼女の後ろをついて行くことにした。
もちろん前が見えないのでホークビジョンを使って。
キャパシティセレクト…………ゲームである以上自身が互換で感じている匂いや音や光や味や感触は所詮データです。なので受け取るデータを一時的とはいえ自分の意思で制限すればそれ以外の情報を効率良く得られるのではないかというアレ。
例えば停電になったとき、人は手を壁について明かりがあるところまで行こうとします。
それは普段は使っている視覚という情報が制限されたから代わりに触覚による情報をフルに使っていこうという試みです。
他にもなにかに集中したい時は目を閉じたり、或いは耳栓によって雑音を省いたりしますね。邪魔になる情報をカットしてクリアにしたり、普段は使わない感覚や微弱なそれを敢えてメインとなるいくつかの情報をカットさせる事で鋭敏にしたり……まぁちょっと違くねと思う人は目を開けてる時の大声よりも目を閉じてるときの大声の方が大きく感じるとかでいいです。
理論的に文句がある人はすいませんが目を瞑ってください。適当にそれっぽく言っただけなんで。
前書きで言おうと思ったことなんですが
主人公=ただのスペックバカ
他の天才勢(キラ、マキナ等)=非人類、バケモノ
になってる気がする。
やっべmiyuu君プレイヤースキルどこ行った